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社会福祉連携推進法人とは?概要から設立方法までご紹介

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社会福祉連携推進法人の設立

令和4年(2022年)4月1日、社会福祉連携推進法人制度が施行されました。
社会福祉法においては合併の手続きが規定されていますが、社会福祉法人同士の合併のみを想定しています。そのため、医療法人やNPO法人などは合併の対象となりませんでした。

この新たな制度では、一定の条件のもとで社会福祉法人以外の法人とも連携を構築することができます。

社会福祉連携推進法人制度の概要

社会福祉連携推進法人制度は10年ほど前から議論され、施行に至っています。
令和2年(2020年)6月に「地域共生社会の実現のための社会福祉法の一部を改正する法律」が公布され、同法に基づき令和4年4月に「社会福祉連携推進法人」制度が創設されました。

社会福祉連携推進法人は地域共生社会の実現に向けて、地域ニーズに対応した新たな取組みの創出と、その担い手となる福祉・介護人材の確保・育成等、さらに経営基盤の強化を進めていくという観点から、地域の福祉サービス事業者間の連携・協働のためのツールとして有効に活用されることが期待されており、令和4年12月現在、7法人が設立されています。

これまでは、規模の大きくない社会福祉法人が人的・資金的な課題を克服するためのスキームとして、「法人間連携」と「合併・事業譲渡」が活用されてきました。
これらの手法のなかにはそれぞれにメリット・デメリットがあり、今回制度化された社会福祉連携推進法人制度はこのアプローチの中間にある制度といえます。

社会福祉連携推進法人では何ができるか?

社会福祉連携推進法人は、以下3つを主たる目的とすることが社会福祉法の第11章第1節第127条(認定の基準)に定められています。

  • 社員の社会福祉に係る業務の連携を推進すること
  • 地域における良質かつ適切な福祉サービスを提供すること
  • 社会福祉法人の経営基盤の強化に資すること

具体的には以下6つの業務のうち、1つ以上を実施することとされています(同第125条)。

  1. 地域福祉支援業務
  2. 災害時支援業務
  3. 経営支援業務
  4. 貸付業務
  5. 人材確保等業務
  6. 物資等供給業務

上記の業務のうち、何を実施するかを定款にうたうことになります。
注意すべきは、連携推進法人は社会福祉事業を行ってはならないとされている点です(同第132条第4項)。

なお、一定の要件のもとで限られた範囲の社会福祉事業ならば認められる可能性があります。

上記1~6の取組みを通して、以下のようなことが可能になると期待されています。

  • 法人の独立性を保ちつつ、法人間連携よりも強固な連携が可能となる(合併では法人の独立性が保たれない)。
  • 連携推進法人内の社員である貸付対象社会福祉法人に対して貸付が可能となる。
  • 大きな経営課題となっている人材確保においても、共同採用や社員間の人事交流等が可能となる(法人間連携よりもさらに強力かつ広範囲に実施できる可能性が高くなる)。
社会福祉連携推進法人 組織のイメージ
社会福祉連携推進法人 組織のイメージ

社会福祉法人やNPO法人がそれぞれ社員となり、新たに一般社団法人としての連携推進法人を設立するイメージです。
あくまでも合併ではなく、同じ目的意識を持つ法人が個々の自主性を保ちながら連携し、規模の大きさを活かした法人運営が可能となります。

出典:厚生労働省「社会福祉連携推進法人の認定等について」令和3年11月12日厚生労働省社会・援護局長通知 社援発1112第1号

社会福祉連携推進法人を設立するには

では、実際にどのように社会福祉連携推進法人(以下、連携推進法人)を設立するのでしょうか。

1.一般社団法人を設立

まずは一般社団法人を設立します。どこが認定所轄庁になるかは、設立しようとする連携推進法人の本部所在地と、各社員の本部所在地で決定されます。
例えば連携推進法人の本部所在地が新宿区であり、各社員の本部所在地もすべて新宿区であれば、所轄庁は新宿区となります。

また、連携推進法人の本部が新宿区であっても、各社員の本店所在地がバラバラである場合には所轄庁は東京都となります。
仮に連携推進法人の本部が都内ではなく埼玉県内である場合は、社員の本部所在地が都内であっても埼玉県が所轄庁となります。

2.連携推進法人の認定を受ける

一般社団法人が設立できたら、連携推進法人の認定を受けます。申請に必要な書類は「社会福祉連携推進法人の認定等について」(社援発第1112第1号 厚労省社会援護局長通知 令和3年11月12日)に記載されています。

3.法人名を変更し、名称に「社会福祉連携推進法人」を加える

社会福祉連携推進法人は、法人名に「社会福祉連携推進法人」を入れることが求められています。よって、晴れて認定を受けたなら、まず法人名を変更する必要があります。
法人名の変更は定款記載事項ですから、定款を変更することとなります。なお、名称変更には登記も必要です。

連携推進法人の社員となる法人には、数や地域の制限がない

連携推進法人の社員たる法人については、数や地域の制限はありません。また社員は社会福祉法人でなくてもよいとされています。
医療法人・一般社団法人・NPO・株式会社など、社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する方や社会福祉法人の経営基盤を強化するために必要な方であれば、法人格を問いません。

ただし、過半数が社会福祉法人であることが条件となっています。社員が2法人なら2つとも社会福祉法人でなければなりませんし、社員が3法人なら2法人以上が社会福祉法人でなければなりません。

おわりに

前半にも述べましたように、社会福祉連携推進法人は、個々の社会福祉法人では実施できなかったり、非効率であったりする業務について、合併や事業譲渡などのドラスティックな統合とまではいかない、中間的な事業形態で対応することができます。

まだ制度として新しいため、実績の報告や成果、課題などを目にすることはできませんが、当初の目的に沿った運営がなされることを期待したいです。

辻・本郷 税理士法人では30年前から社会福祉法人向けのサービスを提供しています。
蓄積された豊富なノウハウを活用し、専門スタッフが全国の社会福祉法人のお客さまをサポートしています。

今回解説した社会福祉連携推進法人に関心のある方はもちろん、支援メニューに興味を持たれた方は、ぜひ私どもへお問い合わせください。

執筆担当:新宿ミライナタワー事務所
 社会福祉法人部 伊東 理伊東

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