
「喪主を務めることになったが、お布施はいくら用意すればよいのだろうか」
「お亡くなりになった方のためにも、失礼にならない金額を渡したいけど、相場はいくらなのだろうか」
この記事をお読みの皆さまはそんな疑問をお持ちではないでしょうか。
本記事では、お通夜・葬儀・告別式のお布施の相場、また、その後に行われる法要についてのお布施の相場や、知っておきたいお布施についての豆知識を解説しています。
本記事が、お布施についての不安を解消し、お読みになった皆様が、法要の際、落ち着いた気持ちでお亡くなりになった方へ思いを馳せる時間を過ごせるよう、少しでもお役に立つことができれば幸いです。
なお、お布施の相場について、下記の記事をご参照ください。
■辻・本郷相続ガイド お布施の書き方と知っておきたいお布施のマナー【見本つき】(近日公開予定)
1.お布施の金額に明確な決まりはない
お布施とは、僧侶に読経をしてもらったり戒名を授与してもらったりした際に、感謝の気持ちとして渡す金銭のことです。
お布施の金額に明確な決まりはありません。お布施はあくまで「感謝の気持ち」で渡すものですから、決まった金額はなく、お寺や僧侶から決まった金額を請求されるようなことも基本的にはありません。また、地域性やお寺との関係によるところが大きいので、お付き合いのあるお寺がある場合には、そのお寺に相談することをおすすすめします。相談しても失礼にはあたりませんし、「どれくらい包めば良いでしょうか?」などと伺うと丁寧です。
しかし、なんとなく聞きづらい場合や、あらかじめ相場を知っておきたい方のために、次章で、法要別にお布施の相場を解説していきます。
2.【法要別】お布施の相場
本章では、法要別にお布施の相場について解説していきます。
2-1.お通夜・葬儀・告別式|10-50万円程度
お通夜・葬儀・告別式までは一つの括りとして扱われることが一般的です。その際のお布施の相場は、10万円~50万円程度です。地域や宗派によってかなり幅があります。
お布施の一般的な内訳は、①戒名料、②読経料、③御車代、④御膳料の4種類です。
内訳 | 相場 | 概要・注意点 |
---|---|---|
①戒名料 | 10万円程度~ | ・文字数が多ければ多いほど高額になる。100万円以上包むケースもあり。 ・最近は無宗教の家庭も多く、文字数にこだわらない人も増えている。 |
②読経料 | 一回の読経供養に対して 3万円~5万円程度 | ・1回の読経供養に対して計算する ・日に2回・3回の読経供養が重なると、その分上乗せしてお包みするのが一般的。 |
③御車代 | 約5千円~2万円程度 | ・タクシー代を目安とする。 |
④御膳代※ | 約5千円~2万円程度 | ・会食での1人分の料金を目安とする。 |
※葬儀の後に用意される会食の席(精進落とし)に、僧侶が出席しない場合に渡す。「精進落とし」は基本的に親族を中心としたものですが、お礼を込めて、僧侶にもお声を掛けるとされています。
2-2.四十九日法要|3万円から5万円程度
四十九日法要におけるお布施の相場は、3万円から5万円程度です。葬儀で包んだお布施額の10~20%程度が目安とされています。 また、四十九日法要と同時に納骨法要を行う場合は、全体で5万円から10万円程度となります。
2-3.納骨式|3万円~5万円程度
納骨式におけるお布施の相場は、3万円~5万円程度です。故人の魂をお墓へ移すための儀式である開眼供養も含むのであれば3万円~10万円が相場です。
2-4.一周忌法要|3万円~5万円程度で
一周忌法要におけるお布施の相場は、3万円~5万円程度です。四十九日法要のときと同じ金額か、やや低めの金額を渡すことが多いです。
2-5.三回忌法要(以降、七回忌・十三回忌など)|1万円~5万円程度
亡くなられてから満二年の「三回忌」で行う法要のお布施の相場は、1万円~5万円程度です。 亡くなられてから三年を経過したら行うのではなく、亡くなった日を一回目として数えたときに三回目の忌日を「三回忌」とするので注意しましょう。以後、七回忌、十三回忌も同様です。
2-6.お盆|新盆は3万円~5万円程度、それ以外は5千円〜1万円程度
新盆(故人が亡くなって忌明けした後に迎える初めてのお盆)におけるお布施の相場は、3万円~5万円程度、新盆以外の通常のお盆は5千円〜1万円程度です。新盆は、故人の魂が初めてあの世から帰ってくるタイミングですので、家族や親族の他にも故人の友人を呼ぶことも多く、通常のお盆に比べて法事の規模が大きくなることが一般的なため、少し高くなっています。
2-7.お彼岸|3,000円から5万円程度
お彼岸に法要を行うことは多くなく、家族などの身内でお墓参りのみを行うパターンが一般的です。お寺が営む彼岸会などのお彼岸法要に参加する場合のお布施の相場は、3,000円から2万円程度、ご自宅で法要を営む場合には、3万円から5万円程度です。
3.お布施に関する豆知識
本章では、お布施に関する豆知識を紹介します。
3-1.お布施の金額は相続税の課税金額から控除できる
葬式にかかった費用は、相続税申告の際、課税される相続財産の金額から控除することができます。お布施の金額も同様に控除することができます。その際、領収書などの根拠資料を申告書と一緒に提出する必要がありますが、お布施のように、領収書が発行されない費用の場合には、下記のメモを作成することで、その代わりとすることができます。忘れないよう作成しておきましょう。
- 目的(「お布施」でOK)
- 支払日
- 金額
- お寺の名称(支払先の名称)
- お寺の連絡先
- お寺の住所
3-2.ダメな金額は特にない
お布施は「ご本尊に捧げる感謝の気持ち」であり、ダメな金額はありません。「結婚式でのご祝儀に偶数は良くない」と言われているように、お布施にも良くない金額があるのでは?とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、お布施にはありません。しかしながら、相場よりもはるかに少なすぎると失礼にあたる場合がありますので注意しましょう。また、「4」や「9」といった数字も「死」「苦」を連想させるため、気にされる場合には避けたほうが無難です。
3-3.お布施は新札で用意するのがベター
お布施は僧侶への感謝を伝えるためのものですから、新札がベターです。お香典は新札だとマナー違反になるため、迷う方も多いですが、お布施については問題ありません。むしろ、お盆や一周忌など、事前に予定がわかっている場合には新札を用意しておくことをおすすめします。急で用意できない場合には、できるだけ使用感が少ない紙幣を選びましょう。
3-4.お布施の封筒や書き方
お布施は「奉書紙(ほうしょし)」と呼ばれる和紙で包むか、白無地の封筒(郵便番号欄がないもの)に入れて渡すようにしましょう。書き方などの詳細は下記のサイトをご覧ください。
■辻・本郷相続ガイド お布施の封筒の書き方(近日公開)
ここでは、白無地の封筒の書き方について簡単に解説します。
白封筒の場合、表面の中央上部に「お布施」と書き入れます。(すでに印刷されている封筒の場合は書き入れる必要はありません。)下部に喪主の氏名か家名を書きましょう。封筒の裏面には、喪主の氏名や住所、お布施の金額を漢数字(旧字体)にして記入してください。お香典では悲しみをあらわすために薄墨で書きますが、お布施は僧侶に対しての感謝の気持ちですので、薄墨は使わず、濃墨を使いましょう。
3-5.お布施を渡すタイミングは法要の開始前か終了後
お布施は、基本的には、法要が始まる前のタイミングでお渡ししましょう。葬儀の場合には、葬儀を始める前に、控室などで喪主が僧侶に挨拶をするタイミングであれば、落ち着いて僧侶にお布施を渡すことができるでしょう。お布施を渡す際には、「本日は故人のために、お勤めをよろしくお願いいたします」といった一言を添えると丁寧です。バタバタして最初に渡せなかった場合には、法要が終わってからでも問題ありません。お礼を述べた上で渡しましょう。
4.まとめ
ここまで、お通夜・葬儀・告別式のお布施の相場、また、その後に行われる法要についてのお布施の相場や、知っておきたいお布施についての豆知識を解説してきました。
お布施の相場について、大体の感覚をつかむことができましたでしょうか。
本記事が、お忙しい皆様のお役に立ち、皆様が落ち着いた気持ちでお亡くなりになった方へ思いを馳せる時間を増やすことへの一助となれば幸いです。