辻・本郷 税理士法人

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経済発展のための「地域未来投資促進税制」

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地域未来投資促進税制

新型コロナウイルス感染症を契機としてDX化が加速するなか、地方移転を検討している法人様もいらっしゃるのではないでしょうか。

地域未来投資促進税制は、そんな法人様にぜひおすすめしたい制度です。令和3年度(2021年度)税制改正で、2年の期限延長および内容の見直しがありました。

地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域経済を牽引する事業への積極的な投資を推進することを目的としたこの税制を利用すれば、特別償却などの優遇措置を受けることができます。

地域未来投資促進税制の概要

地域未来投資促進税制とは、都道府県が策定している地域経済牽引事業計画にしたがって特定事業用機械等の設備投資を行った場合に、特別償却または税額控除を受けることができる制度です。

対象となる事業者

青色申告書を提出している法人で、地域経済牽引事業計画の承認を都道府県から受けており、なおかつ、課税の特例措置について国(主務大臣)による確認を受けた事業者が対象となります。

適用期限

令和5年(2023年)3月31日までに事業のために用いた資産について適用が可能です。
令和3年度税制改正により適用期限が2年延長されました。

対象設備

機械装置、器具備品、建物、建物付属設備および構築物で、その取得価額の合計が2,000万円以上のものが対象となり、限度額は80億円となります。

※平成31年(2019年)3月31日以前の取得については、100億円が限度額となります。

特別償却・税額控除

対象設備特別償却税額控除
機械装置および器具備品通 常40%4%
上乗せ要件を満たす50%5%
建物・建物付属設備および構築物20%2%

※税額控除は、その事業年度の法人税額または所得税額の20%が上限です。
※特別償却の償却不足額は翌事業年度に繰り越すことが可能です。

税制を利用するには、都道府県による承認と国による確認が必要

地域未来投資促進税制を活用するには、都道府県による地域経済牽引事業計画の承認に加え、国(主務大臣)による課税特例の確認が必要になります。

地域経済牽引事業計画の詳細については各都道府県・市町村で策定されており、この承認を受けると、国による支援措置を受けられるようになります。

都道府県知事による地域経済牽引事業計画の承認

都道府県および市町村が作成する基本計画への適合が必要となり、地域経済牽引事業の要件は、以下の3つです。

イ.地域特性の活用
ロ.高い付加価値の創出
ハ.地域の事業者に対する経済的効果

国による課税特例の確認

国による課税特例の確認の基本的な要件は、以下の4つです。

イ.先進性を有すること(※特定非常災害により被災した区域を除く)
ロ.総投資額が2,000万円以上であること
ハ.前事業年度の減価償却費の10%以上の投資額であること
ニ.対象事業の売上高伸び率がゼロ超、かつ、過去5事業年度の対象事業に係る市場規模の伸び率が+5%以上

さらに以下の2要件を満たすことにより、上乗せ措置を受けることが可能です。

ホ.直近事業年度の付加価値額増加率が8%以上
ヘ.投資収益率かつ労働生産性の伸びが一定水準以上

上記のうち「イ」については、令和3年度税制改正において、明確化が図られています。
労働生産性の伸び率と投資収益率に焦点を当てた「通常類型」または海外が生産拠点となっている製品の製造と都道府県内の取引額の増加率に焦点を当てた「サプライチェーン類型」のどちらかに該当することが必要です。

※ただし、サプライチェーン類型は上乗せ要件の対象外となっています。

おわりに

今回は地域未来投資促進税制についてご紹介いたしました。
新型コロナウイルス感染症の影響によるDX化の加速もあり、今後、企業の地域移転も進むのではないでしょうか。
その地域を牽引する事業へ積極的な投資をすることにより、地域経済はより発展し、企業としても優遇措置を受けることができます。

この税制は地域経済牽引事業計画の作成や都道府県や国への手続きなどのいくつかのハードルを越えなければなりませんが、そのぶん大きなメリットがあります。ぜひご検討、ご活用ください。

執筆担当:
法人ソリューショングループ 奥村 知広

<参考サイト>
【国税庁】タックスアンサー No.5436 地域未来投資促進税制(地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
【経済産業省】地域未来投資促進法に基づく支援措置

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