辻・本郷 税理士法人

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所得税の配偶者控除、扶養控除のおさらい

  • 所得税

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早いもので、今年も間もなく12月を迎えます。

この時期、会社の税務に関するイベントとして、年末調整があります。
毎年11月になると、私たちの事務所には配偶者控除・扶養控除に関するお問い合わせが増えてきます。
改めて所得税法上の配偶者控除、扶養控除の要件をおさらいしたいと思います。

配偶者控除

配偶者控除は納税者本人に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に、一定の所得控除を受けられる制度です。
ただし、納税者本人の合計所得金額(※)が1,000万円を超える場合には、配偶者控除は受けられません。

※合計所得金額とは、事業所得、不動産所得、給与所得、年金に係る雑所得など、すべての収入に係る所得金額の合計をいいます。(基礎控除や社会保険料控除などの所得控除前の金額)

控除対象配偶者(配偶者控除の対象となる人)

  • ①民法の規定による配偶者であること。内縁関係の人は該当しません。
  • ②納税者本人と生計を一にしていること。
  • ③年間の合計所得金額が48万円以下であること。(収入が給与のみの場合は年収が103万円以下)
  • ④青色事業専従者(青色申告をしている個人事業主の配偶者で、その事業に1年のうち6ヵ月以上従事している者)として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者(白色申告している個人事業主の配偶者で、その事業に1年のうち6ヵ月以上従事している者)でないこと。

配偶者控除額

控除額は納税者本人の所得金額に応じ、次の通りとなります。

納税者本人の
合計所得金額
控除額
一般の控除対象配偶者老人控除対象配偶者(※)
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円

※老人控除対象配偶者とは、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。

配偶者特別控除

配偶者の合計所得金額が48万円を超えることにより、配偶者控除が受けられない場合においても、配偶者特別控除の適用を受けられる場合があります。
なお、配偶者特別控除も納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用できません。

具体的な適用要件は次の通りです。

①配偶者が次のすべての要件を満たすこと。

  • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
  • 納税者本人と生計を一にしていること。
  • 青色事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
  • 合計所得金額が48万円超133万円以下であること。

②配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと。(夫婦2人共が適用することはできない)

③配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者(給与所得者の合計所得額が900万円以下で、生計を一にしている合計所得額が95万円以下である配偶者)がある居住者として、源泉徴収されていないこと。
(配偶者が年末調整または確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)

④配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として源泉徴収されていないこと。
(配偶者が年末調整又は確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)

控除額は納税者本人と配偶者の所得金額に応じ、次の通りとなります。

 控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下









48万円超 95万円以下38万円26万円13万円
95万円超 100万円以下36万円24万円12万円
100万円超 105万円以下31万円21万円11万円
105万円超 110万円以下26万円18万円9万円
110万円超 115万円以下21万円14万円7万円
115万円超 120万円以下16万円11万円6万円
120万円超 125万円以下11万円8万円4万円
125万円超 130万円以下6万円4万円2万円
130万円超 133万円以下3万円2万円1万円

扶養控除

扶養控除は納税者本人に、配偶者以外の扶養親族がいる場合に適用できる制度です。

また、扶養控除については配偶者控除、配偶者特別控除とは異なり、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えても適用が受けられます。

控除の対象となる扶養親族は、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の人で、次の要件のすべてを満たす人をいいます。

  • ①配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(里子のこと)や市町村長から養護を委託された老人であること。
  • ②納税者と生計を一にしていること。
  • ③年間の合計所得金額が48万円以下であること。(収入が給与のみの場合は年収が103万円以下)
  • ④青色事業専従者(青色申告をしている個人事業主の親族で、その事業に1年のうち6ヵ月以上従事している者)として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者(白色申告している個人事業主の親族で、その事業に1年のうち6ヵ月以上従事している者)でないこと。

なお、控除額は扶養親族の年齢、同居しているか否かにより次のように変動します。

区分控除額
一般の控除対象扶養親族38万円
特定扶養親族(※1)63万円
老人扶養親族(※2)同居老人扶養親族以外48万円
同居老人扶養親族(※3)58万円
  • ※1 特定扶養親族とは、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人をいいます。
  • ※2 老人扶養親族とは、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。
  • ※3 同居老人扶養親族とは、納税者本人又は配偶者の父母、祖父母などで、普段同居している人をいいます。

同居の範囲

なお、老人ホームに入所している場合には同居に含まれませんが、例外もあります。
病気治療のために入院し、納税者本人と別居している場合は、その期間が1年以上に渡る長い入院期間であっても、同居に該当するものとして差し支えないこととされています。

おわりに

配偶者控除、扶養控除はサラリーマンにとって数少ない税額軽減制度になります。
実は所得税のみでなく、住民税の税額軽減にもつながる制度であり、適用ができなくなってしまうと、所得税・住民税の税額が大きく増加します。

11月中に、例年扶養にされているご家族の方が配偶者控除、扶養控除の範囲内の年収にあるかを確認をするとよいでしょう。

執筆担当:横浜事務所 伊藤 大輝

<参考サイト:国税庁>

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