相続が発生すると、葬儀や役場等への手続きや亡くなったご家族の遺品整理、場合によっては相続税申告などやるべきことが多く、ご遺族の方にとって大きな負担になってしまいます。
そのような状況の中で、もし、保険に関する書類を紛失してしまっていたら…。
被相続人(亡くなった方)が加入されていた保険契約の存在に気付けずに保険金の請求もれが生じたり、相続税申告の際に支障が出たりしてしまうかも知れません。
保険法の規定により、生命保険は相続が開始した日の翌日から3年(かんぽ生命は時効が5年)を経過すると、時効で保険金の請求権が消滅する可能性があるため、速やかに保険会社へ連絡する必要があります。
本記事では生命保険契約があるかどうかを調べる方法から、生命保険契約の存在を確認して保険会社へ連絡するまでの流れを3ステップでご紹介します。
目次
1.生命保険契約の有無を調べる方法は3ステップ
相続が発生後、被相続人に生命保険契約があるかどうかを調べる方法は3つあります。
- 自分で調べる
- 生命保険契約照会制度を使う
- 生命保険会社へ連絡する
2章~4章で1つずつみていきましょう。
2.【ステップ①】自分で調べる
まずは、ご自宅に保険契約の有無や契約内容が書かれた書類がないかを調べます。
生命保険会社の書類が見つからなくても、
- 被相続人の預金口座から保険料が引き落とされている
- 確定申告書の保険料控除の欄に保険会社名が記載されている
という可能性もあるので、合わせてチェックしてみてください。
そして、自分で調べてみて、
保険書類が見つからない場合は、【ステップ②】生命保険契約照会制度を使う へ
保険書類が見つかった場合は、【ステップ③】生命保険会社へ連絡する へ
3.【ステップ②】生命保険契約照会制度を使う
自力で調べても分からない時は、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用する方法があります。
生命保険契約照会制度は、ご遺族に代わって生命保険協会が生命保険会社に照会をかけ、生命保険契約の存在を確認してもらえる制度で、オンラインまたは郵送で申請することができます。
注意点は以下の通りです。
- 現在契約しか照会できません
- 1照会あたり3,000円(税込)の手数料が生じます
(災害による照会の場合には手数料は生じません) - 本人確認書類、戸籍謄本、死亡診断書などの提出書類を準備する必要がある
なお、災害救済法が適用された地域で被災されたことによる死亡・行方不明の場合は、手数料・提出書類は求められません。また、災害時の場合は電話で申請することができます。
生命保険契約照会制度を利用する場合はこちらのページで手続きができます。
また、生命保険契約制度について、さらに詳しく知りたい場合はこちらのページをご覧ください。
4.【ステップ③】生命保険会社へ連絡する
生命保険会社へ連絡をしましょう。生命保険会社への連絡方法は、契約パターンによって2種類ありますので、ご自身が該当する方をご覧ください。
(ケース1)死亡保険金を受け取る場合(契約者と被保険者が同じ)
生命保険契約の存在が分かったら、保険金を受け取る手続きも行います。
請求は基本的に「保険金の受取人」が行うことになります。もし受取人が認知症などを患っていてる場合や、小さな子供がである場合など、自分自身で請求手続きが出来ない場合は、代理人が手続きを行うことも可能です。
具体的な手続き方法としては、保険会社へ相続があったことを連絡し、「亡くなった方の氏名」「生年月日」「住所」「死亡日」「連絡先の電話番号」などを伝えます。そうすると、保険会社から「保険金の請求書」が送られてくるので、請求書に必要事項を記入し、「死亡診断書の写し」「受取人の本人確認書類」などの必要書類と一緒に保険会社へ送ります。
なお、必要書類は保険会社によって異なるため、手続きの際に保険会社の担当者にご確認ください。
(ケース2)保険金の受け取りが無い場合(契約者と被保険者が異なり、契約者が死亡)
受け取る保険金がないのであれば、手続きは必要ないのでは?と思われるかもしれませんが、保険契約自体は継続しているため、契約者を他の方へ変更する手続きが必要となります。
保険会社へ相続があったことを連絡し、「亡くなった方の氏名」「生年月日」「住所」「死亡日」「連絡先の電話番号」などを伝えます。そうすると、保険会社が手続きの詳細を教えてくれますので、保険会社の指示に従って、「死亡診断書の写し」「新しい契約者の本人確認書類」などの必要書類を送ります。
なお、必要書類は保険会社によって異なるため、手続きの際に保険会社の担当者にご確認ください。
5.【番外編】相続税申告の対象となる保険契約とは?
死亡保険金には「みなし相続財産」として相続税が課税される場合がある、と耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
見落としがちですが、死亡保険金以外にも、相続が発生した際に保険金が支払われない保険契約に対しても相続税が課税されるケースがあります。
ステップ③のケース2のように、被相続人が親族などに生命保険を掛けていた場合は、ご遺族の方へ直接保険金等が支払われることはありません。
しかし、仮に解約した場合にご遺族が保険等の解約返戻金を受け取る事ができるため、相続財産とみなされることになります。
この場合は、保険会社等から「相続が開始した日(お亡くなりになられた日)時点での解約返戻金額」を確認する必要があります。
6.まとめ
本記事では、生命保険契約があるかどうかを調べる方法から、生命保険契約の存在を確認して保険会社へ連絡するまでの流れを3ステップでご紹介いたしました。ステップの通り進めていただければご自身で手続きができると思います。しかし、どの保険契約が相続財産となるか判断に迷った時は、辻・本郷 相続センターまでお気軽にご相談ください。