相続関係説明図とはどのような書類なの?
相続関係説明図を作成すると、何かメリットがあるの?
相続関係説明図は、どのように作成すればよいの?
この記事をご覧の方は、このようなお悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
本記事は相続専門税理士監修のもと
- 相続関係説明図とはどんな書類か
- 相続関係説明図を作成するメリット
- 相続関係説明図を作成すると便利な相続手続き
- 相続関係説明図を作成するための3ステップ
をご紹介しております。
また、効率的な相続手続きをおこないたい人に向けて、相続関係説明図よりもさらに多くのメリットがある法定相続情報一覧図についてもご紹介しております。
これから相続手続きをおこなう人に読んでいただき、相続手続きを効率的に進める一助になれば幸いです。
目次
1.相続係説明図とは
相続関係説明図とは、「被相続人と法定相続人の関係」を可視化した書類です。
相続手続きをおこなうには、法定相続人が誰かを把握することが必要不可欠です。
相続手続きで税理士や弁護士、金融機関を訪れると、どの訪問先でも「被相続人の法定相続人は誰ですか?」と聞かれます。
そのたびに、「この戸籍に書いてある、この人が長男で、この人が長女で、この人は養子で…」と相談するのはとても面倒ですよね。
そこで役に立つのが相続関係説明図です。
相続関係説明図には、被相続人と法定相続人の関係が分かりやすく可視化されています。
相談関係説明図を一枚提出すれば、「この人が長男で…」といちいち説明する必要がなくなります。
【イメージ図】
法務局:登記申請手続きのご案内p.28より抜粋
1-1.相続関係説明図の作成は任意
相続関係説明図の作成は「任意」です。相続手続きに必須の書類ではありません。
ただし、相続関係説明図を作成すると、被相続人と法定相続人の関係が可視化できるのでとても便利です。
1-2.相続関係説明図は公的な書類ではない
相続関係説明図は公的な書類ではありません。
似た名前のものに「法定相続情報一覧図」があります。この法定相続情報一覧図は、法務局の承認を得た公的な書類です。
相続関係説明図 | 私的な書類 |
法定相続情報一覧図 | 法務局で承認された公的な書類 |
2.効率的に相続手続きをおこないたい人は、法定相続情報一覧図を作成することをおすすめします
効率的に相続手続きをおこないたい人は、相続関係説明図ではなく、法定相続情報一覧図を作成することをおすすめします。
なぜなら、法定相続情報一覧図を作成すると、相続関係説明図を作成するメリットに加えて、戸籍謄本の原本に縛られることなく、効率的に相続手続きを進めることができるからです。
■それぞれのメリット
相続関係説明図 | ・被相続人と法定相続人の関係を整理できる |
法定相続情報一覧図 | ・被相続人と法定相続人の関係を整理できる ・戸籍謄本の原本に縛られることなく、効率的に相続手続きを進めることができる。 |
預貯金の解約・払い戻し、相続登記、相続税申告など、相続手続きを行う際、被相続人の戸籍謄本の原本は必ず必要です。また、提出した日に必ず返してもらえるという保証もありません。特に金融機関などでは、戸籍謄本の原本で相続人を確定する必要があるため、即日返却することはまず難しいでしょう。
しかし、各相続手続きをは期限が決まっています。その中で戸籍謄本の原本の返却を待って、次の相続手続きに移るというのはとても不自由です。
この不自由さを解決するのが、法定相続情報一覧図です。
法定相続情報一覧図は法務局で登録してしまえば、無料で何枚でも発行してもらうことができます。また、相続手続きにおいても戸籍謄本の原本の代わりになります。
そのため、法定相続情報一覧図を作成し登録すれば、戸籍謄本の原本に縛られることなく、効率よく相続手続きを進めることができるのです。
■法定相続情報一覧図の見本
※法務省民事局 法定相続情報証明制度について より抜粋
■法定相続情報一覧図の作成方法はこちら
法務局HP 主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例
2.相続関係説明図があると便利な相続手続き
相続関係説明図があると便利な相続手続きは、以下の5点です。
- 相続登記
- 預貯金の解約・払い戻し
- 家庭裁判所での遺産分割調停申立
- 相続税申告
- 弁護士や司法書士、税理士への相談
3.相続関係説明図を作成する3ステップ
相続関係説明図を作成する3ステップをご紹介します。
法定相続情報一覧図ではなく、相続関係説明図を作成すると決めた方は、このステップの通りに作成を進めてください。
ステップ1:必要書類を収集する
相続関係説明図の作成には、以下の3つの書類が必要です。まずは、この3つの書類を収集しましょう。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
(除籍謄本・改製原戸籍謄本) - 相続人全員の戸籍謄本
(または戸籍抄本) - 相続人全員の住民票
(または戸籍の附票)
ステップ2:必要な情報を確認する
相続関係説明図を作成するために必要な情報は以下の通りです。ステップ1で収集した必要書類から、以下の情報をみつけましょう。
被相続人 | 最後の住所 |
死亡日 | |
氏名 | |
相続人 | 住所 |
出生日 | |
被相続人との関係 | |
氏名 |
ステップ3:例のとおりに、相続関係説明図を作成する
以下の例の通りに、相続関係説明図を実際に作成してください。
形式はエクセルでもワードでも、手書きでも構いません。
①タイトルに「相続関係説明図」と入力
②被相続人の名前を入力する
③被相続人の情報を記載する
④法定相続人の情報を記載する
⑤配偶者は二重線、その他は線で繋ぐ
4.まとめ
相続関係説明図とは、どのような書類で、なぜ相続手続きをする際にあると便利か、ご理解いただけましたでしょうか。
また、作成方法も3章でお伝えしたので、相続関係説明図を作成すると決めた方は、お伝えした通りに作成してみてください。
2章でお伝えした通り、効率的に相続手続きをおこないたい人は、相続関係説明図ではなく、法定相続情報一覧図を作成することをおすすめします。法定相続情報一覧図の作成方法は、こちらのページに詳しく記載してありますので、法定相続情報一覧図を作成する方は参考になさってください。
■法定相続情報一覧図を作成方法はこちら