平成27年(2015年)の相続税の基礎控除額の引き下げという大規模な改正以降、相続税の申告をされる方が大幅に増加しました。
相続が身近になり、親が亡くなった途端に悲しみにくれる間もなく相続税を計算しないと今後の生活が心配、という方も多くいらっしゃいます。
相続税の計算をするにあたり、亡くなられた方の財産をお調べするのですが、有価証券を相続するにあたってよく忘れがちなポイントをまとめました。
残高証明書をもらってみたけれど……株数が一致しない?
有価証券の株数を何株お持ちだったか確認するために、お取引先の証券会社に問い合わせの上、まずはお亡くなりになった日の残高証明書を取得します。
ところが、毎年配当を振り込まれている配当金計算書の株数と残高証明書の株数が一致していません。さて、これはどういうことでしょうか?
実は残高証明書に載っていない財産がある?
有価証券は平成21年(2009年)に上場株式の株券が電子化されました。紙ベースの管理を廃止し、株主の権利は、証券保管振替機構(いわゆる「ほふり」)と証券会社で管理されるようになったのです。
しかし、端株は株主名簿を管理する信託銀行の「特別口座」内で管理されることになったため、1人の方の株式でも証券会社と信託銀行の2カ所で管理されていることがあるのです。
紙ベースの管理を廃止したことにともない、いわゆるタンス株券についても、信託銀行の特別口座で管理されています。
端株(はかぶ)って?
端株とは、1株未満の株で端株原簿(げんぼ)に記載されたもののことです。
上場会社の株式については、株式の分割や合併による株式の交換などで発生する「単元未満株」を端株と呼ぶことがあります。
1株未満の株は一般の株売買取引はできませんが、信託銀行等の株主名簿管理人を通して発行会社に買い取ってもらう「買取請求」などの方法により換金することが可能です。
つまり、端株も財産になります。
端株はどうやって確認するの?
残高証明書だけでは漏れてしまう端株。
それでは、どうやって確認すればよいでしょうか?まずはお手元にある「配当金計算書」の株数と残高証明書の株数を確認してみましょう。
株数が一致していなければ、端株の可能性が高いです。配当金計算書に記載されている株主名簿管理人(信託銀行等)にお電話で問い合わせて、手続きを行います。
その際、「株式残高証明書」「株式移動証明書」を取り寄せると、株式分割が行われた経緯等がわかるようになっています。
このような方法でも不明な場合には、直接、証券保管振替機構に電話で問い合わせましょう。
亡くなられた方の証券取引口座や特別口座がどこにあるかを調べることができます。
ただし、これはどこの証券会社、どこの信託銀行に口座があるかのみを調べてもらえる方法ですので、保有株式数については、別途信託銀行等にお問い合わせの上確認することになります。
また、この方法では手数料や必要書類の郵送などもありますので、余裕をもってお手続きなさってください。
おわりに
相続財産で漏れやすい、有価証券の端株についてご説明いたしました。
実際の手続きはかなり煩雑ですので、お困りの際には辻・本郷 相続センターまでお気軽にお問合せください。