サラリーマンの源泉徴収制度、なぜあるの?
- 所得税
給与明細書などで目にすることがある「源泉所得税」。所得に応じた「源泉所得税」を会社が給与から天引きし、私たちサラリーマンの銀行口座にお金が振り込まれています。
例えば、給与の額面は30万円なのに、実際に振り込まれた額は25万円になっていたりしますよね。
天引きされた5万円には、源泉所得税に加えて、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、40歳以上の場合は介護保険料)や住民税が含まれています。
今回はこれらのうち、「源泉所得税」についてとりあげます。
なぜ源泉徴収制度があるのか?
国税庁側のメリット
国税庁側の観点からみると、以下のようなメリットがあります。
- サラリーマンの給与所得の申告漏れを防止できる。
- 納税者一人一人から申告をしてもらうより、会社に納税義務を負わせるほうが徴税手続の簡素化と徴税コストの削減に繋がる。
- 通常、源泉所得税の支払いは毎月であることから、国税収入の時期を平準化することができる。
納税者側のメリット
納税者側の観点からみると、以下のようなメリットがあります。
- 源泉徴収が行われている給与所得者の多くは、年末調整によって所得税の申告・納付の手続が不要になる。
- 報酬等の支払を受ける者の場合には、確定申告時の納付税額が少額となりまたは還付になるため、一時に多額の納付税額が生じない。
源泉徴収制度の効果
要するに、源泉徴収制度は税金の支払い漏れ・徴収漏れを防止するためのしくみなのです。
ちなみに、国税庁の民間給与の実態調査結果によると、令和元年12月31日現在の給与所得者数は5,989万人、令和元年分の給与所得者で確定申告をした人員は1,039万人となっています。給与所得者のうち17.3%ほどしか確定申告を行っていないことになります。
このように数字でみると、制度のおかげで個人で手続きすることなく納税をしている方が多いため、税金の支払い漏れ・徴収漏れが少ないことがわかると思います。
上:【国税庁】令和元年分 民間給与実態統計調査 より、下:【国税庁】民間給与実態統計調査結果 より
納税意識、高めていきましょう
給与明細書をあまり見ていないし、必要なさそうだから確定申告もしていないという方もいらっしゃるかと思います。
年末に配布される源泉徴収票には、1年間で源泉徴収された(支払った)所得税額の記載があります。その場で確認するだけで済ませてしまい、昨年の所得税をいくら支払ったかを覚えている人は少ないと思います。
源泉徴収制度のおかげで会社側が税金を計算してくれるので、多忙なサラリーマンにとっては楽です。
その反面、納税している意識がもてず、税金に対して興味が薄い方も多いのではないでしょうか。
税金に対して受け身でいると、なぜ税率が高いのか?計算方法に誤りがないか?といった疑問を見過ごしてしまうことになりかねず、気がついたら手取りが減っていた… ということもあるかもしれません。
まずは給与明細をチェックしてみることから
税金に興味を持つきっかけづくりのために、まずは給与明細をじっくり見て、源泉所得税・住民税などの金額を確認することから始めてみてはいかがでしょう。
「昨年よりも住民税が高くなってる」などと気づくことが、大きな一歩となるはずです。
法人ソリューショングループ
<参考サイト> 【国税庁】民間給与実態統計調査結果
<関連トピックス> 源泉所得税の納期の特例とは?メリット・デメリット
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