気づけば私も申告対象?インフルエンサーの確定申告
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近年、働き方の多様化にともなって新しいビジネスが日々生まれています。
働き方が変われば税金の計算方法も変わります。
今回はインフルエンサーの方にむけて確定申告の基礎をまとめましたので、来年の確定申告に向けて整理をしておきましょう。
インフルエンサーと確定申告 ~フリーランスなら自分で申告!
インフルエンサーとは、影響という意味を持つ「influence」という英語が語源であり、世間に与える影響力が大きい人物を指します。
近年ではSNSの著しい普及により、たとえ芸能人でなくとも、感性豊かで情報発信力のある一般人が影響力を持つことができるようになりました。
また、各企業もその知名度を頼りに自社商品や店舗を紹介してもらう、いわゆるインフルエンサーマーケティングが盛んに行われるようになり、その市場規模は年々増加傾向にあります。
インフルエンサーは企業に属さずにフリーランスとして活躍している方が多いため、自分で確定申告を行う必要があります。
活動の仕方によって、確定申告時の所得区分が変わってくるため、まずは以下の所得区分を理解しましょう。
確定申告の所得区分
~インフルエンサーの場合は事業所得・給与所得・雑所得の3種類
確定申告とは、その人の1年間の所得とそれに対する税額を計算し確定させる手続きをいいます。
その所得の内容によって10種類に区分され、それぞれ計算方法が異なります。
利子所得 | 配当所得 | 不動産所得 | 事業所得 | 給与所得 |
退職所得 | 山林所得 | 譲渡所得 | 一時所得 | 雑所得 |
インフルエンサーの場合に想定される所得区分は、主に「事業所得」「給与所得」「雑所得」の3種類となります。
- 事業所得
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生じる所得 - 給与所得
勤務先から受け取る給料、賞与などの所得 - 雑所得
利子所得から一時所得までの所得のいずれにも該当しない所得(例:副業の所得)
たとえば、完全にフリーランスとして仕事をしていれば事業所得となり、会社員として働くかたわらでインフルエンサーを副業として行っている場合には給与所得と雑所得の2種類を合算して申告することとなります。
そのほか、企業に属さずフリーランスで仕事をしつつアルバイトで月に数回程度働くのであれば、事業所得と給与所得の2種類が関係してくるでしょう。
主たる所得 | 副業 | 想定される所得 |
---|---|---|
インフルエンサー業 | なし | 事業所得(※1) |
会社員(給与) | インフルエンサー業 | 給与所得+雑所得(※1、※2) |
インフルエンサー業 | アルバイト(給与) | 事業所得(※1)+給与所得 |
※1 事業所得か雑所得かの判定は、その所得を得るための活動が社会通念上「事業」と言える程度に行っているかどうかで決まります。
※2 副業などで得た所得が20万円以下の場合は、確定申告が不要となる場合があります。
なお、国税庁は令和4(2022)年10月7日に、事業所得と雑所得の判定に関する取り扱い(改正所得税基本通達35-2)を公表し、それまで不明瞭だった判定基準を明確化しました。
収入金額 | 記帳・帳簿書類の保存あり | 記帳・帳簿書類の保存なし |
300万円超 | 概ね事業所得(注) | 概ね業務にかかる雑所得 |
300万円以下 | 業務に係る雑所得 ※資産の譲渡は譲渡所得・その他雑所得 |
①その所得の収入金額が僅少と認められる場合
②その所得を得る活動に営利性が認められない場合
事業所得とする場合、青色申告を選択した際の特別控除や損失の繰り越しのほか、事業で出た赤字を他の所得と相殺(損益通算)することができるため、上記の判定基準をしっかりと理解し、自身の状況と照らし合わせて判断しましょう。
青色申告についての概要は、過去の税務トピックス『青色申告とは?~白色申告との違いは何?~』が参考になりますのでご覧ください。
申告納税が漏れた場合のペナルティ
もし仮に、税務署への申告納税を失念した場合や、意図的に申告をしなかった場合にはどのようになるでしょう。
国税には、加算税といって、適切に申告納税が行われなかった際のペナルティがあります。
申告はしたものの納めるべき税額が少ない場合には過少申告加算税がかかり、また申告期限までに申告をしなかった場合には無申告加算税という税金がかかります。
また、隠蔽または仮装など、その内容が悪質だと認められた場合には、過少申告の場合は原則35%、無申告の場合は原則40%の税金を上乗せして納税することとなります。
そのほか詳細な取り扱いなどは、国税庁のウェブサイトや過去の税務トピックス『税金の罰金は意外に重い?追徴課税の基本』をご参考ください。
適切に申告納税することは私たちの義務でもあるため、万が一申告を間違えたり納税を忘れたりした際には、お近くの税務署や税理士にご相談の上、速やかに対応することをおすすめします。
おわりに
今回は、インフルエンサーの方向けに税金の取り扱いについてご紹介しました。
なお、ご紹介した内容はあくまで一例であり、その事業の規模や実態などに応じて取り扱いが変わります。
また、例に挙げた所得区分以外に所得が生じている場合には、その所得も踏まえて確定申告する必要が出てきます。
申告について何かお困りのことがございましたら、辻・本郷 税理士法人までお気軽にお問い合わせください。
<参考サイト>
【国税庁】「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
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