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交際費に関わる令和6年度税制改正事項と、大阪・関西万博入場券費用

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交際費に関わる令和6年度税制改正事項と大阪・関西万博入場券費用

以前の記事「経営者が知っておきたい交際費税制の概要」でご紹介した交際費税制について、令和6(2024)年度に税制改正が行われましたので、その内容を解説します。

また、2025年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」)の入場券に関する税務上の取り扱いについて、交際費として課税されるかの検討がなされています。こちらについてもあわせてご説明します。

令和6年度税制改正での交際費に関わる事項とは?

地方活性化の中心的役割を担う中小企業の経済活動の活性化や、「安いニッポン」の指摘に象徴される飲食料費に係るデフレマインドを払拭する観点から、令和6年度の税制改正において交際費課税の見直しが行われました。

これにより、以下2点が改正されました。

① 交際費等の損金不算入制度について、適用期限が3年間延長
② 令和6年4月1日以後に支出される飲食費等から、損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費等に係る金額基準が一人当たり10,000円以下に引き上げ

改正前改正後
交際費等の範囲から除外される一定の飲食費等に係る金額基準一人あたり5,000円以下
(令和6年3月31日以前支出)
一人あたり10,000円以下
(令和6年4月1日以後支出)
接待飲食費に係る損金算入の特例接待飲食費の額の50%に相当する金額が損金算入
(注)資本金100億円超の法人は除外されます。
左記取り扱いが令和9(2027)年3月31日までに開始する事業年度まで延長されます。
中小法人に係る損金算入の特例損金算入額は、下記のいずれかの金額となります。
①交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用の50%に相当する金額
②交際費等の額のうち、800万円に該当する事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額
左記取り扱いが令和9年3月31日までに開始する事業年度まで延長されます。
※参考:自民党「令和6年度税制大綱

改正にともない、経理担当者が気をつけておくべきことは?

交際費等の範囲から除外される一定の飲食費等に係る金額基準の引き上げに伴い、会計システムの勘定科目や経費精算システムの設定見直しや、必要に応じて社内規定等の見直しが必要となります。

また、3月決算以外の法人については、令和6年4月1日の属する事業年度において、交際費等の範囲から除外される一定の飲食費等に係る金額基準が混在することになるため、税務申告上留意が必要です。

大阪・関西万博の入場券費用は交際費に該当しない?

大阪・関西万博の入場券費用は交際費に該当しない?

大阪・関西万博が令和7(2025)年4月13日から10月13日まで、大阪市の夢洲(ゆめしま)で開催されます。

この万博の入場券購入費用に関する税務上の取り扱いは、平成17年に開催された2005年日本国際博覧会(以下「愛・地球博」)と同様の取り扱いとなることが示されています。

国税庁から平成15年7月7日に回答された、愛・地球博に係る費用の税務上の取扱いによると、入場券の購入費用等について、次の通りとなります。

①法人が販売促進等の目的で当該入場券のみを取引先等に交付する場合の当該入場券の購入費用は、交際費等に該当せず、販売促進費等として処理する
②企業等が従業員の慰安会、レクリエーション等として博覧会を見学させる場合の当該入場券の購入費用及びその見学のために通常要する交通費、宿泊費等については、福利厚生費に該当する。なお、従業員の家族を含めて実施した場合も同様とする。

上記の福利厚生費については、次の①~③が前提条件にあることが想定され、これらの前提条件を満たさない場合には、給与課税されるリスクがあります。

①入場券を希望する全従業員を対象として交付すること
②転売や譲渡を禁止し、実際の入場券の使用を事後的に把握すること
③交付しなかった従業員に対して、入場券に代えて金銭等の給付をしないこと

おわりに

交際費は形式的な判断だけでなく実態も踏まえた判断が必要になり、税務調査での指摘が多い項目となります。
判断でお悩みの場合には、辻・本郷 税理士法人までお問い合わせください。

執筆担当:新宿ミライナタワー事務所
 法人ソリューショングループ 倉田 玄
参考サイト
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