相続税申告のため、葬式費用の領収書を保存されているかと思います。
ただ、葬儀法要では多くの支出があるので、支払った金額を覚えていないものもあるのではないでしょうか。
じつは、葬式費用は相続財産から差し引く(控除)ことができます。
今回は、相続税の支払いを減らすことができる、大変重要な葬式費用の範囲について、ご説明いたします。
葬式費用は何故控除されるのか
被相続人(亡くなった方)の葬式にかかった費用は、相続開始日(亡くなった日)での被相続人の債務といえるものではありません。
基本的にご遺族の方が負担する費用ではありますが、相続において必然的に生じるものですので、控除が認められます。
相続税額から葬式費用を控除するためには、根拠資料のコピーを申告書と一緒に提出する必要があります。
①葬儀社等から発行された領収書
②領収書の明細書(領収書のみでも問題ありませんが、明細書も発行する葬儀社が多いです)
メモしておきたい6つの項目
なかには、読経料やお布施、心付けなど、領収書が発行されないものもあります。おもに、お坊さんへお支払いするものです。
下記の内容をしっかりとメモをしておくことで根拠資料になります。
相続財産から、お布施等の金額も控除ができます。
- 目的(内容)
- 支払日
- 金額
- お寺の名称(支払先の名称)
- 連絡先
- 住所
また、お寺へのお支払いだけではなく、生花代や火葬場での飲料費等についても、領収書がない場合は、上記の6項目について記したメモがあれば、相続財産から控除できます。
葬式費用の範囲
葬式費用の範囲として認められる、「必然的に生じる」と考えられる葬式費用は下記の7点です。
①通夜、告別式にかかった費用
②通夜、告別式にかかった飲食料代
③葬儀にて支払った心付け
④お寺へ支払ったお布施・戒名料・読経料など
⑤埋葬、火葬、納骨にかかった費用
⑥遺体の捜索、遺体や遺骨の運搬費用
⑦会葬御礼費
葬式費用に該当しない4つの費用
①香典返戻費用
香典返戻費用とは葬儀で故人にお供えいただいた香典へのお返しを、四十九日が過ぎたあとに、挨拶状ともにお送りすることが一般的です。
しかしながら、会葬御礼費用とは別に香典返しを実施していれば、会葬御礼費用の部分は葬式費用に該当します。
②墓碑、墓地、位碑の購入や借入料
墓地、仏壇、仏具は相続税の対象外のため、関連する費用は該当しません。
しかし、白木位碑は葬式費用に該当します(葬儀社の明細書に記載されています)。
また、生前に墓地などを購入しておくと相続税が非課税になります。
しかし、換金性のある金の仏像などは課税されますので注意してください。
③法会に要する費用
法会費用とは、初七日、四十九日、一周忌法要などに関する費用のことです。
ただし、初七日法要の場合は、通夜、告別式と同時に実施していて、代金が区別されていない場合には葬式費用に該当します。
また、四十九日に実施した納骨費用は葬式費用に該当します。
④医学上または裁判上の特別の処置に要した費用
死亡解剖にかかる費用(病理解剖、司法解剖)は、葬式と関係がないため、葬式費用に該当しません。
まとめ
このように、葬式費用として相続税から差し引く(控除)ことができるものと、できないものがあることをぜひ覚えておいてください。
申告の際に、差し引きできない葬式費用を含めて申告してしまうと、再度税務署に修正申告をし、税金を追加で支払わなくてはならない場合もありますので注意が必要です。
ご家族の葬儀が終わり、相続申告の準備を始めたいけれど、相談先が判らないという方は、ぜひ私たち辻・本郷 相続センターまでお気軽にお問い合わせください。