遺言書がない相続の場合、相続人全員で話し合いをして財産の分け方を決めることになります。この話し合いの途中で相続人の1人が亡くなってしまった場合には、相続人の代理人となる方が加わり、改めて協議を行うことになります。
今回は遺産分割協議中に相続人が亡くなってしまった場合の手続きについてご説明します。
目次
相続が立て続けに起こること=数次相続
亡くなった方の財産を相続人同士で分ける話し合いを、遺産分割協議といいます。
その遺産分割協議の最中に、相続人である方も亡くなってしまうケースがあります。
このように短期間のうちに立て続けに相続が発生し、最初に発生した相続の相続手続きが終わらないうちに相続人自身の相続が起きてしまうことを「数次相続」といいます。
数次相続が起こった場合、遺産分割協議には亡くなった相続人の代理人が遺産分割協議に参加することになります。
例1:父と母が相次いで亡くなった場合
父と母が相次いで亡くなったケースで考えてみましょう。
父が令和5年1月に亡くなり、相続人は母、長男A、次男Bの3人になります。この3人で遺産分割協議を行うことになります。
しかし、遺産分割協議がまとまる前に、父の死後2ヶ月後に相続人である母が亡くなってしまいました。
この場合、父の遺産分割協議は母の相続人である長男Aと次男Bの2人で行うことになります。
例2:父と子が相次いで亡くなった場合
父が亡くなり、その半年後に長男Aが亡くなったケースで考えてみましょう。
父の遺産分割協議がまとまる前に相続人である長男Aが亡くなってしまった場合、長男Aの相続人である孫Cが長男Aの代理人になります。
したがって、父の遺産分割協議は相続人である母、次男Bと長男Aの相続人である孫Cの3人で行うことになります。
また、孫Cは長男Aの申告義務を引き継ぐことになりますので、相続税の納税額が生じた場合、孫Cが長男Aに代わって相続税の申告と納税を行う必要があります。
申告期限に間に合わない場合
相次いで相続が起こった混乱により、相続税の申告期限までに遺産分割協議を終える事ができなくなってしまった場合は、法定相続分どおりに相続したものとして相続税の申告を行うという方法があります。
申告期限までにいったん相続税の申告を行い、その後、遺産分割協議がまとまった後に相続税の申告をしなおしてもよいでしょう。
相続税申告を終えて10年以内に次の相続が起こった場合は「相次相続」にあたる
相次いで家族が亡くなったケースで、よく似た名前の「相次相続」というものがあります。
相次相続とは、1人目の相続が起こってから10年以内に2人目の相続が起きた場合に、一定の要件を満たせば2人目の相続税の減額を受けることができるという制度です。
数次相続は、相続税の申告手続きを終える前に次の相続が起きてしまったというケースですが、相次相続は申告手続きを終えた後に次の相続が起きたという点が異なります。
例えば、「父が亡くなって相続税の申告・納税を行った後、10年以内に父の相続人である子が亡くなった場合、要件を満たせば子の相続税について一定の減額を受けることができる」というものになります。
おわりに
遺産分割協議がまとまらない場合には、相続の手続きが完了せず、また相続税の納税額の負担が重くなる可能性もあります。
今回ご紹介した「数次相続」の場合、通常の相続よりも相続手続きが複雑になることもあります。
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