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相続財産から引いて計算できるもの「債務控除」

公開日:2020.12.04
債務控除
相続財産から引いて計算できるもの「債務控除」

相続が発生したとき、相続財産の洗い出しをする必要があります。被相続人に借入金などの債務があった場合、遺産総額から債務を控除(マイナス)することができます。

今回は相続財産から差し引いて計算できる「債務控除」についてご説明します。

町田事務所

債務控除とは

相続税の計算をするとき、遺産(相続財産)を調べてそれをもとに計算をします。
被相続人(亡くなった方)に借入金などの債務があった場合には、遺産総額から差し引くことができ、納付する相続税額の負担を減らすことができます。

遺産総額から差し引くことができるのは以下2つです。

  1. 1. 債務 被相続人が亡くなった時にあった債務で、確実と認められるもの
  2. 2. 葬式費用(債務ではありませんが)遺産総額からマイナス(控除)できる

債務控除の「対象になる」ものと「対象にならない」ものについて、主なものをまとめますのでご参考になさってください。

債務控除の対象になる債務(主なもの)

  1. 銀行や個人からの借入金
    個人からの借入金の中でも特に親族からの借入金については、実態として借入があったかどうかの判定が必要です。
  2. 公租公課(こうそこうか)※国や地方公共団体に納める税金や負担金
    相続発生後に支払う準確定申告の所得税・消費税や住民税、固定資産税などの税金や社会保険料などです。
    延滞税等については、被相続人の責任で発生したものは控除ができます。
  3. 連帯債務(連帯債務者が弁済不能の場合)
    夫婦や親子などが連帯して負担する債務において、連帯債務者が弁済不能であり、被相続人が弁済しなければならないなど求償権を行使しても弁済を受ける見込みがない場合は、被相続人が負担すべき部分のみが対象となります。
  4. 相続発生後に支払う未払医療費
    死亡診断書の支払いも債務になりますが、こちらは「葬式費用」に該当します。
  5. 賃貸不動産などの預かり敷金
  6. 被相続人が使用していた水道・光熱費や電話代などの未払金
  7. 特別寄与料
    被相続人に対して無償で療養看護などの労務を提供したことにより、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした相続人以外の方に対して、特別寄与料を支払う相続人は債務控除が認められます。これは令和元年(2019年)7月1日以降の相続開始から適用されることになったものです。

債務控除の対象にならない債務(主なもの)

  1. 墓地や仏具など非課税財産に係る未払金
    お墓や神棚・仏壇など(墓所、霊びょう、祭具に該当するもの)の非課税財産に係る未払金および購入費用は債務控除の対象になりません。
  2. 保証債務
    債務者と保証人で契約した保証債務は原則として債務控除できませんが、債務者が弁済不能等の事情がある場合は控除可能なことがあります。
  3. 団体信用生命保険付きの住宅ローン
    被相続人の死亡と同時に保険金により住宅ローンの返済がなされるため、債務とはなりません。
  4. すでに消滅時効の完成した未払飲食費
    未払いの飲食費は民法改正後(2020年4月1日以降)5年で時効が完成します。※改正前の時効は1年
  5. 確実と認められない債務
    債務は存在するが金額が未確定なもの、裁判係争中の債務などは対象外です。
  6. 相続人が負担すべき債務
    被相続人の死亡後に発生する以下の費用
    • 相続財産の管理費用
    • 遺言執行費用、財産目録調製費用
    • 遺産分割交渉に係る弁護士費用や訴訟費用
    • 相続税申告のための税理士費用
    • 相続人を確定するための戸籍謄本代など

おわりに

債務や葬式費用を遺産総額から差し引くことができる人は、相続人または包括受遺者です。

包括受遺者……遺言により遺産の全部または何分のいくつというように、遺産の全体に対する割合で財産を与えられた人のこと。

「債務控除」は相続開始の状況や個別の事情により、「対象になる」「対象にならない」が異なる場合もあります。また、相続人の住所地によっても控除できる債務の範囲が変わることがあります。

ご自身での判断は極力避けていただき、詳しくは辻・本郷 相続センターまでお問い合わせください。

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