【中小企業対象】防災・減災対策の策定で受けられる2つの優遇措置
- 法人税
自然災害が頻発し、新型コロナウイルス感染症が流行している近年、防災・減災の対策は重要性が増しています。
有事の際も事業を中断させない、または中断しても迅速に復旧させるための方針、体制、手順を事前に決めておくなど、備えを入念に行っておきたいものです。
中小企業を対象とした2つの認定制度
中小企業を対象に、事前に防災・減災対策の策定を後押しする「事業継続力強化計画」「連携事業継続力強化計画」の認定制度が創設されています。
事業者が防災・減災の事前対策の計画を作成し、経済産業大臣(地方経済産業局)に申請し、認定を受けます。自然災害のほか、感染症もリスクの対象となります。
「事業継続力強化計画」は単独の企業で作成・申請をしますが、「連携事業継続力強化計画」は複数の企業が連携して作成・申請をします。
認定を受けることで、税制優遇や金融支援、補助金の加点などの支援を受けることができます。
事業継続力強化計画等の認定を受けるには?
認定を受けるために「事業継続力強化計画」を策定します。計画には以下のような項目を記載します。
- ハザードマップ等を活用した自然災害リスクの確認方法
- 安否確認や避難の実施方法など、発災時に初動対応の手順
- 人員確保、建物・設備の保護、資金繰り対策、情報保護に向けた具体的な事前対策
- 訓練の実施や計画の見直しなど、事業継続力強化の実効性を確保するための取組
認定により受けられる支援
認定を受けると、以下のような支援等を受けることができます。
- 低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援
- 防災・減災設備に対する税制措置
- 補助金(ものづくり補助金等)の優先採択
- 連携をいただける企業や地方自治体等からの支援措置
- 認定を受けた企業として、中小企業庁HPで公表
- 認定ロゴマークの使用
防災・減災設備に対する税制措置について
「事業継続力強化計画」等の認定を受けた日から1年以内に取得等をした災害対策のための一定の対象設備は、特別償却(20%)が可能となります。
税制の概要
- 対象者:令和5年3月31日までの2年間に、自然災害等に対する防災・減災対策をとりまとめた「事業継続力強化計画」等の認定を受けた中小企業者
- 支援措置:特別償却20%(令和5年4月1日以降に取得等をする資産は18%)
- 対象設備:「事業継続力強化計画」等の認定を受けた日から1年以内に取得等をする防災のための対象設備です。
具体的な対象設備については「中小企業庁 事業継続力強化計画認定制度の概要」をご覧ください。
特別償却とは
特別償却とは、通常の減価償却にプラスして減価償却費の限度額を増やすことができる制度です。
条件を満たす設備等を取得し、事業の用に供した(事業のために用いた)事業年度は、取得価額に一定割合を乗じて計算した金額が減価償却費の限度額にプラスされます。初年度に多く償却費が計上でき、早期に償却が可能となります。
例えば、500万円の設備を取得し事業の用に供したとすると、この事業年度の償却限度額は、通常の設備の取得より100万円限度額が多くなります。
耐用年数15年、定額法償却率0.067、決算月に事業供用と仮定すると、以下のようになります。
① 通常の減価償却費の限度額:5,000,000×0.067×1月/12月=27,916
② 特別償却の減価償却費の限度額:5,000,000×20%=1,000,000
③ ①+②=1,027,916
他の補助金(ものづくり補助金)の優先採択も
ものづくり補助金は、中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。
補助金額は100万円~1,000万円、補助率が中小企業者等1/2、小規模事業者2/3と、大きく補助が受けられます。
補助金が受けられるかどうかは審査・採点されて決まりますが、事業継続力強化計画等の認定を受けていると採点時に加点されるため、認定を受けていた方が採択されやすくなります。
災害への備えの見直しを!
なお、優遇措置ではありませんが、非常食を備蓄する場合には、備蓄することで事業の用に供したと考えることができます。よって、貯蔵品などで資産計上せずに、消耗品費等として費用計上し、損金とすることができます。
自然災害は日本各地で発生しております。今一度、自社の災害への備えを見直してみてはいかがでしょうか。
弊社では、計画作成のお手伝いも可能ですので、お困りの際はご相談ください。
<参考サイト>
【中小企業庁】事業継続力強化計画
【中小企業庁】中小企業向け補助金・支援ポータル ミラサポplus中小企業向け補助金・総合支援サイト内「ものづくり補助金とは」
【国税庁】非常用食料品の取扱い
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