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要注意!電子申告義務化の落とし穴

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要注意!!電子申告義務化の落とし穴

昨今、さまざまな分野においてICT(情報通信技術)の活用が急速に進んでいます。
以前のトピックス『大法人の電子申告が義務化』でもご紹介しましたが、日本の税務手続きにおいて大法人などの税務申告については電子申告により行うことが平成30年(2018年)度税制改正により義務付けられました。

この義務化により平成16年(2004年)から開始された電子申告システムがより普及することが期待されます。

電子申告義務があるにもかかわらず、書面により申告した場合には、思わぬペナルティが科されることになりますので、この記事で確認していきましょう。

大法人の電子申告義務化の概要

平成30年(2018年)度税制改正により、「電子情報処理組織による申告の特例」が創設され、大法人などの一定の法人が行う税務申告については、e-Tax(国税電子申告納税システム)により税務申告書を提出しなければならないこととされました。

この改正は令和2年(2020年)4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から適用されます。

①対象税目

  • イ、法人税及び地方法人税
  • ロ、消費税及び地方消費税
  • ハ、法人住民税
  • ニ、法人事業税及び特別法人事業税

②対象法人

  • イ、内国法人(日本国内に本店または主たる事務所を持つ法人)のうち、事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人
  • ロ、相互会社、投資法人及び特定目的会社

※外国法人は対象となりません。
※令和4年(2022年)4月1日以後に開始する事業年度より、グループ通算制度の適用法人も対象となります。
グループ通算制度については、過去の税務トピックス『中小企業でも?!今から準備すべきグループ通算制度』で詳しく解説しています。

③対象税務申告

電子申告

  • イ、確定申告
  • ロ、中間(予定)申告
  • ハ、仮決算の中間申告
  • ニ、修正申告書及び還付申告

④手続き

「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を資本金の額等が1億円を超えることとなった日から1カ月以内に提出する必要があります。

要注意!!資本金1億円以下でも電子申告義務が生じる場合あり!

内国法人のうち電子申告義務がある対象法人については、資本金の額等が1億円超であるかどうかによって判定されますが、当該判定は「事業年度開始の時」においてです。

つまり、もし期中において減資を行ったことにより期末時点の資本金の額が1億円以下であったとしても、当該事業年度の期首時点において資本金の額が1億円超であった場合には電子申告義務が生じることになります。

そのため、もし電子申告ではなく書面により申告をしようとする場合には、事業年度開始時点の資本金の額を必ず確認するようにしましょう。

また、資本金の額等が1億円以下となった場合など電子申告義務化の対象外となったときは、速やかに「e-Taxによる申告の特例の適用がなくなった旨の届出書」を所轄税務署長に提出する必要があります。

書面により申告した場合のペナルティ

電子申告義務化の対象法人であるにもかかわらず、書面により申告書を提出した場合には、無申告加算税が課されることになります。

無申告加算税とは、期限内に申告書を提出しなかった場合に罰則的に課される税金です。つまり、書面による申告はその申告書の提出自体がなかったものとして取り扱われてしまうということです。

なお、無申告加算税はその納付すべき税額に対して15%(納付額が50万円を超える部分については20%)の税率で課されるもので、非常に高いペナルティが発生しますので注意しましょう。

また、申告期限までに書面により申告書を提出した後、申告期限後に電子申告した場合であっても同様の取り扱いとなります。

※災害などやむを得ない理由で書面による申告をせざるを得ない場合には、事前に所轄税務署長の承認を受ける必要があります。

これらペナルティについて、過去のトピックス『知っておきたい! 税金の罰金』で解説しています。

おわりに

今回は電子申告義務化に伴う注意点についてご紹介させていただきました。

電子申告は、一度事前手続きを行えば、効率的かつスマートに税務申告ができます。現在は電子申告義務化の対象でない場合であっても、これを機に電子申告に替えてみてはいかがでしょうか。

執筆担当:
法人ソリューショングループ 松井 幸史

<参考サイト>
【国税庁 e-Tax】大法人の電子申告の義務化について
【国税庁】大法人の電子申告義務化について

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