この遺言書は偽造されたのではないか…?
本記事をご覧のみなさんの手元には遺言書があり、みなさんはその遺言書が偽造された可能性があると疑っていることと思います。
本記事では遺言書の偽造を疑ってもよい8つのケースを紹介しています。
このケースのうち1つでも当てはまる場合は、お手元にある遺言書は偽造の疑いがあります。
また、偽造の疑いがある場合は、2章で紹介した6つのステップを踏むことで、その遺言書が偽造されたものであるということを公に認めてもらうことができます。
本記事が遺言書の偽造について悩まれている方の一助となれば幸いです。
【この記事を読むと分かること】
目次
1.遺言書の偽造を疑ってもよい8つのケース
お手元にある遺言書の偽造を疑ってもよい8つのケースをご紹介します。
このケースに1つでも当てはまる場合は、お手元にある遺言書は偽造の疑いがあります。
ケース1 | 遺言書の種類が自筆証書遺言である |
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ケース2 | 遺言書の全文が明らかに他人の筆跡である |
ケース3 | 遺言書の訂正箇所が明らかに他人の筆跡である |
ケース4 | 遺言書の作成年月日が、意思疎通のなくなった日以後の日付となっている |
ケース5 | 遺言者と疎遠な親族が遺言書を発見した |
ケース6 | 遺言書に書かれている文字の色合い・濃淡が異なる |
ケース7 | 遺言書に書かれている文章の形式・言葉遣いが異なる |
ケース8 | 遺言書に書かれた内容が明らかにおかしい |
2.遺言書の偽造を公に認めてもらうための6つのステップ
遺言書の偽造を公に認めてもらうための6つのステップをご紹介します。
1章でご紹介したケースに一つでも当てはまった場合、その遺言書が偽造であることを疑ってもよいでしょう。
その疑いを立証し、公に「その遺言書は無効である」ということを認めてもらうために、以下の手順で作業を行っていきましょう。
ステップ1 | 遺言書の検認をする |
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ステップ2 | 遺言書の偽造を立証する証拠を集める |
ステップ3 | 遺言書の無効の調停を家庭裁判所に申し出る |
ステップ4 | 弁護士に相談する |
ステップ5 | 遺言の無効確認請求訴訟を提起する |
ステップ6 | 遺言書が無効となったた場合は、遺産分割協議を行う |
2-1.遺言書の検認をする
まず、遺言書の検認を行いましょう。
遺言書を発見した場合、速やかに検認を受ける必要があると、民法第1004条に記されています。
(遺言書の検認)
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
まずは家庭裁判所に検認を申し出ましょう。
■検認についての詳細はこちら
遺言書の検認とは?必要な状況・理由・流れを網羅的に解説
2-2.偽造を立証する証拠を集めましょう
偽造を立証する証拠を集めましょう。
裁判所に対して訴訟を起こし、遺言無効の確認を求めるには、筆跡を中心として、遺言の偽造又は変造が疑われる事情について主張・立証を行う必要があります。
偽造を立証する証拠として、以下のようなものを集めましょう。
- 筆跡鑑定により、本人の筆跡と遺言書の筆跡が異なることを証明するもの
- 長谷川式認知症スケールなどにより、遺言書の作成年月日には重度の認知症であり意思能力がなかったことを証明するもの
- 介護日誌の記述など、作成年月日には意思能力がなかったことを証明するもの
- 医師の診察カルテなどにより、作成年月日には意思能力がなかったことを証明するもの
- 遺言者と疎遠な親族が遺言書を発見した場合や、通常想像ができないような場所から遺言書が発見された場合は、発見当時の状況を細かく記録しておいたもの
また、証拠とまではいかなくとも、遺言書の文字・文章・内容に不自然な点があった場合は、ステップ3以降に向けて、なぜその点が不自然なのか証言できるよう準備しておくとよいでしょう。
2-3.遺言書無効の調停を家庭裁判所に申し出る
遺言書無効の調停を家庭裁判所に申し出ましょう。
「調停」とは、裁判官と一般市民から選ばれた調停委員が仲立ちし、当事者たちの合意によって紛争の解決を図る制度です。あくまでも当事者同士が話し合い、問題を解決することを目的としています。
訴訟に移る前に、まずは調停で解決を図ることができないか模索してみるとよいでしょう。
2-4.弁護士に相談する
調停が不調に終わった場合は、集めた証拠を持って、弁護士に相談しましょう。
調停が不調となった場合は、訴訟を起こす必要があります。
訴訟を起こすには、法的な検討が必要ですし、訴訟手続きには手間暇がかかります。
訴訟を起こす場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
2-5.遺言の無効確認請求訴訟を提起する
遺言の無効確認請求訴訟を家庭裁判所に提起します。
実際の手続き等は弁護士が行ってくれるので、弁護士の指示に従って行動しましょう。
2-6.遺言書が無効になった場合は、遺産分割協議を行う
訴訟の結果、遺言が無効になった場合は、遺産分割協議を行いましょう。
遺言書は無効なので、一般的な相続と同様、相続人が全員参加の上、遺産分割協議を行い、遺産分割方法を決めます。
3.まとめ
お手元には遺言書があり、その遺言書が偽造された可能性があると疑っている方を対象に、
をご紹介いたしました。
偽造の疑いのある遺言書を見つけた場合は、辻・本郷グループのTH弁護士法人/TH総合法律事務所にお気軽にご連絡ください。