国税庁は7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2022年分の路線価(1月1日時点)を発表しました。
今回は、相続税を計算するときに土地評価のもととなる「路線価」について解説します。
2023年の路線価の傾向は?
全国約32万地点の標準宅地は前年比で0.5%上昇しました。昨2021年まではコロナ禍の影響を受け2年連続で減少していましたが、感染拡大にともなう経済低迷からの回復を反映した結果となりました。
全国で最も高かったのは、東京都中央区銀座5丁目、中央通りの文具店「鳩居堂(きゅうきょどう)」前です。
“1平方メートルあたり4,272万円”で、なんと38年連続で日本一です。
当地は2021年からマイナスに転じていたものの、昨年比で1.1%増となりました。
標準宅地:主要な街路(道路)に接する宅地のうち、地積や規模・形状などが標準的な宅地のこと。
そもそも路線価とは?
相続税や贈与税を計算する場合は、それぞれの財産の相続税評価額を計算します。
土地の相続税評価額を計算するもととなる価格を「路線価」といいます。
主要な道路(路線)に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額で、土地等を評価するときに用います。
<計算例>
路線価は、毎年7月1日頃に国税庁から発表され、ウェブサイトで確認ができます。みなさんもぜひご自宅の相続税評価額を算出してみてください。
路線価のほかには何がある? ~土地の評価指標~
国内の土地評価の指標には、他にも公示地価や基準地価などがあります。
公示地価
公示地価は、適正な地価の形成に役立てるために、国が毎年1月1日時点の標準地の価格を毎年3月に公表しているものです。
基本的には都市計画区域内を調査対象としています。
公示地価は一般的な土地売買の際の指標や、公共事業の取得価格の基準となっています。
ちなみに相続税の路線価は、おおむね「公示地価 × 80%」になるよう調整して決められます。
都市計画区域:都道府県が指定する都市計画上の都市の範囲のこと。
行政が商業地や住宅地、学校や病院などの配置から道路・公園・下水道などのインフラを含めて計画的に整備・開発・保全するためのもので、市街地を中心にまとまった都市として、市街化区域(計画的に市街化を進める)や市街化調整区域(市街化を抑制する)などを指定する。
基準地価
各都道府県が主体となって毎年7月1日の評価が、9月下旬頃に公表されます。
基準地価の評価方法は公示地価とほぼ同じですが、都市計画区域内以外も含まれる点などが異なります。
一部公示地価と同地点での評価もあるため、1月1日時点の「公示地価」と7月1日時点の「基準地価」を比較することによって半年ごとの評価の動向を確認することもできます。