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相続税対策で孫を養子にすることのメリットとデメリット

公開日:2019.12.24
生前対策・贈与

孫を養子にすると、相続税が軽減される?

「孫を養子にすると相続税の対策になる」という話を聞いたことはありませんか?

養子は、「子」として血縁のある実子と同じ立場となるため、養親が亡くなった場合には財産を相続する権利を持つことになります。

養子がいる場合、相続税の計算上メリットがありますが、あわせてデメリットもあります。また、相続税対策のための養子縁組は税務署から否認されることもあります。

仙台事務所

養子を迎えることによる2つのメリット

1.相続税が課税されずに受け取れる財産の額が増える

相続税には基礎控除額、生命保険および退職手当金の非課税枠があります。
この金額は以下の計算式で算出します。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
生命保険、退職手当金の非課税額 = 500万円 × 法定相続人の数

どちらも法定相続人の数により金額が変動しますので、法定相続人の数が増えれば、その分相続税が課税されずに受け取れる財産の額が増えることになります。

2.相続税の税負担が軽くなる可能性がある

相続税はプラスの財産(不動産、現金、株式等)からマイナスの財産(債務、葬式費用等)を引いた財産の総額から、上の段落でご紹介した、基礎控除額、各種非課税額を差し引いた金額を法定相続分で按分し、税率をかけて全体の相続税額を算出します。

相続税の税率は課税額が増えるほど税率が上がる「累進課税」ですので、孫を養子にすることによって法定相続人が増え、相続人1人あたりの相続分が減少し、場合によっては税率が下がる可能性があります。

養子を迎えることによるデメリット、注意点

1.養子の人数が増えるほど、税負担が軽くなるわけではない

上記の内容をふまえると、「養子の人数が多ければ多いほど相続税の税負担が軽くなるのでは?」と思われたのではないでしょうか。

節税対策として養子縁組を行う人が増えたことによって、相続税の計算上、法定相続人に含めることができるのは実子がいる場合には1人実子がいない場合には2人までという制限があります。
この制限以上に養子がいたとしても、相続税のメリットが増えるわけではありませんのでご注意ください。

2.かえって相続税が増えることも?

財産を取得した人が以下の3者以外の場合、その人の相続税額へ、その相続税の2割が加算されます。

「2割加算対象外の人」
①配偶者  ②父母  ③子

孫を養子にしたら相続税が増える?

祖父母、兄弟姉妹、孫などは上記の3者以外にあたるので、相続財産を取得すると、相続税の2割が加算されてしまいます。

その理由は、「本来の相続人以外の人が財産を取得することは、偶然性が高く、通常その財産が相続人の生活の元手となることが予定されていないため、税金を負担する力が十分にある」、「被相続人が遺産を孫に遺贈した場合等に相続税の課税を1回免れる結果となる」ことによります。

被相続人の養子は一親等の法定血族であることから、相続税額の2割加算の対象とはなりません。
しかし、被相続人の養子となっている孫は、被相続人の子が相続開始前に死亡した時や相続権を失ったためその孫が代襲して相続人となっているときを除き、相続税額の2割加算の対象となります。

3.遺産分割協議が煩雑になる可能性がある

被相続人に実子がいて、さらに養子を迎える場合はどうでしょうか。
相続税の計算上はメリットはありますが、相続人が増えることによって、実子の法定相続分が少なくなるので争いの種になる可能性がでてきます。
また、養子が未成年の場合、未成年後見人または特別代理人を選任しなければなりません。

仮に、特別代理人を立てた場合、養子が持っている法定相続分を確保したうえで、遺産分割協議を行う必要があり、さらに養子が成人するまで相続した財産を自由に使えなくなる可能性があることも、遺産分割協議が煩雑になる一因になります。

4.「相続対策のための養子」は否認される?

ここまで、養子を迎えることによるメリット、デメリットをご紹介しました。
相続税のメリットを考えれば、孫を養子にすることも1つの手段であると言えますが、相続税対策のための養子縁組だと税務署が判断した場合には、相続税の計算上、法定相続人に含めることができないこともあります。

お孫さんへ財産を移転したい場合には、毎年コツコツと贈与を行う方法や、住宅取得資金の贈与であれば非課税枠がありますので、こちらの制度を利用することも検討してみてはいかがでしょうか。

私たち辻・本郷 相続センターでは、相続税対策のご相談も承っております。

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