「自分はいとこの遺産を相続する権利があるのだろうか?」
と悩んでいませんか?
独身で子供もいないいとこが亡くなった場合、その遺産がどうなるのか悩まれる方は多くいらっしゃいます。
残念ながら、原則、いとこの遺産を相続することはできません。
しかし、例外としてあなたが特別縁故者となった場合や、いとこが遺言書を遺した場合、いとこが契約した保険金の受取人になっていた場合は、いとこの遺産を受け取ることができます。
本記事はこのいとこの遺産を相続する権利について、図解を用いながらお伝えしています。
ご覧いただければ、ご自身にいとこの遺産を相続する権利があるかどうか分かるようになるでしょう。
目次
1.いとこの遺産を相続することは原則できない
いとこの遺産を相続することは原則できません。
なぜなら、いとこは法定相続人ではないからです。
遺産を相続する権利のある人を法定相続人と呼び、誰が法定相続人になるかは民法で定められています。
いとこは親族であり血縁もありますが、法定相続人ではないので、原則、遺産を相続することはできないのです。
■法定相続人についての詳細はこちら
法定相続人とは誰なのか?迷いやすい10の事例つき
2.【例外】いとこの遺産を取得できる3つのケース
例外的にいとこの遺産を取得できる3つのケースを紹介します。
原則、いとこの遺産を相続することはできませんが、この3つのケースに該当している場合は、例外としていとこの遺産を取得することが可能です。
2-1.【例外1】特別縁故者となったケース(いとこに法定相続人がいない場合限定)
いとこに法定相続人がいない場合に、特別縁故者となることで、いとこの遺産を取得することができます。
特別縁故者とは被相続人に法定相続人がいない場合に、特別に被相続人の財産を取得できる人のことです。被相続人の死後、家庭裁判所に申し立てを行い、確かにそのいとこには法定相続人がいないと確定した場合、その財産の一部もしくは全額を取得することができます。(未払金や借金などの債務があった場合は、その債務を清算したあとの額になります。)
しかし、誰でも特別縁故者として認められるわけではありません。
特別縁故者として認められる人は、民法958条2項で以下のように定められています。
- 被相続人と生計を同じくしていた者
- 被相続人の療養看護に努めた者
- その他被相続人と特別の縁故があった者
つまり、特別縁故者とは、いとこと親密な関係であった場合に認められる可能性があるもので、疎遠であった場合は認められません。
2-2.【例外2】いとこが遺言書を残していたケース
いとこが遺言書を残していた場合、いとこの遺産を受け取ることができます。
遺言書を残しておけば、たとえ法定相続人がいたとしても、遺言者(遺言書を書いた人)は好きな人に遺産を渡すことが可能です。いとこが生前作成した遺言書に「あなたに遺産を遺す」と記載されていた場合、あなたはいとこの遺産を受け取ることができます。
2-3.【例外3】保険金の受取人になっていたケース
保険金の受取人になっていた場合、いとこの遺産を取得することができます。
ただし、保険金の受取人となれる人の範囲は、各生命保険会社ごとに異なります。
中にはそもそもいとこを保険金の受取人として指定できない保険会社もありますのでご注意ください。
3.【注意】いとこの遺産を取得した場合、相続税額が2割加算される
特別縁故者や遺言書により、いとこの遺産を受け取った場合、相続税額が2割加算されます。
相続税法には、財産を取得した人が被相続人の一親等の血族および配偶者以外の人である場合は、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されると規定されています。
いとこは一親等の血族・配偶者ではないので、相続税額の2割加算の対象となります。
■国税庁HP No.4157 相続税額の2割加算
4.まとめ
いとこが亡くなられて、「自分はいとこの遺産を相続する権利があるのだろうか?」と疑問に思われている方を対象に、いとこの遺産を相続する権利について、原則と例外に分けて解説してきました。
最後に本記事の重要なポイントをもう一度振り返ります。
- 法定相続人ではないので、いとこの遺産を相続することは原則できない
- 例外としていとこの遺産を取得できるケースが3つある
【例外1】特別縁故者となったケース(いとこに法定相続人がいない場合限定)
【例外2】いとこが遺言書を作成していたケース
【例外3】保険金の受取人になっていたケース
- いとこの遺産を取得した場合、相続税額が2割加算される
本記事が「自分はいとこの遺産を相続する権利があるのだろうか?」と疑問に思われている方の一助となれば幸いです。