辻・本郷 税理士法人

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カンボジア進出のために

1. カンボジアへの進出形態

カンボジアに進出する場合、目的に応じて下記の形態が考えられます。

  • 【1】 現地法人…以下の3形態が認められています。

    • ・現地法人の形態は通常、有限責任会社です。
    • ・外国人または外国企業の100%出資により設立することが
      できます。
  • (1)公開有限責任会社 Public Limited Company

    • ・株主は出資の限度で責任を負う
    • ・株主数の制限なし
    • ・取締役3名以上
    • ・株式市場で株式を発行可
  • (2)非公開有限責任会社 Private Limited Company

    • ・株主は出資の限度で責任を負う
    • ・株式の譲渡制限あり
    • ・株主2名以上30名以下
    • ・取締役1名以上
    • ・株式市場での株式発行不可
  • (3)単独株主有限会社(一人会社) Single Member Limited Company

    • ・株主1名のみ
    • ・その他は非公開有限責任会社と同様
  • 【2】パートナーシップ…以下の2形態が認められています。

    • ・利益を獲得する目的で2名以上の者が共同事業体を形成するために契約を交わすもの
    • ・口頭または書面による契約が可能
  • (1)一般パートナーシップ General Partnership

    • ・各パートナーとは別個の法人格を有する
    • ・各パートナーは共同出資者として利益を共有し、債務については無限責任を負う
  • (2)限定パートナーシップ Limited Partnership

    • ・1名または複数の一般パートナー(業務執行権と代表権を有する)と1名または複数の限定パートナー(出資義務を負う)から構成される
    • ・限定パートナーは出資金額を限度として責任を負う
  • 【3】支店 Branch

    • ・外国会社の一部として事業活動を行う
    • ・現地法人と同様の課税義務を負う
  • 【4】駐在員事務所 Representative Office

    • ・利益を獲得するための事業活動不可
    • ・VAT、法人税は課税対象外。給与税、源泉徴収税については課税対象
  • 【5】個人事業主 Sole Proprietorship

    • ・商業省で個人事業主の登録可
    • ・法人登記よりも手続が簡便で費用も低額
    • ・1社1事業の制限あり

(注)カンボジアの投資法上、適格投資プロジェクト(Qualified Investment Project)の適用があるのは現地法人の形態のみ

2.カンボジアでの会社設立手続き
~非公開株式有限責任会社の場合~

  • (1) 法人名(商号)承認の取得

    ・商業省の登録専用ウェブサイトを通じて商号の予約をします。

  • (2) 商業省への商業登記申請

    • ・申請書、定款、銀行残高証明書、株主および取締役に係る書類、その他の必要書類を揃え、商業省の登録専用ウェブサイトを通じて申請します。
    • ・申請後、会社設立証明書、認可レター等を取得します。

3.税務登録

  • (1) 租税総局での認証

    ・商業省で発行された設立関係書類は、発行日から15日以内に租税総局によって認証を受ける必要があります。

  • (2) 租税総局または所轄税務署での納税者登録

    ・事業税(Patent Tax)および付加価値税(VAT)の納税者登録を行い、納税者番号を入手します。手続きには代表者が租税総局へ出向き、顔写真や指紋を登録する必要があります。

4.労働省での申請

  • (1) 事業所開設申告(Registration for Opening of Enterprise)に関する申請

    ・事業所を開設し、従業員を採用したことを労働省に届け出る手続です。

  • (2) 会社台帳登録(Registration of Enterprise Ledger)に関する申請

    ・労働省からの監査の際に監査内容を記載する台帳を発行するための手続です。

  • (3) 従業員給与台帳登録(Registration of Payroll)に関する申請

    ・従業員の給与を記載する台帳を発行するための手続です。

5.従業員の雇用

・外国人比率はカンボジア人の10%以下にする必要があります。但し、労働省の認可を得ればこの比率を上回ることは可能です。

・外国人がカンボジアで働くためにはワークパミットを取得します。

・従業員を雇用する場合、労働法の規定があります。

  • (1)労働時間

    1日8時間、週48時間以内

  • (2)週休

    6日を超えての労働は認められない。原則、日曜日は休み

  • (3)有給休暇

    年間18日。勤続3年間に1日の割合で増加

  • (4)最低賃金

    縫製業等の最低賃金170ドル/月(2018年1月1日より)

  • (5)社会保険

    全額会社負担。給与額に応じた保険料を国家社会保険基金に納める

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