相続を進める中で問題になりやすい15のこと

相続は難しい…
相続手続きはとにかく大変…

という言葉をよく耳にするけど、具体的に何がそんなに問題なのだろうか?

本記事はこのような疑問をお持ちの方を対象に、これからあなたが相続手続きを進める中で問題になりやすい15のことを紹介しています。

また、本記事には問題ごとの対処方法を記載しています。
その問題に直面した時にご覧いただき、問題を解決へ導く手助けとしていただければ幸いです。

※一般的に「争族」などと言われる相続トラブルについて、この記事には記載していません。
この記事に記載しているのはあくまでも、「相続手続きの実務的な問題」です。
相続トラブルになりやすいケースを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

遺産相続トラブルになりやすい10のケース|生前にできるトラブル解消方法も解説


1.相続を進める中で問題になりやすい15のこと

相続を進める中で問題になりやすい15のことを紹介します。

このように問題になりやすいことが多数あるため、相続は難しく、大変と言われています。

遺言書編遺言書を見つけたが、どうしたらいいのかわからない
遺言書が有効か無効か判断がつかない
遺言書の内容が不公平で納得がいかない
相続人編誰が法定相続人になるのか分からない
相続手続き編何から相続手続きをはじめたらよいのか分からない
時間がなく、相続手続きを自分で行うことができない
遺産分割編遺産分割を巡って相続人間でトラブルが発生している
認知症の相続人がいて、遺産分割協議が進まない
遺産分割協議書の書き方が分からない
税金編相続税がかかるかどうかわからない
土地の相続財産評価を自分で行うことができない
相続税申告の期限に間に合わない
不動産編相続した不動産が空き家になってしまう
相続登記を自分で行うことができない

2.遺言書編

相続の中でも遺言書に関することで、問題になりやすい3つのことを紹介します。

遺言書編遺言書を見つけたが、どうしたらいいのかわからない
遺言書が有効か無効か判断がつかない
遺言書の内容が不公平で納得がいかない

2-1.遺言書を見つけたが、どうしたらいいのかわからない

遺言書を見つけたら、開封せずに、家庭裁判所に検認をしてもらいましょう。
遺言書を勝手に開封することは民法1005条で禁じられています。

検認とは遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。(家庭裁判所HP:遺言書の検認より)

遺言書を見つけると衝動的に開封したくなりますが、開封せずに家庭裁判所で検認をしてもらいましょう。

遺言書の検認とは?必要な状況・理由・流れを網羅的に解説

2-2.遺言書が有効か無効か判断がつかない

以下のチェックリストを使用して、有効か無効か判断しましょう。

自筆証書遺言公正証書遺言チェック項目
1遺言書全文が自書ではない
2日付がない・具体的な日付が特定できない
3遺言者の署名がない
4署名の後ろに印が押されていない
5財産目録に署名と印が無い
6遺言書の修正がきちんとされていない
7共同で作成されている
815歳未満の人が作成した
9証人になれない人が立会人をしていた
10内容が不明瞭である
11認知症など遺言能力がない人が作成した
12内容が公序良俗に違反している
13詐欺・脅迫により遺言が作成された
14新しい遺言があり、内容が矛盾している

一つでもチェックがついた場合は無効となる可能性があります。
遺言書が無効であった場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、新しく遺産分割案を考えることを提案しましょう。

他の相続人が「遺言書が有効である!」と主張したり、相続人間で遺産分割についての話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所で調停・訴訟となります。調停・訴訟となった際は弁護士に相談することをおすすめします。

遺言書が有効か無効か判定できる14のチェック項目

2-3.遺言書の内容が不公平で納得がいかない

遺言書の内容が不公平で納得がいかない場合は、形式的に不備がないか確認した後に、遺留分を請求するための手続きを進めていきましょう。

各ステップの詳細は、項目名をクリックすると見ることができます。

ステップ1形式的に不備がないか確認する
ステップ2自分には遺留分を請求する権利があるか確認する
ステップ3家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し出る
ステップ4家庭裁判所に遺留分侵害額請求の請求訴訟を提起する

3.相続人編

相続の中でも相続人に関することで、問題になりやすいことを1つ紹介します。

相続人編誰が相続人になるのか分からない

3-1.誰が法定相続人になるのか分からない

相続する権利のある人を法定相続人と呼び、被相続人との関係性によって以下の通り優先順位が設けられています。

配偶者は常に法定相続人となり、配偶者以外の人は、①子供②直系尊属③兄弟姉妹の順で配偶者と一緒に法定相続人になります。

法定相続人は第一順位である子供がいれば、「配偶者+子供」、第一順位である子供がおらず、第二順位である直系尊属がいれば「配偶者+直系尊属」といったようになります。

養子・内縁の妻・行方不明の相続人など、イレギュラーなケースの対応は、以下の記事にまとめてあります。

法定相続人とは誰なのか?迷いやすい10の事例つき


4.相続手続き編

相続の中でも相続手続きに関することで、問題になりやすい2つのことを紹介します。

相続手続き編何から相続手続きをはじめたらよいのか分からない
時間がなく、相続手続きを自分で行うことができない

4-1.何から相続手続きをはじめたら良いのか分からない

以下の一覧表の順番で相続手続きを進めていきましょう。
各項目名をクリックすると、その手続きを「どこで・誰が行うのか」など詳細を確認できます。

目安手続き
死亡日から7日以内死亡診断書の受け取り
死亡届の提出
火葬許可証の取得
埋葬許可証の取得
死亡日から10日以内年金受給者死亡届(報告書)の提出
死亡日から14日以内介護保険被保険者証の返却・
介護保険の資格喪失届の提出
世帯主変更届の提出
死亡日から1か月以内国民健康保険証の返却 ※目安
葬祭費の申請 ※目安
金融機関への口座凍結の連絡 ※目安
公共料金の解約(名義変更) ※目安
生命保険金の請求 ※目安
死亡日から2ヶ月以内遺言書の有無の確認 ※目安
遺言書の検認 ※目安
相続人調査 ※目安
故人の財産の調査 ※目安
死亡日から3か月以内相続放棄の申述
死亡日から4か月以内準確定申告
預貯金の名義変更手続き ※目安
高額療養費の請求 ※目安
死亡日から6か月以内遺産分割協議の開始  ※目安
遺産分割協議書の作成 ※目安
死亡日から10か月以内相続税申告
死亡日から1年以内遺留分侵害額請求の手続き
死亡日から3年以内相続登記(不動産の名義変更手続き)

大切な人が亡くなったら行う24の相続手続き

4-2.時間がなく、相続手続きを自分で行うことができない

代行センターに、相続手続きを代行してもらいましょう。
代行センターとは、弁護士・税理士・司法書士といった士業の事務所が、他の専門家と連携しながら相続手続きをワンストップで代行する組織です。

■代行の記事


5.遺産分割編

相続の中でも遺産分割に関することで、問題になりやすい3つのことを紹介します。

遺産分割編遺産分割を巡って相続人間でトラブルが発生している
認知症の相続人がいて、遺産分割協議が進まない
遺産分割協議書の書き方が分からない

5-1.遺産分割を巡って相続人間でトラブルが発生している

相続人間の話し合いでトラブルが解決しない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は法律と紛争解決の専門家です。

相続トラブルが解決しない限り、遺産分割協議を終えることができません。
遺産分割協議を終えないと預貯金の払い戻し、相続税申告など他の相続手続きを終えることもできなくなるので、なるべく早く弁護士に相談しましょう。

■辻・本郷グループの弁護士法人 TH弁護士法人
遺産相続トラブルになりやすい10のケース|生前にできるトラブル解消方法も解説

5-2.認知症の相続人がいて、遺産分割協議が進まない

認知症の相続人に意思能力がない場合は、成年後見制度を利用することで遺産分割協議を進めることができます。

成年後見制度とは、判断能力が不十分な方(認知症、知的障害、精神障害)を保護するためのものです。
成年後見人には親族もなることができますが、遺産分割協議の場合は利害のからなまい第三者、かつ専門家でもある弁護士に依頼することがおすすめです。

しかし、認知症であっても医師の診断により判断能力に問題なしとされれば、遺産分割協議に参加することができます。意思能力があるかどうか不安な相続人がいる場合は、いきなり成年後見人を立てるのではなく、まず医師に相談しましょう。

5-3.遺産分割協議書の書き方が分からない

遺産分割協議書には決まった形式はありません。
手書き・パソコンどちらでも作成可能ですので、以下の雛形に沿って作成してください。

遺産分割協議書 全体 基本

また、赤字の部分は遺産の種類によって異なります。
各遺産ごとの書き方は以下をクリックしてご覧ください。

遺産分割協議書とは?雛形付き作成方法も徹底解説!


6.税金編

相続の中でも税金に関することで、問題になりやすい3つのことを紹介します。

税金編相続税がかかるかどうかわからない
土地の相続財産評価を自分で行うことができない
相続税申告の期限に間に合わない

6-1.相続税がかかるかどうかわからない

相続税は「相続した財産の額から、債務や葬式費用を差し引いた後の額(課税価格)」が、基礎控除額を上回っている場合にかかります。

※基礎控除とは、ある一定の額までなら税金がかからない額のことです。
基礎控除額は全員一律ではなく、以下の計算式で計算します。

 3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税がかかるかどうか、相続税の概算額は、以下の相続税計算シミュレーションで出すことができます。ご活用ください。

相続税計算シミュレーション

6-2.土地の相続財産評価を自分で行うことができない

土地の相続財産評価は、相続専門税理士に依頼することをおすすめします。

なぜなら、相続人ご自身で不動産の評価をおこなうと、適切な財産評価・控除や特例の適用を行うことができず、納める必要のない税金を納めることになる可能性が高いからです。

あくまで一例ではありますが、以下のような土地の評価であれば、税理士が適切な「財産評価」「控除・特例の適用」をおこなうことで、土地の評価額は5,016万円のマイナス、相続税額は400万円のマイナスになります。

相続した不動産(土地・建物)の評価方法をわかりやすく解説

6-3.相続税申告の期限に間に合わない

相続専門税理士に相談の上、とりあえず申告しましょう。

申告期限ギリギリになってしまった場合、自分で申告をするのは、ほぼ不可能であるため、速やかに相続専門税理士へ相談しましょう。

その上で、一旦、法定相続分で分割し、申告を行ってください。期限内に申告しないと、各種特例や税額軽減が使えなくなってしまいます。

申告をした後でも、「修正申告」や「更正の請求」をすれば損はしないようになっているので、落ち着いて対処しましょう。

税理士が教える!相続税申告の期限とは?初めての人向けに解説しました


7.不動産編

相続の中でも不動産に関することで、問題になりやすい2つのことを紹介します。

不動産編相続した不動産が空き家になってしまう
相続登記を自分で行うことができない

7-1.相続した不動産が空き家になってしまう

自分で所有する意思がなければ、手放すことを検討しましょう。

空き家を放置すると倒壊リスクや犯罪リスクがありますし、固定資産税などのコストがかかり続けます。
2023年6月に空き家対策特別措置法が改正され、固定資産税が最大6倍になる空き家の範囲が広がりました。

田舎の土地で買い手が見つからず売却できない際は、相続土地国庫帰属制度を活用して国に土地を返すという方法もあります。

相続土地国庫帰属制度とは?手続きの方法までわかりやすく解説

7-2.相続登記を自分で行うことができない

司法書士に依頼しましょう。

司法書士は登記の専門家であるため、迅速かつ確実に相続登記を行うことができます。
登記にかかる料金は、土地1筆あたり5-15万円程度です。

辻・本郷 司法書士法人


8.まとめ

相続を進める中で問題になりやすい15のことを紹介してまいりました。

このように問題になりやすいことが多数あるため、相続は難しく、大変と言われています。

しかし、本記事には問題ごとの対処方法を記載しています。
その問題に直面した時にご覧いただければ、その問題は解決することでしょう。

みなさんの相続が迅速かつ円滑に進むことを願っております。

遺言書編遺言書を見つけたが、どうしたらいいのかわからない
遺言書が有効か無効か判断がつかない
遺言書の内容が不公平で納得がいかない
相続人編誰が法定相続人になるのか分からない
相続手続き編何から相続手続きをはじめたらよいのか分からない
時間がなく、相続手続きを自分で行うことができない
遺産分割編遺産分割を巡って相続人間でトラブルが発生している
認知症の相続人がいて、遺産分割協議が進まない
遺産分割協議書の書き方が分からない
税金編相続税がかかるかどうかわからない
土地の相続財産評価を自分で行うことができない
相続税申告の期限に間に合わない
不動産編相続した不動産が空き家になってしまう
相続登記を自分で行うことができない

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