相続税の申告と納税が済んで一安心!と思っていたある日、タンスの奥から見たことのない預金通帳や証書が……。
名義はお亡くなりになったご家族名義だけでなく、ご自身やお子様名義のものも。
こんな場合、いったいどうしたら良いのでしょうか?
まずは税理士へ相談
このような場合は、まず相続税申告をご担当された税理士事務所に相談です。見つかった通帳や証書の預金が、提出された相続税の申告書に財産として含まれていたかどうか確認しましょう。
通帳等の発見は遅れたものの、残高証明書等でその預金の存在を確認し、相続財産に含めている可能性もあります。
自主的な修正申告のおススメ
当初の相続税申告書にその預金等が含まれていない場合、税理士事務所とも相談の上、自主的な修正申告をすることをお勧めします。
修正申告にあたっては、遺産分割協議書で新たに発見された財産について定めがあればその内容に沿って、なければ相続人同士で再度話し合い、発見された財産の相続人を確定させます。
自主修正申告の場合、発見された財産分の相続税と延滞税(本来の申告期限から修正申告・納付日までの期間)は課されますが、税務調査前であれば過少申告加算税(本税の10~15%)は免除されます。早めの対応が大切です。
自主的な修正申告にはこんな利点も
せっかく通帳を見つけラッキーと思っていたのに、また申告しなきゃいけないなんて……と気を落とされる方もいるかもしれません。
ただ、修正申告には正しい納税ということの他に、次のような利点もあります。
①真面目な納税者と認識される
新発見の財産を隠さず申告するということですから、真面目な納税者と認識され、一般的には税務調査の確率が低くなる傾向があります。
②税務調査での発覚だと大幅に加算される税金がある
自主修正申告せず、同じ財産が税務調査にて発覚、指摘されると状況は一変します。
本税と延滞税は修正申告同様ですが、これに過少申告加算税(本税の10~15%)、悪質と認定された場合、重加算税(本税の35~40%)等の高税率の税金が課されます。
また、重加算税の案件の場合は、配偶者の税額軽減が使えません。自主修正申告であれば、配偶者の税額軽減の枠を使って税負担を少なくできる可能性があります。
③当初の相続税申告書を見直す機会になる
修正申告を行うことは、当初の相続税申告を見直す機会にもなります。もしかすると、今回見つかった財産ではない他の財産が、過大に高額評価されているかもしれません。
当初の申告に疑問や不満がある方は、セカンドオピニオンを聞いてみる良い機会になるかもしれません。