そろそろ独立!クリニック開業までのスケジュールや手続きは?
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この記事をご覧になっている方のほとんどは、現在勤務医としてお勤めかと思います。
医師としての働き方は勤務医だけではなく、独立して開業するという方も大勢いらっしゃいます。
それは従業員から経営者になるということであり、具体的にどんなクリニックにしたいのか、どのような場所に開設するか、また、家族の理解や協力の合意、といったことについてしっかりと固めたうえで進めていく必要があります。
本稿では、まずはどのような手順で開業していくのかを順を追って解説いたします。
開業すると決めたら、まずは開業のスケジュールを立てる
実際にクリニックを開業するまでには、開業地の選定や採用等で1年~1年半ほどかかるといわれています。
開業を決定したら、まずは事業計画を作成しましょう。
どんなクリニックを開設したいのか、そのためにはどのような場所が良いのか、それを実行するためにどれだけの資金が必要なのか、などを考えていきましょう。
クリニック開業までの具体的な手続きは?
スケジュールを立てた後は、いよいよ開設に向けて動くことになります。クリニックの場所決めから資金調達、内装工事、設備導入、スタッフ募集、そして行政への申請手続きを行います。
開業地の選定[8~11カ月前]
開業するうえで重要となってくるのが、クリニックをどこに開設するかになります。
開業したクリニックが患者様から探しやすく来院しやすい場所にあるか、診療科目が周辺エリアの人口年齢構成とマッチしているか、町としての将来性があるかなど、受診する患者様の数を期待できる場所に選定(診療圏調査)する必要があります。
資金調達[7~9カ月前]
開設場所が決まったら次に資金調達について検討することになります。
調達先は自己資金と金融機関からの融資、また親族からの資金援助などが考えられます。
融資制度として、例えば下記の調達先があります。
- 福祉医療機構
医療施設の整備のための貸付事業を行っています。なお、融資が利用できる地域か否かがクリニックの過不足統計によって決められます。 - 日本政策金融公庫
開業を支援する開業融資制度があり、多くの開業医はこの制度を利用しています。民間金融機関より金利が低く、固定金利がメリットです。 - 医師会提携融資
医師会の提携金融機関から比較的協力的な支援が得られます。 - 民間金融機関融資
一般的な公的融資制度に比べて若干金利が高い場合が多いですが、新規開業ならば積極的に融資の支援が得られる金融機関もあります。
内装工事や医療機器・設備の検討~導入[4~6カ月前]
クリニックの内装工事や、医療機器・設備について必要なものをそろえていく必要があります。
その際に調達資金の状況に応じて、購入だけでなくリースにすべきかを検討していくことになります。
自己資金に問題がない場合は、購入の方が支出面で有利となることが多いですが、リースの場合は一度に多額の資金を準備する必要がないため、開業計画を柔軟に進めることが可能となります。
スタッフ採用とクリニック開設の広告宣伝[1カ月前~開業後]
スタッフの募集についてはハローワークや求人サイト、人材紹介会社等を利用しましょう。
募集の開始時期は、一般的に医院の広告・宣伝を考え始めるのと同じ時期に取り掛かることが多いです。
開業時・開業後の申請等[1カ月前~開業後]
クリニックを開設した後も保健所・厚生局・税務署等への申請等が必要となります。
開設した日から10日以内に、診療所開設届を保健所へ提出する必要がありますが、実際には平面図等が準備できた時点で事前相談の上、開設準備を進めていくことが望ましいです。
それ以外にも、厚生局へ保険医療機関指定申請書の提出を行います。
また、税務署に個人事業の開業届出書、所得税の青色申告承認申請書等も忘れずに提出する必要があります。
保健所 | 開設後10日以内に各種の書類と共に届出を行います。 |
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厚生局 | 社会保険医療に関する手続きを行います。 |
税務署 | 個人事業の開業・ 廃業等届出書 所得税の青色申告承認申請書 等の届出を行います。 |
ハローワーク | 雇用保険適用事業所設置届等 |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険新規適用届等 |
クリニック開業にあたっての注意点
~医業コンサルタントとの二人三脚での開業も一つの方法
上記の開業地の選定や資金調達についてひとりで進めていくこともできますが、勤務医として働きながら同時に開業手続きの時間の確保が難しい場合は医業コンサルタントなどを選定していくことも一つの方法です。
その際は、協力者が何をどこまで対応してくれるのかを事前に確認するようにしましょう。
また、幅広い分野に通じている協力者を選定することをお勧めします。
おわりに
クリニックの開業は、思い立ったらすぐにできることではありません。
また、開業後には施設運営を継続していくために、これまでの勤務医時代の働き方とは違った新しい働き方をすることになります。
雇用主としての責任をもつ立場になり、税制面では給与所得から事業所得へと変わり毎年の確定申告も必要になります。
辻・本郷 税理士法人では社内に医業支援専門チームを設け、長年のノウハウと全国的なネットワークを活かし、開業から開業後についても医療機関の皆さまへの支援を行っています。ぜひ私たちへご相談ください。
ヘルスケア事業部 宮田 正樹
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