相続放棄の費用相場はいくら?弁護士・司法書士に依頼する基準も解説

相続放棄を検討しているけど、費用はいくらかかるのだろうか…?

本記事をご覧になられている方はこのようなお悩みを抱えていることと思います。

本記事では相続放棄にかかる費用の相場を、以下の3つの場合に分けて、具体的な価格を出して解説しています。

  • 自分で手続きを行う場合
  • 司法書士に依頼する場合
  • 弁護士に依頼する場合

また、「自分で手続きをして費用を抑えたいけど、私は自分で相続放棄の手続きを行っていいのだろうか…?」「司法書士と弁護士、どちらに依頼すればよいのだろうか…?」と悩まれている方もいらっしゃると思いますので、相続放棄の手続きを司法書士・弁護士へ依頼すべき基準を明記しました。

本記事が相続放棄を検討している方の一助となれば幸いです。


1.相続放棄にかかる費用の相場

相続放棄にかかる費用の相場を解説します。

司法書士・弁護士に依頼する場合は、「報酬額+実費分(自分で手続きを行う場合に係る費用)」がかかります。

1-1.自分で手続きを行う場合|3,000-5,000円程度

自分で手続きを行う場合の費用の相場は、3,000-5,000円程度です。

かかる費用は家庭裁判所に提出する書類の取得費用と、手続きの手数料のみですので、自分で手続きを行う場合は費用を安く抑えることができます。

内訳は以下の通りです。

収入印紙800円分
連絡用の郵便切手400-500円程度
(申述先の家庭裁判所ごとに異なる)
被相続人の住民票除票又は戸籍附票300円
申述人(放棄する方)の戸籍謄本450円
被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本、または 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本1通450-750円
(被相続人が本籍を変更している時など、複数の戸籍謄本を取得する必要がある場合もある)

相続放棄をする人が「被相続人の子の代襲者(孫・ひ孫等)の場合」「被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)で、被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合」などは、追加で戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本が必要になります。
必要となる戸籍謄本の種類は以下のページに詳しく掲載しておりますが、いずれも取得にかかる費用は1通450-750円ですので、大きな出費とはならないでしょう。

■相続放棄で必要な5つの書類|(該当する申述者のみ)その他血縁者の戸籍謄本

1-2.司法書士に手続きを依頼する場合|3-5万円程度

司法書士に手続きを依頼する場合の費用の相場は、3-5万円程度です。

司法書士に依頼すると、戸籍の収集と家庭裁判所に提出する書類の作成を代行してくれます。
費用は当然、自分で行う時に比べて高くはなります。

忙しくて相続放棄の手続きの準備をする時間が取れないは、速やかに、司法書士に手続きを依頼することがおすすめです。
相続放棄の手続きには、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内という明確な期限があります。期限を過ぎてしまうと、相続放棄ができなくなる可能性がありますので、忙しくて相続放棄の手続きの準備をする時間が取れない方は、司法書士に依頼することをおすすめします。

※注意
司法書士に依頼した場合、実際に家庭裁判所に申述をしに行ったり、家庭裁判所から届いた照会書に回答して返答したり、相続放棄の手続き完了まで債権者とやりとりをするのはご自身です。
相続放棄の手続きすべてを任せたい場合は、弁護士に依頼する必要があります。

1-3.弁護士に手続きを依頼する場合|5-10万円程度

弁護士に手続きを依頼する場合の費用の相場は、5-10万円程度です。

弁護士に依頼すると、戸籍の収集、家庭裁判所への申述の手続き、債権者の対応など、相続放棄に関する手続きの全てを代行してくれます。
司法書士よりも代行できる範囲が広いため、費用も司法書士に依頼する場合よりも高くなります。

以下の条件に該当する方は、ある程度の費用はかかりますが、弁護士に依頼することをおすすめします。

  • 相続放棄の手続きの全てを任せたい方
    弁護士には代理権がありますので、弁護士に依頼すると、戸籍の収集、家庭裁判所への申述の手続き、債権者の対応など、相続放棄に関する手続きの全てを代行してくれます。
  • 相続財産に多額の借金があり債権者対応をする必要がある方
    たとえ相続放棄をすることが決まっていても、相続放棄の手続きが完了するまでの間は債権者の対応をする必要があります。債権者とのやり取りや厳しい取り立てにストレスを感じる場合は、弁護士に依頼しましょう。弁護士が代理人として債権者対応を行ってくれます。
  • 相続財産を巡って相続人間でトラブルが起こっている方
    相続財産を巡って相続人間でトラブルが起こっている場合で相続放棄を検討したい場合は、トラブル解決の専門家である弁護士に依頼しましょう。

2.相続放棄の費用は申述人が支払うことが一般的

相続放棄の費用は申述人(相続放棄の手続きを家庭裁判所へ依頼する人)が支払うことが一般的です。

「相続放棄の費用を支払うのは誰だ」ということは、法律で定められているわけでないので、誰が支払っても問題ありませんが、一般的には相続放棄の申述を行う人自身が負担するケースが多いようです。

※「家」や「事業」を承継するため、一人の相続人に遺産を集中させようと思い、相続放棄を選択する場合は、遺産をもらうことになる相続人が、相続放棄の費用を支払うケースが多いようです。


3.相続放棄の費用に関するよくあるQ&A

相続放棄の費用に関するよくあるQ&Aを紹介します。

Q.専門家に依頼したいが、費用をまとめて支払うことができない場合、どうしたらよいか

法テラスの民事法律扶助制度を利用することを検討することがおすすめです。

この制度を利用すると、法テラスが依頼費用を一時的に立て替えてくれるため、専門家に依頼した費用を今すぐ支払うことが難しい方でも専門家に依頼することがあります。

ただし、制度の利用は利用条件を満たしている必要があるので、以下のページで条件を確認しましょう。

日本司法支援センター 法テラスHP|民事法律扶助業務

Q.生活保護を受けている相続人が相続放棄をする場合、その費用は誰が支払うのか

生活保護を受けているからといって、必要書類を取得したり、相続放棄の申述に関する費用が免除されることがありません。

親族などが肩代わりしてくれるのであれば話は別ですが、基本的には生活保護を受けている相続人ご自身が支払うことになります。

Q.専門家に費用を支払うタイミングはいつか

司法書士であれば書類が作成し終えたタイミング弁護士であれば家庭裁判所での申述の手続きが終わったタイミングが多いようです。

ただし、依頼する際に着手金を支払ったり、初回の相談の際に面談料が発生するケースもありますので、問い合わせの際に確認するようにしましょう。


4.まとめ

相続放棄にかかる費用について解説してまいりました。

最後に本記事の一番大切なポイントである、自分で行った場合、専門家(弁護士・司法書士)に依頼した場合の費用の相場をもう一度紹介します。

本記事が相続放棄を検討している方への一助となれば幸いです。

辻・本郷 税理士法人の相続税申告サービス
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