「相続人調査とはどういうものなのだろうか?」
「相続人は自分が思っている人達で合っているのか?調査方法を詳しく知りたい」
相続人調査は、家族が亡くなったときに最初にすべきことのひとつです。とはいえ、具体的に何をどう進めていけばいいのかよく分からないですよね。
相続人調査とは、誰が相続人であるかを戸籍で確認することです。
具体的な作業は、相続人の範囲と順位を確認した後、戸籍を取得して読み解くことを繰り返し、必要な戸籍を揃えていくことになります。
本記事では、「誰のどの戸籍が必要なのか」「どのように戸籍を取得するのか」「戸籍のどこを読めばいいのか」を図解などを交えて分かりやすくお伝えしていきます。
しかし、戸籍を集めて読み解くことは、思っているよりも煩雑で大変な作業です。
ケースによっては、数十通も取得する必要がり、何か所もの役所とやりとりをしなければいけません。
また、昔の戸籍は様式が違う上に、手書きのものもあるため、読み解くには戸籍に関する知識が必要です。不慣れな方だと戸籍を読み解くことが難解で、相続人を見落とすおそれがあります。
そのため、相続人調査を自分で行うことが難しい場合は、専門家に調査代行を依頼することも検討する必要があります。
そこで本記事では、相続人調査について次の内容を紹介していきます。
この記事で分かること
- 相続人調査の進め方|誰のどの戸籍が必要なのか・戸籍の取得方法と読み方
- 相続人調査の必要性
- 相続人調査が予想以上に大変である理由
- 相続人調査を自分でできるか、専門家に依頼すべきかの判断基準
- 専門家に依頼する場合の費用相場と選び方
本記事を読めば、相続人調査に対する理解を深められ、相続人調査を自分で行うか専門家に依頼するかも判断できるようになります。
そして、自分で行うと決めた場合は相続人調査を適切かつスムーズに行えるように、専門家に依頼すると決めた場合はどの専門家にするか選べるようになります。
相続人調査に対する疑問や不安も解消されるので、ぜひ最後まで読み進めてくださいね。
目次
1. 相続人調査とは|誰が相続人であるかを戸籍で確認すること
相続人調査とは、誰が相続人であるかを戸籍で確認することです。
相続人が誰であるかは、その親族内では把握できているケースがほとんどでしょう。しかし、銀行や法務局、税務署など第三者に対して相続人であることを証明する必要があります。
そこで、亡くなった人の相続人の関係を客観的に証明できる戸籍が必要になるのです。
そのため、相続人調査の具体的な作業は、「必要な戸籍を揃えること」になります。
相続人調査の詳細は順次説明していきますが、まずは下表で全体像を把握しましょう。
【相続人調査とは】
概要 | 誰が相続人であるかを戸籍で確認すること |
---|---|
方法 |
|
かかる費用の目安 | 数千円~数万円 ※専門家に依頼する場合はプラス5万円前後 |
かかる期間の目安 | 数日~2ヶ月 |
費用の内訳は、主に取得する戸籍謄本の発行料です。必要な戸籍謄本の数によって変動します。
相続人調査はただ戸籍を集めるだけですが、思っているよりもかなり大変な作業です。
個別の状況により大幅に異なりますが、人によっては戸籍を何十通も集めなければならないこともあります。そのため長い場合には、所要期間が約2ヶ月もかかるのです。
「自分で相続人調査を行うのは難しい」と感じた場合は、専門家に依頼することも検討しましょう。
2. 相続人調査の進め方
では早速、具体的な相続人調査の進め方を見ていきましょう。
相続人調査は下記3ステップで進めていきます。
相続人調査の進め方
STEP1. 相続人の順位と範囲を理解する
STEP2. 亡くなった人の出生から死亡までの全戸籍謄本を取得する
STEP3. 相続人の戸籍謄本を取得する
STEP1. 相続人の順位と範囲を理解する
まずは、相続人の順位と範囲を理解しましょう。
亡くなった人のどの続柄の人が相続人になれるかを把握していないと、誰のどんな戸籍が必要か分からないですよね。
専門家に依頼するとしても、相続人調査を始める時点で基本的なルールは知っておきましょう。
相続人になれるのは下図の人です。
※直系卑属…祖先から子孫へと直通する親族のうち、自分より後の世代にある者(子どもや孫、ひ孫など)
※直系尊属…祖先から子孫へと直通する親族のうち、自分より前の世代にある者(親や祖父母、曾祖父母など)
まず、配偶者は常に相続人です(民法890条)。
配偶者以外は、第1順位である子どもが相続人となります(民法887条)。子どもが亡くなっている場合は、亡くなった人に一番近い直系卑属が相続人になります。
このように、本来相続人となるはずの人が先に亡くなっていた場合、その者の子どもが代わりに相続することを代襲相続と呼びます。
第1順位が誰もいない場合、第2順位である親が相続人となります(民法889条)。両親とも亡くなっている場合は、亡くなった人に一番近い直系尊属が相続人になります。
第1・2順位が誰もいない場合、第3順位である兄弟姉妹が相続人となります(民法889条)。兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥姪が代襲相続します。
なお、兄弟姉妹における代襲相続は一代限りとなります。甥姪もなくなっている場合には、再代襲は認められず、甥姪の子たちが相続人となることはありません。
このように、誰が相続人になるかについてより詳しく知りたい場合は、当サイトの記事『相続人の順位を解説!チャートとシミュレーションで相続人が分かる』を参考にしてください。複雑なケースについても紹介しています。
STEP2. 亡くなった人の出生から死亡までの全戸籍謄本を取得する
次は、亡くなった人の「出生から死亡までの連続した戸籍謄本」を取得しましょう。
なぜ出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取り寄せる必要があるかというと、相続人第1順位である子どもの有無と人数を確定させなければいけないからです。
戸籍謄本には亡くなった人の子どもの氏名が記載されています。戸籍は、転籍・結婚・離婚・改製のたびに新しく作成されますが、除籍した子どもの情報は新しい戸籍に引き継がれません。
そのため、出生から死亡までの連続した戸籍謄本を全て揃えないと、子どもがいるかいないか、何人いるのかが確定できないのです。
出生から死亡までの連続した戸籍は、平均的な人で3~5通ですが、多い人では10通以上あります。
実際の戸籍の取得方法について見ていきましょう。
戸籍謄本の取得方法
STEP2-1. 亡くなった人の死亡時の戸籍謄本を取得する
STEP2-2. 戸籍謄本を読み解く
出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、死亡時からさかのぼって集めていくのが鉄則です。
死亡時の戸籍を取得→戸籍読み解き→ひとつ前の戸籍を取得、というように、出生時の戸籍にたどり着くまで、STEP2-1と2-2の作業を繰り返していきます。
STEP2-1. 亡くなった人の死亡時の戸籍謄本を取得する
亡くなった人の死亡時の戸籍謄本の取得方法は下記の通りです。
詳細は役所によって異なるので、ホームページなどでご確認ください。
【亡くなった人の戸籍謄本の取得方法】
申請できる人 |
※上記の者以外は委任状が必要 |
---|---|
申請先 | 亡くなった人の最後の本籍地の役所 |
申請方法 |
|
必要書類 |
※郵送の場合、戸籍謄本と本人確認書類はコピーで可 |
手数料 | 戸籍謄本…1通450円 除籍謄本…1通750円 |
発行までの期間 |
|
「相続で出生から死亡までの戸籍謄本が必要」と伝えれば、その役所にある全ての戸籍謄本を発行してもらえるでしょう。
亡くなった人の最後の本籍地が分からない場合は、最後の住所地の役所から住民票の除票を取得すれば、本籍地が記載されています。
注意!必要なのは戸籍抄本ではなく戸籍謄本
相続人を確定させるためには、全続柄が記載されている戸籍謄本を取得しましょう。
謄本(戸籍全部事項証明書)…戸籍に入っている全員分の情報が記載されたもの
抄本(戸籍個人事項証明書)…戸籍に入っている特定の人の情報だけが記載されたもの
覚えておこう!3つの戸籍謄本の種類
戸籍謄本は内容によって、3つの呼び名に分かれています。それぞれの違いを理解しておいた方が戸籍謄本の取得がスムーズなので、覚えておくようにしましょう。
・戸籍謄本(現在戸籍・現戸籍)…一般的な戸籍謄本。除籍謄本に対して、現在人が入っていて使われている戸籍のこと
・除籍謄本…戸籍内の人が結婚や離婚、死亡などで誰もいなくなり、閉鎖された戸籍のこと
・原戸籍(改製原戸籍)…電子化や法改正などにより戸籍が改定され、使われなくなった古い戸籍
STEP2-2. 戸籍謄本を読み解く
続いては取得した戸籍謄本を読み解きましょう。
読み解くポイントは下記2つです。
①ひとつ前の戸籍謄本の情報を調べる
②相続人となる人物を特定する
※出典:法務省|戸籍のABC(Q1~Q5)
①ひとつ前の戸籍謄本の情報を調べる
「戸籍事項」の欄を確認しましょう。その戸籍が作られた日付と事由が記載されています。
続いて、亡くなった人の「従前の記録(従前戸籍)」の項目を探してください。ひとつ前の本籍地が記載されているので、次はその本籍地の役所に、戸籍謄本の発行を申請します。
②相続人となる人物を特定する
「身分事項」や「戸籍に記載されている者」の欄で、相続人となる続柄の人物を特定します。
STEP3.相続人の戸籍謄本を取得する
次に、相続人の戸籍謄本を集めていきましょう。
STEP2で相続人が確定できる場合もありますが、相続関係が確定できない場合は、引き続き戸籍収集が必要です。
いずれにせよ、相続人自身の戸籍謄本も以後の相続手続きで必須になるため、ここで揃えておくようにしましょう。
戸籍の取得方法は次の2つの手順に分けて進めていきます。
相続人の戸籍謄本を取得する手順
STEP3-1. 必要な相続人の戸籍謄本を確認する
STEP3-2. 相続人の戸籍謄本を取得する
STEP3-1. 必要な相続人の戸籍謄本を確認する
必要な相続人の戸籍謄本は下記の通りです。《A+B~Dであてはまるもの》の戸籍を全て集める必要があります。
A【共通:常に必要な戸籍謄本】
- 相続人全員分の現在の戸籍謄本
B【先に亡くなっている子ども(およびその代襲者)がいる場合】
- 亡くなった子ども(およびその代襲者)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
C【亡くなった人に存命の子ども(およびその代襲者)がいない場合】
- 親の片方が先に亡くなっている場合、亡くなった方の親の死亡が記載されている戸籍謄本
- 《両親とも先に亡くなっており、祖父母で存命な者がいる場合》両親と亡くなった祖父母の戸籍謄本
D【亡くなった人に存命の子ども(およびその代襲者)と両親(直系尊属)がいない場合】
- 両親の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 直系尊属の死亡が記載されている戸籍謄本(ただし120歳を超える場合は必要ないと見なされている)
- 《亡くなった人の兄弟姉妹で、先に亡くなっている者がいる場合》亡くなった兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 《前項のうち、代襲者である甥姪で先に亡くなっている者がいる場合》亡くなった甥姪の死亡が記載されている戸籍
STEP3-2. 相続人の戸籍謄本を取得する
相続人の戸籍謄本を取得する方法ですが、まずは相続人と連絡が取れるなら、本人やその家族に取得してもらうのが一番手っ取り早いです。協力しながら戸籍収集を進めていきましょう。
この方法が難しい場合は、下記の手順で進めることをおすすめします。
現在の戸籍謄本・死亡が記載されている戸籍謄本
まず、「亡くなった人の死亡が記載されている戸籍謄本」に載っている相続人は、取得する必要がありません。それ以外の相続人については、亡くなった人の戸籍謄本から、その人の本籍地をたどって現在の分まで取得します。
出生から死亡までの連続した戸籍謄本
亡くなった人の戸籍謄本から、その人の本籍地をたどって取得していきます。戸籍の取得方法については、STEP2. 亡くなった人の出生から死亡までの全戸籍謄本を取得するを参考に進めてください。
3. 相続人調査が重要となる3つの理由
前章を読んで、「相続人調査、面倒そうだな」と感じられた方も中にはいると思います。
しかし、相続人調査は非常に重要な作業であるため、必ず徹底的に行わなければいけません。
その理由について、本章では下記3つの内容を見ていきましょう。
相続人調査が重要となる3つの理由
- 遺産分割協議は相続人全員で行わなければいけないから
- 想定外の相続人が出てくる可能性があるから
- 各相続手続きで戸籍の提出が必要だから
3-1. 遺産分割協議は相続人全員で行わなければいけないから
遺産分割協議は相続人全員で行わなければいけないので、そのために相続人調査を正しく行う必要があります。
遺産分割協議とは、誰がどの財産を相続するかを話し合うことです。遺言がなく相続人が複数いる場合、必ず行わなければいけません。この遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、一人でも欠けていたら無効です。
言い換えると、相続人が正式に確定しないと遺産分割協議ができず、その後の相続手続きも進められません。
もし仮に相続人が全員揃っていないのに遺産分割協議をしても、その協議は無効なのでもう一度やり直すことになり、無駄な時間と労力がかかってしまいます。
スムーズに遺産分割協議を進めるためにも、早めに相続人調査は終わらせましょう。
3-2. 想定外の相続人が出てくる可能性があるから
相続では、まれに想定外の相続人が発覚することがあるため、その存在の有無を明確にするためにも相続人調査は重要です。
想定外の相続人とは、たとえば、養子縁組した子・婚外子・異父母兄弟などです。
もし存在を確認しないまま相続を進めてしまうと、後から発覚して遺産分割などをやり直さなければならないことになります。
「そんな人物いるはずがない」と思われる方がほとんどだと思いますが、「本当に相続人は把握している人物だけで間違いないか」ということを確認するためも、漏れのないようしっかりと調査を行いましょう。
3-3. 各相続手続きで戸籍の提出が必要だから
相続のあらゆる手続きでは戸籍の提出が必要になるため、相続人調査で必要な戸籍は全て揃えるようにしましょう。
相続人調査で集める戸籍一式は、遺産分割協議書と印鑑証明書とともに、下記のような場面で提出が求められます。
戸籍一式の提出が必要な手続き
- 金融機関での預貯金の引き出し
- 法務局での不動産の名義変更
- 相続税申告、など
提出先の各機関にとっては、「本当にこの人が相続人なのか」「本当にこの人が財産を取得してもいいのか」ということを、厳重に確認しなければいけません。そのために戸籍一式・遺産分割協議書・印鑑証明書が必要なのです。
相続手続きを進めるためにも、必要な戸籍は全て揃える必要があります。
4. 相続人調査は予想以上に大変!自分でするのは難しいケースがある理由
ここまで相続人調査の進め方と重要性をお伝えしましたが、相続人調査は予想以上に大変な作業です。
戸籍を集めることがなぜ大変なのか、その理由を挙げていきましょう。
相続人調査が大変な2つの理由
- 集める戸籍の数が多い
- 戸籍の読み方が難しい
4-1. 集める戸籍の数が多い
集めるべき戸籍謄本の数が多いことは、相続人調査が大変である主たる理由です。
全ての戸籍が同じ役所で取得できればさほど負担ではありませんが、大半は複数の役所から取り寄せることになります。
郵送でも取得は可能ですが、追加で日数と郵便代がかかります。
また、昔の戸籍だと市町村の合併などでどの役所に引き継がれているか分からないことも少なくありません。相続人が外国人であったり、海外にいる場合は、さらに手続きが煩雑になります。
以上のことから、集める戸籍の数が多いほど調査に時間と労力がかかり、調査する人の負担が重くなる傾向があります。
4-2. 戸籍の読み方が難しい
戸籍の読み方が難しいという点も、相続人調査が厄介である理由のひとつです。
戸籍謄本は、作成された時代や種類によって様式が大きく異なります。そのため戸籍を見慣れていない人は、正しく読み取ることがなかなか難しいでしょう。
特に、法改正前の原戸籍(改製原戸籍)は記載方法や内容が現行のものと異なります。さらにさかのぼると、昔の戸籍は手書きの旧字体で書かれており、素人には解読が困難です。
このように、戸籍の読み解きにはある程度の知識や経験が求められます。不慣れな人が行うと、調査漏れが起きるリスクがあります。
亡くなった人の戸籍は「出生から死亡までの連続した戸籍謄本」が必要ですが、この連続性を見落としてしまうことが少なくありません。たとえば、「全部揃えたつもりだったが、改正原戸籍謄本が1通足りていなかった」となると、相続人を見落としてしまうおそれがあります。
5. 相続人調査を専門家に依頼すべきケース
前章では相続人調査の難しさをお伝えしました。ここまで読み進めて、「自分にできるかな」と不安を感じた人も多いでしょう。
相続人調査の作業量や難しさは個人差が非常に大きいところです。自分で問題なくできるケースもあれば、専門家に依頼した方がいいケースもあります。
そこで本章では、専門家に依頼すべきケースを見ていきましょう。
あてはまるものがなければ自分で進めることも可能です。しかし、下記の項目にひとつでもあてはまるなら専門家への依頼を検討しましょう。
専門家に依頼すべきケース
- 取得すべき戸籍の数が多く、古い年代や様式のものがある
- 相続人が《配偶者+子ども》《配偶者+親(子どもは元々いない)》以外である
- 相続人が外国人である・海外に在住しているなど、特殊なケースである
- 相続人と連絡がとれない
なお、これ以外にも「忙しくて相続人調査をするための時間がない」「相続人調査を漏れなく実施する自信がない」といった理由でも、専門家を頼ることがおすすめです。
取得すべき戸籍の数が多く、古い年代や様式のものがある
集めるべき戸籍が多く、かつ戸籍の読み解きが難しいので、専門家の依頼を検討してみてください。
相続人が《配偶者+子ども》《配偶者+親(子どもは元々いない)》以外である
相続人が《配偶者+子ども》か《配偶者+親(子どもは元々いない)》ならば、集めるべき戸籍の数は多くありません。
相続人がそれ以外の場合、特に代襲相続が発生している場合や、兄弟姉妹が相続人である場合は、集めるべき戸籍の数が多くなるので、専門家の依頼を検討してみてください。
相続人が外国人である・海外に在住しているなど、特殊なケースである
外国籍の相続人や海外在住の相続人の場合、一般的な手続きとは異なるため、専門家の力を借りた方がスムーズです。
たとえば、相続人が外国籍の場合は、在外公館などで相続関係を示す書類を発行してもらう必要があります。
相続人と連絡がとれない
「相続人が現住所に住んでいない」などで連絡がとれない場合、別途手続きをふまなければいけません。
不在者財産管理人を申し立てたりする必要があるため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
6. 専門家に依頼する場合の費用と選び方
前章を読んで、相続人調査は専門家に依頼しようと判断した場合の、専門家の費用と選び方を紹介します。
専門家に依頼する場合の費用と選び方
- 専門家に依頼した場合にかかる費用相場は5万円前後
- 専門家の選び方|税理士・弁護士・司法書士・行政書士
6-1. 専門家に依頼した場合にかかる費用相場は5万円前後
専門家に依頼した場合、かかる費用の相場は約5万円+実費です。
「10通まで〇〇円、1通増えるごとにプラス2,000~5,000円」というような料金システムの事務所が多いようです。
ただし、事務所により費用は大きく異なるので、必ずホームページや見積書で確認するようにしましょう。
6-2. 専門家の選び方|税理士・弁護士・司法書士・行政書士
相続人調査を依頼できる専門家は、税理士・弁護士・司法書士・行政書士です。事務所によっては取扱いがない場合もあります。
4つの専門家にはそれぞれ専門分野があります。そのため、相続人調査以外で他の相続手続きを依頼したい場合は、ニーズに合った専門家を選ぶようにしましょう。
各専門家の違いと選ぶべきケースを下表にまとめたので、専門家選びの参考にしてください。
【状況別:専門家の選び方】
専門家 | 主な専門分野 | 選ぶべきケース |
---|---|---|
税理士 | 税金関連 | 相続税申告が必要(※1)になりそうなケース |
弁護士 | 法律と紛争解決 | 相続人同士の争いがあるケース |
司法書士 | 登記と書類作成 | 不動産の名義変更業務も依頼したいケース |
行政書士 | 書類作成 | 相続人調査だけを依頼したいケース |
※1:財産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合
まだ相続が始まったばかりの時点では、相続税申告の要否や相続人同士の関係性、財産状況など分からない部分も多いと思います。
進めていくうちに、「資産価値の高い不動産が見つかり、相続税申告が必要になることが分かった」といった状況になる可能性も十分あるので、先々のことを考えて専門家を選ぶようにしましょう。
7. 相続財産が基礎控除額を超える場合は税理士に相談するのがおすすめ
前章では「相続人調査を専門家に依頼するなら」の選び方を伝えましたが、そもそも相続財産が基礎控除額を超える可能性のある方であれば、早い段階で税理士に相談するようにしましょう。
相続税申告は、相続手続きの中でも最もトラブルが起こりやすい落とし穴のひとつです。
早めに税理士に相談することで、相続税に関するトラブルやお悩みを防ぐことができ、スムーズで適切な申告を行うことができます。
7-1. 税理士の強み|相続人調査だけでなく相続税負担を軽減するための方法も提案できる
税理士は、税務に関する豊富な知識と経験により、どのようにすれば相続人の相続税の負担を抑えられるかをアドバイスできます。
二次相続(夫婦の片方が亡くなることを一次相続、その後もう片方が亡くなることを二次相続と呼ぶ)を含む長期的な視野でとらえ、最適な遺産分割方法を導きだすことも可能です。
さらに、相続税申告には評価額や税額を下げる様々な控除や特例がありますが、それらを最大限活用して相続税の負担を軽減できます。
このように、相続税申告が必要な方は、他の専門家ではなく税理士にご相談ください。
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8-1. 相続税申告年間3,827件!経験豊富な専門スタッフ400名が対応
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当法人では、他の専門家と連携により、あらゆる相続の課題をワンストップで解決いたします。
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9. まとめ
本記事では相続人調査について解説してきました。
最後にもう一度、要点を確認しましょう。
相続人調査とは、「誰が相続人であるかを戸籍で確認すること」で、具体的な作業は、「必要な戸籍を揃えること」になります。
【相続人調査とは】
概要 | 誰が相続人であるかを戸籍で確認すること |
---|---|
方法 |
|
かかる費用の目安 | 数千円~数万円 ※専門家に依頼する場合はプラス5万円前後 |
かかる期間の目安 | 数日~2ヶ月 |
相続人調査は次の手順で進めていきます。
相続人調査の進め方
STEP1. 相続人の順位と範囲を理解する
STEP2. 亡くなった人の出生から死亡までの全戸籍謄本を取得する
STEP3. 相続人の戸籍謄本を取得する
相続人調査は非常に重要な作業であるため、しっかりと行う必要があります。その理由は下記の通りです。
相続人調査が重要となる3つの理由
- 遺産分割協議は相続人全員で行わなければいけないから
- 想定外の相続人が出てくる可能性があるから
- 各相続手続きで戸籍の提出が必要だから
しかし、相続人調査は集める戸籍の数が多く、戸籍の読み方が難しいため、予想以上に大変な作業です。
自分で調査を行うのが難しい場合は、専門家に依頼するようにしましょう。
特に、相続財産が基礎控除額を超える場合(3,000万円+600万円×法定相続人の数)は、早めに税理士に相談することをおすすめします。
以上、本記事を読んで相続人調査を適切に進められ、スムーズな相続の実現に役立てば幸いです。