貸倒が発生したら ~消費税計算上の注意点
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コロナ禍で経済状況が安定せず、先行きの見えない状況が続いています。
売掛金の回収サイクルが円滑に回らず、回収できなくなるといった最悪の事態になることも少なくないと思います。
こうした場合は、税務上の要件に合致すれば貸倒として処理することになります。
法人税・所得税では、貸倒損失として損金・経費になる要件が定められていますが、消費税でも、同様の要件が適用されます。
もし貸倒となった場合、消費税の計算上注意しなければならないことが他にもあります。そのポイントをまとめました。
消費税が控除対象になるかは、いつ・どの債権の貸倒かによる
通常では、貸倒等の事実が明らかになった課税期間の課税標準額に対する消費税額から、回収できなくなった分に係る消費税を控除します。
ただし、その課税期間に免税事業者であった場合には、控除して計算することができません。
また、貸倒れた際に課税事業者であっても、免税事業者の期間に売上等が計上されている場合は、控除することができません。
そして、課税対象となる売上に係る債権ではなく、貸付金等の不課税取引の場合は、控除の対象になりません。
つまり、貸倒であることを理由に控除をするためには、いつの・どの債権等であるかによって控除できるか/できないかが変わってきます。
控除できる場合には、消費税額や消費税区分が変わります。
したがって、回収サイクルがずれている取引については、その証憑を保管しておき、明確に紐付けしておく必要があります。
なお、税法上は申告書提出期限から7年間、貸倒等の事実を明らかにする書面の保存が定められています。
貸倒の消費税区分
貸倒れた場合の消費税は申告書上別途集計して記載する必要があります。消費税区分は「貸倒れに係る消費税額」と記載しておきましょう。
貸倒引当金に計上する場合
貸倒引当金に繰り入れる際には、消費税は不課税取引となります。その場合は税込金額を基礎として一定の金額を繰り入れます。
貸倒処理をした金額が回収できた場合は?
ごくまれなケースではありますが、取引先から「残余財産から捻出できた」として 、一部金銭を回収できる場合があります。
貸倒処理が当期の場合は逆仕訳をして仕訳を取り消し、不足部分を貸倒として再度仕訳をします。
もし、前期以前に貸倒処理した場合は、償却債権取立益として計上することになります。
その場合、原則課税と簡易課税のどちらにあたるかにより申告書の記載が変わります。
原則課税の場合 | 一般用の申告書の1表の「控除過大調整税額」の欄に記載する |
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簡易課税の場合 | 簡易課税用の申告書の1表の「貸倒回収に係る消費税額」の欄に記載する。 計算の方法については、簡易課税の場合には課税標準に回収した債権に含まれる消費税額を加算した金額にみなし仕入率をかけて、消費税の計算を行う。 |
おわりに
貸倒に係る処理を行う際は、取引先の状況を加味する必要があります。忘れずに確認しておきましょう。
また、その状況が貸倒であるという状況判断が肝要ですので、時期を逃さないよう適切に判断する必要があります。もし判断に迷われた際は、辻・本郷 税理士法人までご相談ください。
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