家屋の建築途中で依頼主が亡くなり、相続が発生した場合、どのように評価をすることになるのか?というご質問をいただくことがございます。
建築工事中の家屋の評価について、ケース別にご説明していきます。
建築中の家屋(建物)の相続税評価
家屋(建物)の相続税評価額は、原則、その家屋の固定資産税評価額に1.0を乗じた金額(相続税評価額は、固定資産税評価額と同じ)となります。
一方、建築途中の家屋に関しては、相続開始時点において、固定資産税評価額が設定されていませんので、どのように評価をすればよいのでしょうか?
建築中の家屋の評価 = 費用現価(建築代金の総額 × 工事進捗率)× 70%
費用現価とは、家屋の建築が始まった時から相続開始日(課税時期)までにかかった建築費を相続開始日の価額に引き直した額の合計額のことをいい、家屋の建築代金の総額に工事の進捗(しんちょく)率を掛けて算出します。
ケース1
建築代金の総額:6,000万円
工事進捗率:60%
相続開始前の前払金:2,000万円
<費用現価>
6,000万円 × 60% = 3,600万円
<建築中の家屋の評価額>
3,600万円(費用現価)× 70% = 2,520万円・・・相続財産にプラス
<未払金> ※費用現価が前払金を上回っているため
3,600万円(費用現価)- 2,000万円 = 1,600万円・・・相続財産からマイナス
ケース2
建築代金の総額:6,000万円
工事進捗率:60%
相続開始前の前払金:4,000万円
<費用現価>
6,000万円 × 60% = 3,600万円
<建築中の家屋の評価額>
3,600万円(費用現価)× 70% = 2,520万円・・・相続財産にプラス
<前払金> ※前払金が費用現価を上回っているため
4,000万円 - 3,600万円(費用現価)= 400万円・・・相続財産にプラス
まとめ
ケースごとに相続税の計算における評価の考え方について、説明させていただきました。いかがでしたでしょうか?
工事進捗率については、建築工事の業者様に相続開始日時点において、実際にどの程度完了していたのかを確認します。
進捗割合の証明書を発行していただく、もしくは、建築工事の内訳明細書、工事進捗表等をもとに相続開始時点までにかかった金額を確認する必要があります。
おわりに
今回は建築中の家屋の相続税評価について一般的なご説明をいたしましたが、評価に関しては個別に考慮される事情もあり、当然さまざまな考え方が存在します。
相続に関して少しでも気になることがございましたら、辻・本郷 相続センターへお気軽にご相談ください。