相続人が配偶者と子供である場合など、相続人の中に未成年者が含まれるケースもあります。
未成年者は自ら遺産分割協議に参加することができるでしょうか?
今回は相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議についてご説明します。
目次
未成年者は遺産分割協議に参加できるのか?
未成年者は遺産分割協議に参加することはできません。
相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議には法定代理人である親権者(父母等)が未成年者に代わって遺産分割協議に参加することになります。
ただし、親権者自身が未成年者とともに共同相続人の一人だった場合には、特別代理人を家庭裁判所に請求し、選任された特別代理人が未成年者の代理人として、遺産分割協議に参加します。
例:法定相続人2名(配偶者・花子さん、子・太郎さん:未成年者)の遺産分割協議について
花子さんは法定代理人になれるのか?
花子さんは共同相続人の一人ですので、太郎さんの法定代理人になると、お互いの利害が衝突し親権者としての公平な行使が期待できないことから、太郎さんの代理人として遺産分割協議をすることはできません。
このケースでは、例えば、利害関係のない一郎さんを特別代理人として選任してもらうよう、家庭裁判所へ申立てをします。そして、家庭裁判所が特別代理人として一郎さんを選任したら、ようやく遺産分割協議を行うことができます。
※申立て後、特別代理人が選任されるまでの目安の期間は、約2~3週間(事案によって異なる)です。
遺産分割協議にて注意すべきポイント
遺産分割協議にて花子さんがすべての財産を取得することはできるのか?
太郎さんはまだ未成年者なので、親権者である花子さんにすべての財産を相続させたいという意思を花子さんと一郎さん(特別代理人)が持っていた場合、遺産分割協議は成立するでしょうか。
結論としては、原則、太郎さんの有する法定相続分(今回のケースでは1/2)を確保した上で、遺産分割協議を行う必要があり、太郎さんに不利になる内容で遺産分割協議を成立させることはできません。ただし、事案によっては家庭裁判所が柔軟に対応する場合もあります。