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令和7年度税制改正はどうなる? 各省庁の主要要望は

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令和7年度税制改正はどうなる? 各省庁の主要要望

例年8月末を目途に、各府省庁から税制改正に関わる要望が与党の税制調査会へ提出されます。今年も各府省庁からの令和7年度の税制改正要望が出揃いました。

これらは各業界団体等からの要望と合わせ、与党税制調査会による審議を経て、12月中旬ごろに税制改正大綱としてまとめられます。

投資による資産形成の促進や子育て支援による国民生活の安定、中小企業の成長の後押し、外国人旅行者向け免税制度の整備等々、今年も多様な要望が提出されています。

これら各府省庁の要望から、年末に公表される税制改正大綱の傾向が見えてきます。おもな要望を本稿で確認していきましょう。

内閣府による税制改正要望

企業版ふるさと納税の延長

企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体に対して寄付を行った場合に、最大で寄付額の約9割が法人税、法人住民税、法人事業税から控除される税制です。

こちらの税制について、従来令和6(2024)年度までとしていた適用期限を5年間延長する要望です。

新設当初はその利用が伸び悩んでいましたが、令和2年度税制改正で税の軽減効果が拡充されたことを契機に、企業の利用実績が大幅に増加することとなりました。

なお、個人版ふるさと納税と異なり、地方公共団体からの返礼品はありません。

金融庁による税制改正要望

NISAの利便性向上等

NISAの更なる普及や利用促進を図るため、NISAに関する手続きの簡素化・合理化、対象商品の要件の見直しについての要望となります。

8月初旬の株価の大暴落は、投資初心者に大きな動揺を与えたかと思います。新NISAスタート以降、初めての荒れた局面になったかと思いますが、各個人が投資との向き合い方について考える良いきっかけになったのではないでしょうか。
今後のNISAの浸透にあたっては、利用者の投資リテラシーの成熟度も必要になってくるかと思います。

生命保険料控除制度の拡充

23歳未満の扶養親族を有する場合に、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の限度額を、現行の4万円から6万円に引き上げるという内容が前年の令和6年度税制改正大綱で示されています。
この内容を、令和7年度において措置するように要望するものです。

厚生労働省による税制改正要望

iDeCoの拠出限度額及び受給開始年齢の引き上げ等

iDeCoの拠出限度額及び受給開始年齢の引き上げ等

令和6年6月21日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、iDeCoについては大胆な改革を検討し結論を得るとされております。

貯蓄から投資への大きな流れの中、老後の資産形成のさらなる後押しや働き方の多様化に見合う制度改正が図られます。

たばこ税の税率引き上げ

国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制することを目的として、たばこ税の引き上げを継続して要望しています。

防衛力強化の財源としてたばこ税の値上げが令和5年度税制改正大綱に示されましたが、具体的な施行時期は未確定のままです。この時期が今回の税制改正で示されるのかも注目です。

経済産業省による税制改正要望

中小企業経営強化税制の拡充及び延長

従来の適用期限である令和6年度末から2年間延長するとともに、成長志向の高い中小企業を更に後押しし、売上高が100億円を超える中小企業の創出を促進するため、上乗せ措置の創設等を検討する要望です。

現状は、中小企業等経営強化法による認定を受けた計画に基づく設備投資について、即時償却および税額控除(10%もしくは7%)のいずれかの適用となります。

中小企業投資促進税制の延長、中小企業等の法人税率の特例の延長

それぞれ従来の適用期限である令和6年度末を2年間延長する要望です。
新型コロナウィルス感染症の影響から回復しているとはいえ、人材不足や物価高等で依然外部環境は厳しく、引き続き措置の延長が必要です。

産業用地整備促進税制の創設

産業用地を整備する事業において、地方公共団体と連携した民間事業者が用地取得する場合、地権者に対して所得控除を適用する要望です。

これにより、地方公共団体が地権者から直接土地を取得する場合と同様の措置になることが見込まれます。

国土交通省による税制改正要望

子育て世帯等に対する住宅ローン減税等に係る所要措置の延長

子育て世帯等に対する住宅ローン減税等に係る所要措置の延長

子育て世帯等に対して拡充されていた住宅ローン減税(借入限度額の上乗せ措置や、新築住宅の床面積要件を40m2に緩和する措置)およびリフォーム減税を1年間延長する要望です。

19歳未満の子を有する世帯または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯

外国人旅行者の利便性向上、免税店の事務負担軽減等を踏まえた免税制度の見直し

外国人旅行者向け免税制度については、出国時に税関において免税購入物品の持ち出しが確認された場合に免税販売が成立する制度へ移行することとなりました。

移行に際し、免税店側の事務負担軽減や外国人旅行者の利便性向上を図るため、消耗品の特殊包装の廃止、消耗品の販売額の上限額の撤廃、免税店で通常生活の用に供する物品かどうかの判断を不要とすること等の要望です。

おわりに

今回ご紹介した内容は、各府省庁から提出された要望の一部です。

その他、各業界団体等からの要望もインターネット上に公表されていますので、興味のある方はそちらもご確認ください。
こちらはよりドラスティックな内容の要望が多いように見受けられます。

税制改正大綱が公表された際には、当法人のWebサイトで項目をまとめた速報版解説を12月中に、詳細版を翌1月に掲載いたしますのでぜひご覧ください。

執筆担当:渋谷事務所
 法人ソリューショングループ 寺島 礼人
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