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所得拡大促進税制(大企業向け)の要件が見直されました

  • 法人税

こちらの記事は[令和3年度税制改正]時の内容です。
[令和4年度税制改正]の内容は【大企業対象】令和4年度税制改正による賃上げ促進税制で最大30%の税額控除!をご覧ください。

所得拡大促進税制(大企業向け)の要件が見直されました

令和3年度税制改正において所得拡大促進税制(大企業向け)の適用要件が見直されました。

ポストコロナに向けた外部人材の獲得や、第2の就職氷河期を作らないという趣旨のもと、新卒採用・中途採用による人材獲得を促進する制度となりました。

なお、馴染みが深いと考え「所得拡大促進税制」という呼称を用いておりますが、大企業向けの本税制の正式名称は、改正前が「賃上げ・生産性向上のための税制」、改正後が「人材確保等促進税制」となっています。

制度の概要

所得拡大促進税制(大企業向け)とは、青色申告書を提出している法人が、前期に比べて給与の支給額を一定割合増加等させた場合に、増加額の15%~20%を法人税額から控除することができるという制度です。

適用要件・税額控除額

改正前後の適用要件と税額控除額は、下記表の通りです。

改正前後の適用要件と税額控除額

【改正前】【改正後】
【通常要件】 ①前期と当期の2年間を通して勤務する従業員に支給する給与が、前期比で3%以上増加していること
②全従業員に支給する給与が、前期比で増加していること
③国内設備投資額が、当期の減価償却費の95%以上であること
①新たに雇用した従業員に支給する給与が、前期比で2%以上増加していること
②全従業員に支給する給与が、前期比で増加していること
【上乗せ要件】教育訓練費が、前期・前々期の平均値に比べて20%以上増加していること教育訓練費が、前期に比べて20%以上増加していること
【税額控除額】
(通常要件の場合)
全従業員に支給する給与の対前期比
増加額の15%
新たに雇用した従業員に支給する給与の15%
【税額控除額】
(上乗せ要件も満たす場合)
全従業員に支給する給与の対前期比
増加額の20%
新たに雇用した従業員に支給する給与の20%
【税額控除額の上限】法人税額の20%法人税額の20%

継続して雇用している従業員に対する給与から、新たに雇用した従業員に対する給与を対象とした制度へのシフトが確認いただけると思います。

コロナ禍の厳しい経済状況下ではありますが、その中でもニーズが高まっている業種や、コロナ後を見据えて採用を拡大している企業等、改正が有利に働き、適用が可能となるケースも想定されるのではないでしょうか。

また、従業員に関する要件とは別に、大きな影響があると考えられる改正点が、改正前要件③の撤廃です。

当期償却費の95%以上の設備投資はハードルが高く、こちらをクリアできないため制度適用の検討を行っていない企業が多くありましたが、撤廃により検討を行うケースが増加すると考えられます。

適用を受ける場合の申告要件

制度の適用を受ける場合は、確定申告書に控除額やその計算に関する明細書を添付する必要があります。

当初提出した確定申告書に明細書の添付がない場合は、後の更正の請求(本来払うはずの税金より多く申告・納税した場合に、払い過ぎた税金を戻してもらう手続き)等により新たに適用を受けることはできないため、ご留意ください。

適用期間

改正後の制度は、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度が適用対象となります。3月決算法人の令和4年3月期が最初の適用対象期間と想定されます。

最後に

以上、制度について簡単にご紹介致しました。詳細な用語・要件等は用いずに記載しているため、制度適用の際には各要件の充足について検討が必要となります。

適用をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。

執筆担当:
法人ソリューショングループ 赤尾 健

<参考サイト>
【辻・本郷税理士法人】【速報】令和3年度税制改正大綱
【経済産業省】「人材確保等促進税制」御利用ガイドブック

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