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国税庁がDX化!「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」とは?

  • 国税・地方税

国税庁がDX化!「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」とは?

国税庁は、令和3年(2021年)6月11日に「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション―税務行政の将来像2.0―」を公表し、9月1日に発足したデジタル庁と連携のうえ、税務行政のDX化に取り組んでいます。

過去の税務トピックス『国税庁のDX化で、近未来の税務調査はどうなる?』では、公表されたもののうち税務調査について取り上げていますが、今回は税務手続のDX化や国税庁のあらたな構想についてご紹介します。 

証明書はデータ?源泉徴収票は写真!?

毎年2,000万人超が提出している所得税の確定申告書。

確定申告時期が近づくと、保険会社からは生命保険や地震保険の控除証明書、証券会社からは特定口座の年間取引報告書、また、そのほか住宅ローンの年末残高証明書やふるさと納税の寄付金証明書など、人によってはかなりの数の書類が手元に集まります。

国税庁は上記のような資料について、申告書とのデータ連携に力を入れており、公表された資料では以下のようなスケジュールで実施される予定です。

○確定申告(必要なデータの自動取込等)

確定申告DX化 実現時期

税務行政のデジタル・トランスフォーメーション―税務行政の将来像2.0―より転載

従来は、届いた資料をもとに自身で確定申告書を作成したり、税理士がその資料を受け取り代理で申告をしていましたが、このDX化が進むことで、生命保険やふるさと納税などの情報を各機関からデータで取得し、自身で簡単に申告書作成が行えるようになります。

なお、生命保険や特定口座取引については、昨年10月より政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」を活用したデータの自動取得が可能となっています。
また、2022年からは損害保険やふるさと納税も対応予定となるなど、その範囲は拡大しています。

さらに、国税庁がサポートしている確定申告書等作成コーナーでは、スマートフォンのカメラ機能を活用した新たなシステムを開発中です。
これにより源泉徴収票を撮影するだけで必要な情報を読み取ることができるようになります。

こうしたことによって、上記のデータ取得とあわせて活用することにより納税者の手間が軽減され、申告書に転記する際の入力ミスも防ぐことができるでしょう。

ややこしい届出書もスマホで完結!

個人で開業した場合には「開業届出書」、消費税の納税義務者となれば、「消費税課税事業者届出書」など、税務署にはさまざまな届出書を提出する機会があります。

また、提出期限を過ぎると適用できないものや、提出タイミングを慎重に検討しなければならないものもあるため、必要な届出書を判断するにも一苦労です。

そのため国税庁は、入力事項を最小限にしたうえで、数回のクリック・タップで届出が完了するような仕組みの実現を目指しています。

具体的には、マイナポータルやe-Taxアカウント画面から必要な届出書を選択し、要件などのチェック項目を確認の上、ボタンを押すことでそのまま届出が完了するなど、ワンストップで対応できるような仕組みづくりを準備しています。

マイナポータルでの届出画面イメージ

税務行政のデジタル・トランスフォーメーション―税務行政の将来像2.0―より転載

また、届出書の提出により適用した特例(青色承認、消費税簡易課税等)の情報や、国税の納税状況などもマイナポータルやe-Taxアカウント画面にて確認できるようになります。

過去の状況について税務署へ請求して確認する必要がなくなり、パソコンやスマートフォンひとつで、届出書の提出漏れや納税漏れにも対応できるので、現在と比較して事務量が圧縮されることが期待されます。

相談はロボットとチャットで解決!?

税務署へ行く理由のひとつには、確定申告や届出書などの税務手続きに関する相談もありますが、その相談方法も変わり始めています。

国税庁は、年末調整や確定申告に関する相談をオンラインのチャット形式でロボットが24時間対応するチャットボット(ふたば)を昨年公開し、多くの納税者の疑問に答えました。
今後は、より幅広い相談に応えられるよう、対応項目を順次拡大していく予定になっています。

また、税の質問に対する国税庁の一般的な回答である「タックスアンサー」についても、必要な情報を得やすくするために改修され、あらたに2022年4月リリース予定であるなど、その利便性向上に注目が集まっています。

質問があれば税務署や会計事務所ではなく、スマートフォンでロボットに相談することが当たり前になる世の中もそう遠くはないでしょう。

チャットボットふたば 利用イメージ

税務行政のデジタル・トランスフォーメーション―税務行政の将来像2.0―より転載

※チャットボット(ふたば)の利用開始時期は以下となります
年末調整に関する相談:令和3年(2021年)10月上旬から(予定)
所得税の確定申告に関する相談:令和4年(2022年)1月上旬から(予定)

おわりに

今回は国税庁のDX化のうち、税務手続きについてご紹介しました。

今後納税者にとって、さらに便利になっていくことが想像できますが、依然として税務手続は複雑な部分が多く専門知識を要することが多々あります。

辻・本郷税理士法人では、基本業務である税務顧問はもちろんのこと、税務手続きのご相談や申告対応など、積極的にサポートさせていただいております。
ぜひ、お気軽にご相談ください。

執筆担当:仙台事務所 佐藤 大樹

<参考サイト>
【国税庁】税務行政のデジタル・トランスフォーメーション―税務行政の将来像2.0―

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