令和6年度税制改正要望が公表されました
- 国税・地方税
毎年12月には税制改正大綱が公表されます。その前段階として、8月末期限にて各省庁から税制改正に向けての要望が提出されました。
令和6年(2024年)にはどのような税制が注目されることになるのか、各省庁からの要望のうち、みなさまの身近な税制にポイントを絞ってご紹介します。
なお、本稿執筆時点(2023年9月)の要望であり、必ずしも令和6年度税制改正大綱に織り込まれるものではないことを申し添えます。
内閣府
新型コロナウイルス感染症に関する特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書に係る印紙税の非課税措置の延長【延長】
新型コロナウイルス感染症の影響の長期化をふまえ、経営へ影響を受けた事業者の租税負担軽減を図るため、当該事業者に対して行う特別貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の適用期限を特別貸付が延長された場合には、当該期限まで延長する。
金融庁
NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充等【拡充】
令和6年(2024年)1月からの新しいNISA制度の開始にともない、手続きの更なるデジタル化を推進すること等により、投資家の利便性を向上させ、NISAの更なる普及・利用促進を図る。
投資未経験者も含めて、利用者が簡単にNISAを活用できるようにし、サービスを提供する金融機関や利用者の負担を軽減するため、制度利用者への定期的な確認手続きにマイナンバーを利用するなどデジタル技術の活用により、NISAの手続簡素化・合理化を進める。
生命保険料控除制度の拡充【拡充】
所得税法上の介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を5万円とすること。
一般生命保険料については扶養している子供がいる場合、6万円とすること。
また、所得税法上の保険料控除の合計定期用限度額を14万円とすること(扶養している子供がいる場合16万円)。
死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ【拡充】
死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額(法定相続人数×500万円)に「配偶者及び未成年の被扶養法定相続人×500万円」を加算すること。
死亡保険金が遺族の生活資金としてその生活安定のための役割を果たしている現状に鑑みれば、世帯主を亡くした配偶者と子からなる世帯において相続税納付後の生活資金をより確保していくための配慮が必要。
経済産業省
中小企業向け賃上げ促進税制の拡充および延長【拡充・延長】
赤字や黒字が十分でない中小企業の賃上げを促進するなど、中小企業が賃上げできる環境を整備することで、「構造的・持続的な賃上げ」を実現する観点から、租特の延長期間を長期化する等の措置を講ずる。
交際費の課税の特例(中小法人における損金算入の特例)措置の延長【延長】
中小法人が支出した交際費について、定額控除限度額(800万円)まで損金算入を認める措置の適用期限を2年延長する。
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長【延長】
中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、当該減価償却資産の年間の取得価額の合計額300万円を限度に、全額損金算入できる制度の適用期限を2年間延長する(令和8年3月31日まで)。
2024年税制改正要望の傾向
円安や資源高が続く経済環境下で、岸田内閣は新しい資本主義を実現するために、人への投資、科学技術分野への注力、スタートアップの支援、そして「グリーントランスフォーメーション(GX)」への投資といった4つの柱を提唱しています。
社会的課題解決と経済成長の二兎を実現しようする意図が令和6年度税制要望の理由から読み取れます。
以前にも増して厳しい経済状況の中で企業の成長を後押しするだけでなく、国民生活の安定につながるような要望事項に税制改正への要望がよく表れていると思われます。
おわりに
今回は、令和6年度の税制改正要望のうち、皆様の身近な税制にポイントを絞って紹介いたしました。
インターネットで「税制改正要望」と検索していただくと、各府省庁から数多くの情報が開示されています。項目名をご覧になるだけでも、令和6年度税制改正の傾向をより身近に感じていただけるものと思います。
法人ソリューショングループ 三木 利展
【財務省】令和6年税制改正要望
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