親から相続した財産も、財産分与の対象になるの?

皆さんは「財産分与」という言葉を知っていますでしょうか?そうです。離婚する際に出てくる言葉です。

「相続した財産は財産分与の対象になるのでしょうか?」
「離婚したいけど、せっかく親からもらった財産は渡したくない!」
「まだ、離婚を悩んでいるけど、財産のことが気になる」

なかなか人には聞きづらい問題だと思います。

この記事では、相続と財産分与の関係性について解説しています。ぜひ、最後までご覧ください。


1.相続した財産は原則、財産分与の対象外です

相続した財産は、“原則”財産分与の対象外となります。
そもそも「財産分与」とは、夫婦が婚姻期間中に共同で築き上げてきた財産を、離婚する際に精算することをいいます。例えば、夫の収入で不動産を購入して夫の名義になっている場合でも、妻が家事等を分担して夫を支えていたときは、その不動産は実質的に、夫婦の共有財産」といえると考えられます。

また、相続した財産は、その相続した人「特有の財産」であり夫婦で築き上げてきたものでは無いため、財産分与の対象外とされています。

・共有財産とは
夫婦が共同で所有する財産、婚姻中に夫婦が協力して形成した資産

・特有財産とは
夫婦の一方のみの財産、名義に関わらず、取得・管理が夫婦の一方のみで行われた財産


2.注意!共有財産と認められた場合は、財産分与の対象になります

夫婦のどちらかが相続で取得した財産であっても、配偶者の協力や貢献で、相続した財産の資産価値が増加した場合や、その財産の維持に貢献した場合は、例外的に共有財産とみなされ財産分与の対象となる場合があります。


3.財産分与の対象になる代表的な5つのケース

原則、相続した財産は財産分与の対象外ですが、例外的に対象になるケースがあります。代表的な例を5つ紹介させていただきます。あくまでも、一般的なケースになりますので個別具体的なことは必ず弁護士に相談しましょう。

財産分与の対象になる代表的なケース
1.相続した現金を生活費として利用していたケース
2.相続した物件を共同で修繕したケース
3.相続した土地に共同で建物を建てたケース
4.相続した事業用施設を共同で経営していたケース
5.相続した財産を妻or夫が管理していたケース

3-1.相続した現金を生活費として利用していたケース

例えば、親が亡くなり現金を相続することとします。その場合、親の銀行口座を解約し、自分の持っている口座へと振り込んでもらうという流れになるのですが、相続財産の振込先が夫婦の共有口座であり、かつそこから生活費を支払っていた場合、財産分与の対象になってしまう可能性があります。

元々、持っていた現金と混在してしまうため、何にどのくらい使ったのか分からなくなってしまいます。
このようなことが起きないように注意しましょう。

3-2.相続した物件を共同で修繕したケース

親から、賃貸物件を相続したとします。老朽化が進み、修繕が必要になった場合に夫婦の共有口座から修繕費を支払ってしまうと財産分与の対象になる可能性があります。

このように相続した不動産の資産価値向上に、配偶者の貢献がある場合は財産分与が認められてしまうこともありますので、気を付けましょう。

3-3.相続した土地に共同で建物を建てたケース

相続した土地の上に、夫婦の共有名義で建物を建てた場合は、建物が財産分与の対象になる可能性があります。

土地は、共有財産ではないため、建物のみ財産分与の対象になる可能性があります。

3-4.相続した事業施設を共同で経営していたケース

親の事業を相続し、その配偶者も共同で経営していた場合は、財産分与の対象になる可能性があります。

事業価値の向上に、どのくらい貢献していたかが重要なポイントになります。判断しづらい論点となりますので、弁護士へ相談することをお勧めします。

3-5.相続した財産を妻or夫が管理していたケース

例えば、どちらかの親が亡くなり株式等を相続したとします。その運用を配偶者に任せ、利益が出ていた場合は、資産価値の向上に貢献していたとして財産分与の対象になる可能性があります。


4.財産分与は弁護士に相談しましょう

3章では代表的な5つのケースを紹介させていただきましたが、上記以外にも個別具体的なケースが存在します。例えば、共有口座に相続した現金を入れていたが、夫婦で使用した痕跡がない等、その夫婦ごとに様々な問題があると思います。一人で悩まずに、弁護士へ相談することをお勧めします。

その上で、税金の分野の問題がでてきたら税理士へ相談しましょう。


さいごに

ここまで、相続した財産は財産分与の対象になるかどうかを解説させていただきました。

原則、相続した財産は財産分与の対象にはなりませんが、様々なケースによっては財産分与の対象になる可能性があります。非常に難しい問題となりますので、必ず弁護士へ相談することをお勧めします。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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