相続人が未成年者や障害者であった場合は、相続税が安くなるのはご存知でしょうか?
相続や遺贈によって財産を取得した方が未成年者や障害者である場合、その方の年齢に応じて相続税が軽減される制度が設けられています。
未成年者控除
未成年者の方が相続人となる場合に適用される控除制度です。
適用対象者
- 財産を取得した時に日本国内に住所があること(一時居住者で一定の者を除く)※1
- 被相続人の法定相続人であること
- 18歳未満の者であること
※1 日本国内に住所がない方でも一定の要件に該当する場合は対象になります
控除額
- 10万円 × (18歳-相続時の年齢)※2
※2 年齢に1年未満の端数がある場合は1年として計算します
[例]相続開始時に相続人が15歳7カ月だった場合
18歳 - 15歳7カ月 = 4歳5カ月 → 5歳
よって、未成年者控除額は「10万円 × 5歳 = 50万円」となります。
障害者控除
85歳未満の障害者の方が相続人となる場合に適用される控除制度です。
適用対象者
- 財産を取得した時に日本国内に住所があること(一時居住者で一定の者を除く)
- 被相続人の法定相続人であること
- 障害者であること
障害者の区分
一般障害者
- 身体障害者手帳において、身体上の障害の程度が3級から6級と記載されている方
- 精神障害者保健福祉手帳において、障害等級が2級または3級と記載されている方
- その他一定の障害のある方
特別障害者
- 身体障害者手帳において、身体上の障害の程度が1級または2級と記載されている方
- 精神障害者保健福祉手帳において、障害等級が1級と記載されている方
- その他一定の重度の障害のある方
控除額
- 一般障害者 10万円 × (85歳 - 相続時の年齢)※3
- 特別障害者 20万円 × (85歳 - 相続時の年齢)※3
※3 年齢に1年未満の端数がある場合は1年として計算します
[例]相続開始時に特別障害者である相続人が45歳7カ月だった場合
85歳 - 45歳7カ月 = 39歳5カ月 → 40歳
よって、障害者控除額は「20万円 × 40歳 = 800万円」となります。
相続税額より控除額の方が大きい場合は?
控除額が未成年者本人または障害者本人の相続税額より大きいため、控除額の全額が引き切れないことがあります。この場合は、その引き切れない部分の金額をその未成年者または障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。
扶養義務者とは、配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいい、実際に扶養をしていない状況であったとしても扶養義務者に該当すれば扶養義務者の相続税額から控除を受けることができます。
どちらの制度も要件の1つとして「被相続人の法定相続人であること」が必要です。
法定相続人でない18歳未満の方や障害者の方が遺言によって相続財産を取得した等の場合は、この制度は使うことはできませんのでご注意ください。