公的年金は相続財産にならない!亡くなったあとの3つの手続きも解説

年金を受け取っていた方が、お亡くなりになった後に支払われた年金(未支給年金)は、相続財産にはなりません。すなわち、相続税の課税対象ではありません。

年金を受けている方がお亡くなりになった時に行うべき手続きが3つありますので、本記事で確認しましょう。

本記事が、相続発生時の公的年金の取り扱いについて、疑問を持たれている方の一助となれば幸いです。

本記事は「公的年金(国民年金、厚生年金)」について記載しています。
年金の方法で受け取る「個人年金」「企業年金」「退職金」「損害保険」等については、扱いが異なりますのでご了承ください。


1.公的年金は相続財産にならない

年金を受け取っていた方が、お亡くなりになった後に支払われた年金(未支給年金)は、相続財産になりません。すなわち、相続税の課税対象ではありません。支給年金を請求する権利は、「遺族固有の権利」として保障されているためです。また、公的年金の遺族年金についても、同様に相続財産になりません。

未支給年金とは

年金は、亡くなった月までの分を受け取ることができます。しかし、年金は、過去2か月分が後払いされる仕組みですから、亡くなった月の分を本人が受け取ることはできません。つまり、亡くなられた時点で、支給されてない年金が存在することになります。この年金を「未支給年金」といいます。また、日割り計算は行われず、1日に亡くなっても1ヵ月分が支給されます。


2.年金を受け取っていた方が亡くなった時に行う3つの手続き

年金を受け取っていた方が亡くなった時に行う手続きは3つあります。3つの手続きにおける書類の提出先はすべて年金事務所または街角の年金相談センターです。ご確認の上、速やかに手続きを行いましょう。

2-1.①年金受給権者死亡届(報告書)を提出する

年金を受け取っていた方が亡くなった時には、「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です。手続きが遅れ、引き続き年金が振り込まれてしまった場合には、その返還手続きが必要となりますので、下の表を参考に、速やかに手続きするようにしましょう。なお、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されていれば届出をする必要はありません。

提出書類受給権者死亡届(報告書)
添付書類・亡くなった方の年金証書
・死亡の事実を明らかにできる書類※1

※1下記のいずれかの書類
・住民票除票
・戸籍抄本
・市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書

詳細は下記をご確認ください。
■日本年金機構 年金を受けている方が亡くなった時「受給権者死亡届(報告書)」

2-2.②未支給年金を請求する

お亡くなりになった方と生計を同じくしていた遺族は、未支給年金を受け取ることができます。受け取れる人の条件や、請求方法、注意点を確認しましょう。

2-2-1.未支給年金を受け取れる人

未支給年金を受け取れる人はその方と生計を同じくしていた3親等内の親族です。3親等内の親族とは、配偶者 、子 、父母 、孫 、祖父母、兄弟姉妹などです。

2-2-2.未支給年金の請求方法

上記に当てはまる場合には、下の表を参考に、未支給年金・未支払給付金請求書を提出しましょう。

提出書類未支給年金・未支払給付金請求書
添付書類・亡くなった方の年金証書
・亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類
(戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し等)
・亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことがわかる書類※1
・受け取りを希望する金融機関の通帳※2
・亡くなった方と請求する方が別世帯の場合は「生計同一関係に関する申立書

※1 亡くなった方の住民票の除票および請求する方の世帯全員の住民票の写し。亡くなった方の住民票の除票は、請求する方の世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要です。また、マイナンバーをご記入いただくことで、請求する方の世帯全員の住民票の写しの添付を省略できます。
※2 請求書に金融機関の証明を受けた場合は添付不要です。公金受取口座を利用する方は、請求書の「金融機関の証明」欄の証明および受取先金融機関の通帳等のコピーの添付は不要です。

詳細は下記をご確認ください。
■日本年金機構 
年金を受けている方が亡くなったとき「未支給年金・未支払給付金請求書」

2-2-3.【注意点】確定申告が必要な場合がある

未支給年金は、受け取った方の一時所得に該当し、確定申告が必要になる場合があります。下の表で確認しておきましょう。

未支給年金を受け取った年の未支給年金を含む一時所得の合計確定申告
50万円以下不要
50万円より多い必要

■国税庁 国税に関するご相談について

2-3.③ 遺族年金を請求する

遺族年金とは、家計を支えていた人が亡くなった際、残された遺族が困らないようにするための年金です。下の表のように、亡くなった方の年金加入状況や、遺族の状況によって、受け取れる遺族年金の種類が変わります。本章で、受け取れる遺族年金があるのか、その場合、どの種類の遺族年金が受け取れるのかを確認し、請求手続きを行いましょう。

※ 条件の詳細・申請方法については、下記リンクをご参照下さい。
■日本年金機構 年金を受けている方が亡くなった時「そのほかの遺族給付」

亡くなった方の年金加入状況別、受け取れる遺族と年金の種類「子」とは、18歳になった年度の3月末までの子、障害の状態にある場合は20歳未満の子

2-3-1.亡くなった方が国民年金のみに加入していた場合

亡くなった方が国民年金のみに加入していた場合で、「子」がいる場合

亡くなった方が国民年金のみに加入していた場合には、「子」がいる場合、「子」のある配偶者、または「子」遺族基礎年金が支給されます。

遺族年金の種類遺族基礎年金
亡くなった方の条件国民年金に加入していた人が亡くなった時
受け取れる遺族亡くなった方によって生計維持されていた「子のある配偶者」あるいは「子」
亡くなった方が国民年金のみに加入していた場合で、「子」がいない場合

お亡くなりになった方が、国民年金のみに加入していて、該当する「子」がおらず、遺族基礎年金をもらえない場合、「寡婦年金」もしくは「死亡一時金」が支給される可能性があります。

寡婦年金

夫が亡くなった場合に、条件を満たすに支給される年金です。

遺族年金の種類寡婦年金
受け取れる遺族※亡くなった夫の妻60歳から65歳までの間受けることができる。
亡くなった方の条件
・亡くなった夫が国民年金のみに加入していて遺族基礎年金をもらえない場合

・亡くなった夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取っていなかった場合
・亡くなった夫が10年以上国民年金に加入していた場合

※ 妻自身が本来65歳から受け取れる自分の老齢基礎年金を、65歳より前から繰り上げで受給している場合、同時に寡婦年金を受け取ることはできません。

死亡一時金

遺族基礎年金や寡婦年金が受け取れないときに、一度だけ支給される年金です。

遺族年金の種類死亡一時金
受け取れる遺族・亡くなった方によって生計維持されていた遺族
・「配偶者、子、父母・・・」と、受け取る優先順位が決まっている。
亡くなった方の条件
・亡くなった方が国民年金のみに加入していて遺族基礎年金や寡婦年金をもらえない場合

・亡くなった方が老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取っていなかった場合
・亡くなった方が3年以上国民年金に加入していた場合

2-3-2.亡くなった方が厚生年金に加入していた場合

厚生年金に加入していた人が亡くなった時は、一定の条件を満たした遺族に遺族厚生年金が支給されます。また、「遺族基礎年金」を受け取れる場合には、その両方を受け取ることができます。

遺族年金の種類遺族厚生年金
亡くなった方の条件厚生年金に加入していた人が亡くなった時
受け取れる遺族・亡くなった方によって生計維持されていた遺族
・「子のある配偶者、子、子のない配偶者、父母・・・」と、受け取る優先順位が決まっている。

3.まとめ

未支給年金は相続財産にならないこと、すなわち、相続税の課税対象ではないということ、年金を受給していた方がお亡くなりになった時にすべき3つの手続について、紹介してきました。

相続手続きは、時間のない中で、大変負担になると思います。お一人で悩まずに、ぜひ辻・本郷グループへご相談ください。お問い合わせお待ちいたしております。

辻・本郷 税理士法人の相続税申告サービス
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