最近の事業承継コンサルティングの動向【シリーズ・事業承継】
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以前は事業承継コンサルティングの件数自体が少なく、特定の税理士事務所か金融機関だけが、お取引先のオーナーに「事業承継対策はできていますか?」とコンサルティングを行っていました。
一方、現在はどうなっているでしょうか。最近のコンサルティングの動向を見てみましょう。
その商品、本当に「お客様のため」になっていますか?
現在ではほとんどの金融機関(銀行・保険会社・証券会社)、さらには不動産会社も参入し、事業承継コンサルティングとして、節税目的のための商品(投資信託や賃貸不動産)販売を行うようになってきました。
こうしたことは自社の商品を売るため・売りやすくするために行っているにしても、お客様にとって非常に良いアドバイスになり、有益なことだと思います。
ただ、投信や不動産といった商品は本来魅力的なものであるべきなのに、期待をもって中身を見ると、自社の商品を売ることに、あまりにも優先させてしまっているのではないかと疑われるケースも、なかには見受けられます。
結果としてお客様にはメリットがなかったり、場合によっては損害に繋がるケースもありますので、十分に注意が必要です。
コンサルタントは、お客様と接するたびに相手の立場に立ち返り、お客様に適したご提案・アドバイスをしっかりと行っていくことを心がけたいものです。
経営権の承継 ~税理士も会社法の理解を
事業承継のコンサルティングを行う場合には、税務面のアドバイスを行うのは当然ですが、メインは経営権の承継、つまり株式の承継です。
そのため、会社法について理解し、経営権とは何かということを知ったうえでアドバイスすることが求められます。
なお、税理士以外の方が事業承継のコンサルティングを行う場合は、税務面のコンサルティングは業法違反となります(税理士法第52条)。
したがって、税務面以外の経営権の承継コンサルティングをしていくべきでしょう。
では、経営権の承継とはどういうことでしょうか?
本稿では会社の経営、運営を行う権限を一人もしくは複数の人達に与えることと定義したいと思います。
すなわち、後継者(一人もしくは複数の人達)に、その会社の株式をまとめて渡すことです。
必ずしも誰か一人の人に全株式100%を渡す、承継させるということだけではありません。
複数の後継者に自社株式を引き継がせるケースもあると思いますが、その場合には、複数の後継者のうち、誰に、どのように権限を持たせるかを充分に検討し、株式の配分を決定しなければなりません。
承継コストを抑えることを主目的にしてはいけない
承継をしようとする会社の株式の評価が高い場合、承継コスト(相続税や贈与税など)が高くなってしまいます。
そのためには、コストをいかに少なくしていくかという戦略が必要になります。
ただし、経営権についてまったく考えていない、コストを抑えることだけに主眼が行ってしまった悪い事例として、株式を分散させてしまったケースが多く見られます。
歴史の長い会社のなかには株主数が30~50人以上いるところが多くありますが、これこそが典型的な事例です。
自社株式を分散させてしまった結果、経営者の株式保有割合が数%しかない、という表面的には何の権限も有していない経営者がいるということです。
いったん株式を分散させてしまうと、株式を買い戻して集めるということがいかに難しいかを理解しないで行ってしまった、悪い事例なのです。
事業承継対策の原則は、株式を分散させず、後継者に株式をまとめて引き継がせることです。
できれば100%あるいは2/3以上、最低でも過半数の株式を後継者に渡して、経営権を承継させるということが重要です。
おわりに
事業承継においては、経営支配権の確保に加え、後継者問題がポイントになります。
辻・本郷 税理士法人では、経営支配権の確保と有益な株式承継対策、さらには相続税対策、そして争族対策までご支援致します。
法人ソリューショングループ 岩崎 睦
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