相続放棄の5つのデメリット|デメリットも知って後悔のない選択を!

デメリットも知った上で、相続放棄すべきかどうか考えたい」と思っていらっしゃる方を対象に、相続放棄の5つのデメリットを紹介しています。

リスク被相続人の相続財産を一切相続できなくなる
リスク一度相続放棄すると、原則として撤回できない
リスクもともと相続人でなかった人が相続人となりトラブルになることがある
リスク相続人全員が相続放棄すると、先祖代々の財産が国庫に帰属される
リスク相続財産の管理義務が残る場合がある

本記事をご覧いただければ、デメリットも勘案した上で、相続放棄するかどうか考えることができ、後悔のない決断をすることができるでしょう。


1.【リスク大】被相続人の相続財産を一切相続できなくなる

相続放棄のデメリットの1つ目は被相続人の相続財産を一切相続できなくなることです。

相続放棄をすると、相続人として遺産を相続する権利がなくなるため、マイナスの財産だけでなくプラスの財産についても相続する権利も失います。

相続放棄をする際は、プラスの財産よりマイナスの財産の方が明らかに多いかしっかりと確認しましょう。
相続放棄をした後に多額の資産が見つかったとしても、相続放棄をしていたら相続することは一切できません。

ただし生命保険金や死亡退職金は被相続人の相続財産ではなく、受取人固有の財産となるので、相続放棄をした場合でも受け取ることが可能です。

相続財産調査とは?自分で漏れなく行う方法・専門家に依頼する基準も紹介の記事を参考に、相続財産調査を確実に行い、プラスの財産よりマイナスの財産の方が明らかに多いことを確認した上で、相続放棄をすることをおすすめします。


2.【リスク大】一度相続放棄すると、原則として撤回できない

相続放棄のデメリットの2つ目は、一度相続放棄すると、原則として撤回ができないことです。
(※錯誤、詐欺、脅迫によって相続放棄をした場合は、相続放棄の申述を取り消すことが可能です。)

遺産相続争いに巻き込まれたくなかったり、相続人として相続手続きを行うことを面倒に感じて、相続放棄を検討する方もいらっしゃいます。

このようなご事情で相続放棄を検討している方に、今一度立ち止まって考えていただきたいことは、一度相続放棄すると、原則として撤回できないということです。

「遺産相続争いが起こると思っていたが、実際は起こらず円満に相続できそうだ…」「相続手続きは専門家に依頼すれば、負担を大幅に軽減できることがわかった」などのように、後々考えが改まったとしても、一度相続放棄をしてしまうと、原則として撤回できないので、被相続人の財産を一切相続できません。


3.【リスク中】もともと相続人でなかった人が相続人となりトラブルになることがある

相続放棄のデメリットの3つ目は、もともと相続人でなかった人が相続人となりトラブルになることがあることです。

先の順位の相続人全員が相続放棄をすると、次の順位の相続人へ相続権が移ります
このような場合、次の順位の相続人に「先の順位の相続人全員が相続放棄をしたから、あなたが相続人となった」という旨をきちんと伝えないと、その人は知らない間に借金を背負うことになります。

債権者からの連絡で自分が相続人になったことを知り、「知らないうちに借金を背負わされた…。なぜ、知らせてくれなかったの?」と思い、トラブルに発展することになるでしょう。

このようなトラブルを引き起こさないために、相続放棄が終わったら、必ず他の相続人や、自分が相続放棄することによって新たに相続人となった人に連絡してください。

また、相続人が配偶者と子の場合などで、全ての相続財産を配偶者が受け取るようにしたいので、子が相続放棄をすることを検討するご家族もいらっしゃいます。

しかし、被相続人(亡くなった方)に兄弟姉妹がいる場合、子供が放棄すると、相続人は配偶者と兄弟姉妹となり、配偶者が全ての相続財産を相続することができなくなります。

このように一人の相続人が全ての相続財産を受け取れるようにしたい場合は、配偶者と子供が遺産分割協議を行い、遺産分割協議書に配偶者が全ての相続財産を取得する旨を記載すれば大丈夫です。相続放棄をする必要はありません。


4.【リスク中】相続人全員が相続放棄をすると、先祖代々の財産が国庫に帰属される

相続放棄のデメリットの4つ目は相続人全員が相続放棄をすると、先祖代々の資産が国庫に帰属されることです。

相続人全員が相続放棄をした場合、被相続人の財産を相続する人がいなくなり、財産は国庫に帰属されます。そうなれば、借金などのマイナスの財産だけでなく、先祖代々の土地や建物といった財産も国のものになってしまいます。

たとえマイナスの財産の方が多くても、先祖代々の土地や建物など、どうしても引き継がなければならない、相続したい財産がある場合は、限定承認も検討すべきです。

被相続人の財産すべてを本当に全部手放してよいのか、一度立ち止まって考えてみましょう。

相続の限定承認とは|相続放棄と限定承認どちらを選ぶべきかも解説


5.【リスク小】相続財産の管理義務が残る場合がある

相続放棄のデメリットの5つ目は相続財産の管理義務が残る場合もあることです。
相談放棄をしたからといって、被相続人の財産と綺麗さっぱり縁が切れるとは限りません。

相続放棄を行った場合でも、現に占有している財産がある場合は、次の財産管理者に引き渡すまで引き続き財産の管理を行わなければなりません。

これを管理義務といい、相続人が全員相続放棄をした場合にも、家庭裁判所で選任された「相続財産清算人」に引き渡すまでは、財産の管理義務は継続されます。

この管理義務期間中に空き家が倒壊し、近隣住宅や通行人に被害を与えてしまうと、相続人として管理責任を追及され、損害賠償を請求される場合があるので注意が必要です。


6.まとめ

「デメリットも知った上で、自分は相続放棄すべきかどうか考えたい」と思っていらっしゃる方を対象に相続放棄の5つのデメリットを紹介してまいりました。

最後に本記事の一番大切なポイントである相続放棄の5つのデメリットをもう一度振り返ります。

リスク被相続人の財産を一切相続できなくなる
リスク一度相続放棄すると、原則として撤回できない
リスクもともと相続人でなかった人が相続人となりトラブルになることがある
リスク相続人全員が相続放棄すると、先祖代々の財産が国庫に帰属される
リスク相続財産の管理義務が残る場合がある

本記事をご覧になったみなさんが、後悔のない選択をできることを願っております。

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