相続に伴う車の名義変更の方法は?易しく解説しました

大切な人が遺してくれた車を相続することになった。
「できるだけ、自分で手続きしたい。」
「車のことは、何も分からない。」

この記事では、相続に伴う車の名義変更の仕方から、必要書類、注意点を紹介しています。これから車をどうしていきたいのか、考えながら読んでみてください。


1.車を相続した場合、必ず名義変更をしましょう

車を相続した場合は、必ず名義変更をしましょう。
車を持っていた人が亡くなっても、自動的に名義変更されるわけではありません。名義が亡くなった人のままの場合には、売却や廃車の手続きができませんので注意が必要です。

特に、期限や罰則等はありませんが、事故を起こしてしまう等もしもの時に備えて、早めに名義変更をすることをおすすめします。


2.相続した車の名義変更の仕方

相続した車の名義変更の流れは、下記の通りです。一つずつ確認していきましょう。

2-1.相続した車の名義を確認する

まずは、亡くなった人の車の名義を確認しましょう。

亡くなった人が使っていたからと言って、亡くなった人名義になっているわけではありません。
なぜかと言うと、車をローンで購入していた場合、信販会社や自動車販売店、ディーラーの名義になっている場合があるからです。

車の名義の確認方法は、車検証を見ると分かるようになっています。
詳しくは、こちらの記事の「4-1.車の所有者とは」をご覧ください。
車に相続税はかかる?評価額の相場と4つの評価方法【税理士が解説】

もし、名義が信販会社等になっていた場合は、自動車にローンが残っている可能性があります。
その場合、残債は相続する人が一括精算することが多いですが、払えない場合は相続人名義でローンを申し込む方法もあります。また、名義が信販会社のままでは売却もできなくなりますので覚えておきましょう。

2-2.誰が相続するか決める

次は、誰が車を相続するかを決めましょう。
遺言書があり、車を誰に相続させるのかが記載されている場合は、新たに決める必要はありません。
しかし、遺言書がない場合は、相続人全員での話し合いが必要になります。

2-3.遺産分割協議書を作る

誰が相続するかが決まったら、遺産分割協議書を作成しましょう。
遺産分割協議書は、名義変更の際に必要となります。

また、車の価格が100万円以下である場合には「遺産分割協議成立申込書」という、遺産分割協議書よりも簡略化されたもので手続きができます。

遺産分割協議書は、相続人全員の実印が必要となりますが、遺産分割協議成立申込書は、車を相続する人の実印だけで済みます。遺産分割協議成立申込書を使用する場合は、車の価格が100万円以下であることの証明として査定証の添付が必要となりますので注意しましょう。

遺産分割協議書については、こちらの記事をご覧ください。

遺産分割協議書とは?雛形付き作成方法も徹底解説!​​​

2-4.相続した車の名義変更に必要な書類を集める

名義変更に必要な書類は下記の通りです。

必要書類
申請書
手数料納付書
自動車検査証
自動車保管場所証明書(車庫証明書)
相続人の印鑑証明書、印鑑
遺産分割協議書、または遺言書、または遺産分割協議成立申込書
法定相続情報一覧図、戸籍謄本・戸籍の全部事項証明書
※自動車の所有者の死亡が確認できるもので、死亡した所有者と相続人全員の関係がすべて確認できるもの

・申請書

名義変更の際は、「第1号様式」を使用します。運輸支局へ行けば貰えますが、下記ページからもダウンロードすることができます。記載例もありますので、参考にしてみてください。

国土交通省HP「OCR申請書各種様式について」
関東運輸局HP「OCRシート申請書記載例(自動車)」

・手数料納付書​​​​

名義変更の際は、手数料がかかります。
この納付書に500円の検査登録印紙を貼付して使用します。

国土交通省HP「手数料納付書」

・自動車検査証

自動車検査証とは、その自動車が保安基準に適合していることを証明する書類です。
自動車検査証がどこにあるか分からない方は、車と一緒に保管しておく必要がある書類となりますので、車のトランクや、グローブボックスを探してみましょう。

国土交通省 自動車検査証(車検証見本)

・自動車保管場所証明書(車庫証明書)​​​​

自動車保管場所証明書(車庫証明書)とは、自動車の保管場所があることを証明する書類です。

相続人が車を保管する場所を管轄する警察署へ行き、所定の書類に必要事項を記入し手数料を添えて申請します。1週間程度で発行されますので、再び管轄の警察署に行くと受け取ることができます。

詳しくは、こちらをご覧ください。
警視庁HP「保管場所証明申請手続(窓口申請)」

・相続人の印鑑証明書、印鑑

申請書に印鑑証明書の印鑑(実印)を押印する必要があるため、持っていきます。
また、印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)も忘れずに持っていきましょう。

・遺産分割協議書、または遺言書、または遺産分割協議成立申込書

車を誰が相続するか特定するために必要となります。
公正証書による遺言書以外は、家庭裁判所による検認済みのものでないと無効となってしまいますので注意しましょう。

・法定相続情報一覧図、戸籍謄本・戸籍の全部事項証明書

車の所有者が亡くなったことが確認できるもの、且つ、亡くなった所有者と相続人全員の関係がすべて確認できるものが必要です。

法定相続情報一覧図なら1枚にまとまっているため、戸籍謄本よりも紛失リスクもなくおすすめです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
法定相続情報証明制度とは?おすすめするケースと利用するメリットを解説

2-5.運輸支局へ行く

必要書類が全て揃ったら、最寄りの運輸支局へ行き手続きを行います。
手続きに関しては、特に難しいことはありませんし、窓口に行けば教えてもらえます。必要書類だけ揃えてもっていけば、その日のうちに名義変更完了となります。

また、運輸支局は平日しか空いておりませんので、お仕事等で行くのが難しい方は、ディーラーや、行政書士等のプロへ依頼することも検討しましょう。


3.車を相続する際に気を付けること

ここまで、名義変更の手続きについて解説させていただきました。
この章では、車の名義変更に付随して気をつけることを紹介します。

3-1.自動車保険の名義変更が必要

車を相続して、そのまま乗る場合は、保険の引継ぎ・変更が必要となります。
自動車保険には、強制加入の自賠責保険と任意で加入する任意保険があります。車の名義変更が完了したら、速やかに保険会社に連絡して名義を変更しましょう。

保険の名義変更をしないまま事故が起こってしまうと、十分な補償を受けられない恐れがありますので注意しましょう。

3-2.車には自動車税がかかる

車には、自動車税というものがかかります。
自動車税は毎年4月1日時点の所有者に課せられる税金であり、5月上旬〜中旬にかけて納付書がご自宅へ届きます。納付期限は、5月末日です。一部の県では、6月末日を納付期限にしている自治体もあるため、納付書を確認しましょう。なお、軽自動車も普通車と同様に、納付期限は5月末日です。

車を相続する人は、車の維持費としてお金がかかることをしっかり覚えておきましょう。


4.よくある質問

・軽自動車の名義変更も同じ手続きでしょうか?

軽自動車と普通自動車における名義変更手続きに関して、基本的には同じとなりますが、軽自動車の場合、遺産分割協議書を添付する必要がなく手続きが簡単になります。

また、軽自動車は基本的に車庫証明書が不要となりますが、地域によっては届出が必要になるケースもあります。車庫証明書の届出が必要かどうかは、管轄の警察署に問い合わせましょう。

・バイクの名義変更も同じ手続きでしょうか?

バイクの名義変更は、車の名義変更と比べて用意する書類が少ないので簡単です。
一度、廃車の手続きをして、再度、ナンバーを取得して名義変更完了となります。手順としては、ナンバープレートを管轄する市区町村に、必要書類を提出し、廃車手続き、ナンバー再取得という流れになります。
また、原付を除くバイクの名義変更は運輸支局で行いますので、間違えないようにしましょう。

詳しくは、こちらをご覧ください。
相模原市HP「原動機付自転車・小型特殊自動車の手続き」
新宿区HP「原付バイク等の名義変更」​​​

・代理人に手続きを依頼出来るのでしょうか?

ご自身での名義変更が難しい場合は、「行政書士」へ依頼しましょう。
行政書士は、必要書類の取り寄せから、運輸支局での手続きまで代行してくれます。手続きを一任できるため、忙しい方におすすめです。また、法的な手続きや書類作成の専門家のため、的確なサポートを受けられます。


5.まとめ

相続した車の名義変更の方法について、解説させていただきました。

相続手続きは時間のない中で、大変負担になると思います。お一人で悩まずに、ぜひ辻・本郷グループへご相談ください。お問い合わせお待ちいたしております。

辻・本郷 税理士法人の相続税申告サービス
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