家族間でお金の貸し借りがあった場合、夫婦間でも利息は取らないといけないのでしょうか。親子間だから子どもの出世払いで返してもらう約束をしても大丈夫なのでしょうか。
当人間では貸し借りのつもりでも、贈与とみなされてしまう場合もあります。借用書を作成し、契約を結んでおくとよいでしょう。
家族間でのお金の貸し借りに対して税金はどのように関係してくるのか、くわしく見てみましょう。
受取利息と所得税・住民税、無利息借入と贈与税の話
お金を貸した人と税金
貸した人が利息をもらった場合、その金額は雑所得としてその人に所得税が課税されます。
ただし、一定の給与収入しかない人は、その利息金額が20万円以下であれば「所得税」の確定申告は不要となります。その結果、所得税はかかりません。
しかし、住民税には、このような20万円以下は申告不要とする取り扱いがありません。そのため、金額がいくらであれ、利息をもらえば住民税申告の検討が必要となります。
お金を借りた人と税金
利息を支払わないでお金を借りた場合、借りた人は利息分お金が儲かったことになります。この場合、利息の贈与があったとみなされて贈与税が課税されることがあります。
ただし、一般的な贈与税には基礎控除があり、通常一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額が110万円以下ならば贈与税はかかりません。
無利息借入とその他の贈与された財産の合計が110万円以下であれば、贈与税は課税されないことになります。
貸付金と贈与税の話 ~貸付なのか贈与なのかの判断基準~
家族間において利息なしでお金の貸し借りをした場合、貸し借りをしている側から見れば、お互いに「貸したよね?」「うん、借りたね」ということで貸し借りの事実は確認できます。
しかし、課税庁である税務署側の視点で見ると「ホントに家族間での貸し借りなのか?」それとも「家族間で贈与があったのか?」という事実関係を判断する必要が出てきます。
国税庁の判断基準は?
国税庁のHP上にタックスアンサー(No.4420 親から金銭を借りた場合)が掲載されています。
親と子、祖父母と孫など特殊の関係がある人相互間における金銭の貸借は、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。
しかし、その借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は、贈与として取り扱われる場合があります。
なお、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている場合や「ある時払いの催促なし」または「出世払い」というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます
以上のことから、お金の貸し借りの際には「金銭消費貸借契約書」を作成して、利息(無利息の場合には、その利益が贈与を受けたことになることを考慮の上、無利息と記載しておく)および返済期間を設定します。
そして、当事者が契約書に署名押印をして、契約書にしたがい、実際に返済を行うことがポイントとなります。
おわりに
今回のような家族間のお金の貸し借りは、当事者間では贈与ではないと思っていても、贈与とみなされることがあります。
とくに多額のお金を動かすときなどには、このような思わぬ課税トラブルが潜んでいるケースもあります。家族間での借り入れについて不安なことがあれば、まずは専門家に相談されることをお勧めします。
辻・本郷 相続センターでは、相続以外にも贈与に関するご相談・お問い合わせを承っています。「こんなケースは贈与にあたるのか?」など、お気軽にお問い合わせください。