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令和6年税制改正大綱で「賃上げ促進税制」はどう変わる? ~子育て支援・女性活躍の観点から解説

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令和6年税制改正大綱での賃上げ促進税制の改正ポイント~子育て支援・女性活躍の観点から

令和5(2023)年12月14日に自由民主党・公明党から「令和6年度税制改正大綱」が公表されました。
辻・本郷税理士法人でも、「速報・令和6年度税制改正大綱」へ今回の税制改正のポイントをまとめておりますので、参考にして頂けますと幸いです。

「賃上げ促進税制」令和6年度税制改正大綱でのポイント

さて、今回の法人課税の改正点の中に、「賃上げ促進税制の拡大及び延長」があります。当該項目の改正のポイントは主に下記の3つが挙げられます。

  • 企業分類について、従前の「大企業」が「大企業」と「中堅企業」に区分される
  • 中小企業に対しては、繰越控除制度(5年間)が創設される
  • 人的投資に対する上乗せ要件が見直され、子育て支援・女性活躍支援をした企業の上乗せの創設や、教育訓練費の適用要件が変更される

このうち、人的投資に対する上乗せとは、特定の要件を満たした企業について税額控除率が上乗せできるというものです。
教育訓練費に関する上乗せ要件は従前よりあったものの、こちらも要件の見直しが行われ、教育訓練費が増加しているのみならず、適用事業年度の教育訓練費の額が全雇用者に対する給与等支給額の0.05%以上であることが求められることとなりました。

子育て支援・女性活躍支援企業への上乗せ要件が追加

さらに、子育て支援・女性活躍支援をした企業の上乗せ要件が追加となりました。
こちらの要件は企業が「くるみん・プラチナくるみん」または「えるぼし・プラチナえるぼし」の認定を受けている場合に+5%の税額控除率の上乗せができるというものです。

女性活躍支援・子育て支援による上乗せ要件の概要

要件(認定を受けている場合に税額控除の上乗せが可能) 税額控除率の上乗せ率
大企業 プラチナくるみん
or
プラチナえるぼし
5%上乗せ
中堅企業 プラチナくるみん
or
えるぼし三段階目以上
5%上乗せ
中小企業 くるみん以上
or
えるぼし二段階目以上
5%上乗せ

具体的に「くるみん・プラチナくるみん」、「えるぼし・プラチナえるぼし」とはどのようなものなのか、また、どのように認定を受けるのか実は知らないという方も多いのではないでしょうか。

くるみん・プラチナくるみん認定は子育てサポート企業の証

「くるみん・プラチナくるみん」マークは、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。

くるみん、プラチナくるみんマーク

次世代育成支援対策推進法に基づいて一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成して一定の基準を満たした企業は、申請を行うことにより厚生労働大臣のくるみん認定を受けることができます。

認定を受けるための取組み例として、以下の例が挙げられています。

  • 育児をしている労働者を対象とした雇用環境の整備(産休・育休といった休暇制度の創設、フレックス制度の導入、事業所内保育施設の設置・運営、育児休業期間中の代替要員の確保、職場復帰しやすい職場風土づくり等)
  • 育児をしていない労働者も含めた雇用環境の整備(年次有給休暇取得の促進、テレワークの導入、職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識を是正するための取組み等)
  • 次世代育成として地域の子育て支援活動への労働者の積極的な参加支援、インターンシップやトライアル雇用を通じた若年者の安定就労に向けた取組み

など

上記の取組みなどを含めた、10項目の認定基準をすべて満たすことでくるみん認定を受けることが可能となります。

さらに、プラチナくるみん認定は、既にくるみん認定を受けている企業がより高い水準で子育て支援の取組みを行うことで認定を受けることができます。

えるぼし・プラチナえるぼし認定は女性活躍企業の証

「えるぼし・プラチナえるぼし」マークは、女性の活躍に関する取組みの実施状況が優良な企業として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。

えるぼし、プラチナえるぼしマーク

一般事業主行動計画の策定を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組みの実施状況が優良である等の一定の要件を満たした企業は申請を行うことによって、厚生労働大臣のえるぼし認定を受けることができます。

認定を受けるための取組みとして、以下の例が挙げられています。

  • 採用時の男女の競争倍率(応募者数/採用者数)が同程度とすること
  • 女性労働者の継続勤務年数を男性労働者の一定割合以上とすること
  • 女性の管理職の割合を一定以上とすること

など

上記の取組みなどを含めた5つの基準を満たした数に応じて、一段階目~三段階目のえるぼし認定を受けることが可能となります。
さらに、プラチナえるぼし認定は、既にえるぼし認定を受けている企業の女性活躍推進に関する取組みの実施状況が特に優良であると認められる場合に認定を受けることができます。

くるみん・えるぼし認定を得ることのメリット

これらの認定を受けることで、冒頭に記載した賃上げ促進税制による税額控除の上乗せが可能になります。
このほか、企業の商品や広告等に認定マークを掲載することで、子育てサポート企業や女性活躍推進企業であることをアピールでき、将来の人材獲得に繋げることができます。

また、特定の企業については認定を得ることで助成金の支給や低金利の融資を受けられる等の資金面での優遇もあります。

おわりに

今回の賃上げ促進税制の改正は令和6年4月1日以後開始する事業年度より適用となります。
近年のSDGsの取組みが求められる社会に対応していくためにも、今回の税制改正を機に企業としての子育て支援・女性活躍推進について検討してみてはいかがでしょうか。

執筆担当:新宿ミライナタワー事務所 法人ソリューショングループ 伊関 千裕
参考サイト
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