相続放棄申述書はどうやって記入すればよいのだろう…?
本記事をご覧になられた方は、相続放棄を検討中で、家庭裁判所のHPなどで相続放棄の申述をするには「相続放棄申述書」というものが必要であることは分かったものの、相続放棄申述書とはいったいどういう書類で、どこで取得できて、どうやって記入すればよいか分からず悩まれているのではないでしょうか。
本記事では、以下の3点を説明しています。
- 相続放棄申述書とは
- 相続放棄申述書の取得方法
- 相続放棄申述書の書き方
ご覧いただければ、相続放棄申述書をご自身で記入することができることでしょう。
本記事が相続放棄をご検討中の方の一助となれば幸いです。
1.相続放棄申述書とは
相続放棄申述書とは、相続放棄を認めてもらうための申請書類です。
相続放棄申述書を記入して、戸籍謄本など他の必要書類とともに家庭裁判所に提出することで、相続放棄の申述が受理されます。
■相続放棄の必要書類の詳細はこちら
相続放棄で必要な5つの書類
【相続放棄申述書のフォーマット】
1-1.相続放棄申述書の提出先は家庭裁判所
相続放棄申述書の提出先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。
管轄の裁判所は、以下の裁判所HPから検索することができます。
1-2.相続放棄申述書の提出期限は自己のために相続が開始された日から3か月以内
相続放棄申述書の提出期限は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。
自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続放棄申述書などを提出して家庭裁判所に申述する手続きを行わないと、原則相続放棄をすることはできません。
※注意
自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内という熟慮期間内に相続人が相続財産の状況を調査しても、なお、単純承認・限定承認または相続放棄のいずれをするかを決定できない場合には、家庭裁判所に申立てることにより熟慮期間を伸長することができます。
1-3.相続放棄申述書は自分で記入できる
相続放棄申述書は自分で記入することができます。
フォーマットをご覧いただければお分かりかと思いますが、相続放棄申述書の記入内容はシンプルです。
弁護士や司法書士などの専門家に依頼せずとも、自分で記入することができるでしょう。
しかし、本当に相続放棄をすることが最良なのか、選択をご自身で行うことは難しい場合が多くあります。
必要に応じて、弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
1-4.相続放棄申述書は必要書類を集めた後に記入することがおすすめ
相続放棄申述書は、相続放棄の必要書類を集めた後に記入することをおすすめします。
相続放棄申述書には、被相続人(亡くなった方)の本籍や最後の住所など、必要書類を見ないと記入できない項目が多くあります。
まず、必要書類を集めた上で、その必要書類を見ながら、相続放棄申述書を記入するとよいでしょう。
2.相続放棄申述書の取得方法
相続放棄申述書の取得方法を解説します。
相続放棄申述書は以下の2つの方法で取得することができます。
方法1 | 裁判所HPからダウンロードする (ダウンロードはこちら) |
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方法2 | 家庭裁判所の窓口に取りに行く (最寄りの家庭裁判所の検索はこちら) |
3.相続放棄申述書の書き方
相続放棄申述書の書き方を順番に解説します。
みなさんが記入するところを青字で表記しています。
3-1.家庭裁判所名・日付・申述人の名前を記入する
まず、家庭裁判所名、日付、申述人の名前を記入しましょう。
※印鑑を押す欄もありますが、書き損じる可能性もあるため、このタイミングでは押印しないことをおすすめします。
①家庭裁判所名
相続放棄申述書を提出する家庭裁判所名を記入します。
支部や出張所の記入は不要です。
②日付
相続放棄申述書の作成年月日を記入します。
③申述人の名前
相続放棄をする人の名前を記入します。
3-2.添付書類にチェックをつける
該当する添付書類にチェックを入れて、通数を記入してください。
3-3.申述人の欄を記入する
申述人の欄を記入しましょう。
裁判所が連絡が取れるように、本籍・住所は正確に記入しましょう。
ご自身の戸籍謄本を見ながら記入することがおすすめです。
職業の欄は、「会社員」「自営業」「公務員」「学生」などと記載すれば大丈夫です。
会社名を書く必要はありません。
3-4.(申述者が未成年者の場合)法定代理人等の欄を記入する
申述者が未成年の場合、法定代理人等の欄を記入しましょう。
法定代理人等が親権者の場合は、住所は申述人と同じである場合が多いです。
その場合は、例のように「申述人の住所に同じ」と書くことで省略することができます。
また、電話番号は携帯電話でも構いませんので、平日の日中に連絡のつく番号を記入してください。
3-5.被相続人の欄を記入する
被相続人の欄を記入しましょう。
被相続人とは亡くなった方のことです。
本籍や最後の住所は、被相続人の戸籍謄本を見ながら正確に記入しましょう。
3-6.申述の理由を記入する
次に2ページ目に移り、申述の理由を記入しましょう。
①相続の開始を知った日
基本的には「被相続の死亡日」を記入します。
先の順位の相続人全員が相続放棄をしたために自分に相続権が回ってきた場合など、「被相続人の死亡日=相続の開始を知った日」である場合は、自分が相続人になったことを知った日を記入しましょう。
②放棄の理由
該当するものに「〇」をつけましょう。
該当するものがない場合は、その他を選択して簡潔に理由を書きます。
その他に該当するものは「相続人同士の遺産相続争いに巻き込まれたくない」などが挙げられます。
また、この欄は本人の意思によって相続放棄されているかどうかを確認する項目なので、理由によって相続放棄の申述が却下されるということはありません。
③相続財産の概略
被相続人のプラスの財産・マイナスの財産両方の内訳を記入します。
不動産の坪数や預貯金の金額は、大体の数字で問題ありません。
また、判明していない財産がある場合は、空欄にするか「不明」と書きましょう。
3-6.申述人の押印をする
1ページ目に戻って、申述人の押印をしましょう。
印鑑は認印でも問題ありませんが、シャチハタは不可です。
3-7.収入印紙を貼る
最後に800円分の収入印紙を貼りましょう。
収入印紙は郵便局や法務局、金券ショップなどで購入できます。
また、収入印紙の上に押印する必要はありません。
4.相続放棄申述書についてよくあるQ&A
相続放棄申述書についてよくあるQ&Aを紹介します。
Q.相続放棄申述書は手書きで作成するのか
A.ご自身で作成する場合は、手書きで作成される方が多いです。
家庭裁判所のHPに掲載されているファイルはPDFですし、家庭裁判所の窓口では印刷されたものをもらうことが多いので、ご自身で作成される場合は手書きで作成される方が多いようです。
また、弁護士などの専門家に依頼した場合は、専用のソフトを利用して作成することが多いようです。
Q.相続放棄申述書は両面印刷をしてよいのか
A.両面印刷をしてはいけないという決まりはありません。
両面印刷をしても問題ないでしょう。
Q.代筆してもらってもよいのか
A.原則は本人が記載します。
しかし、特殊な事情があれば、代筆でも構いません。
このような判例もあります。
相続放棄の申述書には原則として本人の自署を要するが、特段の事情(本人が放棄の手続を他の者に一任し、その者に印章を預けた場合)があるときは本人又は代理人の記名押印のみでも受理される(最判昭29・12・21)。
なお、認知症などにより申述者本人の判断能力が低下している場合は代筆が認められません。
ご注意ください。
Q.記入ミスをしたので修正したいが、どのように修正すればいいのか
A.以下の手順で修正しましょう。
また、記載例では見やすいように赤色で記入しましたが、「黒」で記入して問題ありません。
- 誤字に二重線を引く
- 訂正印を押す
- 脇に書き直す
4.まとめ
相続放棄申述書はどうやって記入すればよいのだろう…?
とお悩みの方を対象に、「相続放棄申述書とは」「相続放棄申述書の取得方法」「相続放棄申述書の書き方」を解説してまいりました。
相続放棄申述書を実際に記入する時は、本記事を見ながら記入することをおすすめします。