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別居の親を自分の扶養に入れる際の3つのポイント

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別居の親を自分の扶養に入れる際の3つのポイント

離れて暮らしている親に会いに行ったら、目に見えて身体の動きが衰えていて心配になった。そろそろ介助や介護が必要かな?
…こんな経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

収入のない親御さんをご自身の扶養に入れている方がいらっしゃいますが、別居していても親を扶養に入れることは可能なのでしょうか。判断基準とポイントについて解説します。

親を扶養に入れると、どのくらい税金が減る?

税務上、扶養に入れる、とは所得税の申告の際「扶養控除」の適用を受けることを指します。適用を受けられれば、その分、所得税が減るので、税金面でお得になります。

例えば、親が70歳以上の「老人扶養親族」である場合、同居老親等に該当していれば580,000円、同居老親等以外でも480,000円の扶養控除が受けられます。

ご自身が所得300万円の場合は、税額にして4万8千円以上、所得400万円なら9万円以上も税金が減る計算です。

親を扶養に入れる場合の扶養控除の区分と控除額

親を扶養に入れる場合の扶養控除の区分と控除額は以下の表のとおりです。

親を扶養に入れる場合の控除対象扶養親族の区分
区分 控除額
69歳までの親
(一般の控除対象扶養親族)
38万円
70歳以上(老人扶養親族)
(その年12月31日現在の年齢)
同居老親等以外の者 48万円
同居老親等 58万円

別居の親を自分の扶養控除に入れる際の3つのポイント

  1. 親と「生計を一にする」といえるか
  2. 親自身の所得金額が48万円以内か
    (親の収入が年金だけ&65歳以上の場合、年金収入が158万以内か)
  3. 自分または配偶者の親(6親等内の血族及び3親等内の姻族に該当する)または市町村長から養護を委託された老人か

上記3つの中で、いちばん重要なポイントとなるのが親と「生計を一にする」といえるか、です。

例えば、親と同じ家で寝起きしている場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、上記のポイント1.の「生計を一にする」状態であると取り扱われるので問題ありません。

ですが、別居している場合に「生計を一にする」と認められる判断基準は何処にあるのでしょうか。

3つのポイントのうち重要な「生計を一にする」の判断基準

◆「生計を一にする」に該当する事例

日常、同じ家で寝起きしていない場合でも、下記のいずれかの基準を満たせば「生計を一にする」に該当します。

  • 単身赴任生活や学生生活等の余暇に、定期的に親のもとで、起居を共にしている
  • 親に対して、生活費、療養費等の送金を定期的にしている

つまり、通常は同じ家で一緒に生活しているが単身赴任などで一時的に別居状態になっているだけ、だったり、離れて住んでいるけれど食費や生活費を出すのが一つの同じ財布でそこから送金しているお金で親が生活している、という場合を「生計を一にする」と判断します。

◆「生計を一にする」に該当しない事例

  • 同じ建物で暮らしていても家計は別々
  • 親が自立して生活をしている
  • 親が年金で暮らしている(年金の年額が158万円を超えている)

要は、親は親の生活費を「子供の財布」から出してもらって養われているのか、それとも親は「親の財布」から出して自立して暮らしているか、といった点が「生計を一にする」の判断基準になると言えるでしょう。

別居の親を扶養控除に入れる場合の、その他の注意点

1. 判定の時期は年末

いつの時点で判断するのかというと、その年の12月31日の現況によって判定します。
ですから、夏まで自立して稼いで暮らしていたけれど、身体が弱って働けなくなり、年末までの間に息子や娘らが財布からお金を出して生活の面倒をみるようになっていた、という場合には、その年の扶養控除に入れることができます。

2. 同棲や事実婚の相手の親は、扶養控除できない

扶養控除できるのは「親族」に限られています。親族とは6親等以内の血族及び3親等以内の姻族をいいます。したがって、籍をいれていない相手の親を扶養に入れることはできません。

3. 兄弟姉妹で共同して親の生活費を出している場合

複数人で親の生活費を出していても扶養控除の適用を受けられるのは1人だけ、です。誰の扶養にするかは、原則として申告書等に扶養親族と記載した人、ということになっています。あらかじめ誰の扶養にするか、申告前に話し合っておくとよいでしょう。

その他、こんな場合はどうする?

老人ホームに入居した場合、入院した場合

現在の居宅を離れて老人ホームに入居した場合や、入院した場合はどうでしょうか。

老人ホームに入居した場合

老人ホームに入居した場合

老人ホームに入居した場合に、それまでの親の収入だけでは支払えなくて、生活費を援助し始めることがあります。そんなときも前述の「別居の親を自分の扶養控除に入れる際の3つのポイント」に該当すれば「扶養控除」を受けることができます。

※ただし、元々同居していた場合でも、老人ホームが居所となるため、「同居老親等」には該当せず、「同居老親以外の者」になります。住民票の異動がなくても同様なのでご注意ください。

入院が長引いた場合

病気治療のための入院が長引いた場合でも、前述の「別居の親を自分の扶養控除に入れる際の3つのポイント」に該当すれば「扶養控除」を受けることができます。ただ、親の貯金から入院費を支払っていたり、親の医療保険で入院費を支払えるような場合は、単に立替え払いをしただけとみなされ、「自分の財布」から出したことにはなりませんのでご注意ください。

なお、元々同居していた場合は、老人ホームと違って「同居老親等」に該当します。病気治療のための入院の場合には、治療が終わったら帰宅する前提なので取扱いが異なっています。

父親が年の途中で亡くなった場合、母親をその年の自分の扶養にできるか?

例えば年の途中で父親が亡くなり、父親の準確定申告で配偶者控除を受けた母親を、父の死後に息子や娘が扶養した場合なども、前述の「別居の親を自分の扶養控除に入れる際の3つのポイント」に該当すれば母親を控除対象扶養親族としてその年の「扶養控除」を受けることができます。

従業員が地方に住む両親を扶養しているとして「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出してきた場合、会社(源泉徴収義務者)はそのことを何らかの書類により確認する必要があるか?

国税庁はこれに対して、下記のように回答していますので引用してご紹介します。

「別居している者を扶養控除の対象とするためには、常に生活費、療養費等の送金が行われているなど「生計を一」にしていることが必要となります。法令上、源泉徴収義務者に対してこれを証明する書類等を提出することまで必要とされているわけではありませんが、正しい扶養控除の計算を行うためには、銀行振込や現金書留により送金している事実を振込票や書留の写しなどの提示を受け確認することをお勧めします。」(所法2、所基通2-47)

※参考:国税庁タックスアンサー No.1180 扶養控除

おわりに

別居の親を自分の扶養控除の対象とするためには、常に生活費、療養費等の送金が行われているなど「生計を一」にしていることが必要です。 ”送金している事実” を提示できるように、銀行振込の場合は振込票、現金書留で送金の場合は書留の写しなど保管して、確認を求められた際、対応できるように準備しておいてください。

7、8月はお盆の時期、実家に帰省される方も多いことと思います。家族が集まる機会に話し合ってみるのも一案ですね。

執筆担当:審理室 片 ユカ

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