亡くなった方が証券会社に口座を保有していた場合、上場株式等の相続手続きは忘れず行うかと思いますが、配当金は少額なものもあるために放置してしまう方もいます。
今回は、配当金が相続財産にあたるかを3つのケース別に解説します。
目次
まずは、配当金とは何かをおさらい
配当金とは、株主に分配される現金のことです。株主は出資比率(持ち株数)に応じて利益の還元を受ける権利があります。
企業の業績等に応じて配当金の有無や増減が決定します。会社によっては利益が出ていても配当金を支払わない場合や、利益が出ていないときでも配当金が支払われる場合があります。
配当金も相続財産に該当する場合があります
故人が配当金を受け取る権利があったにも関わらず、受け取る前に亡くなってしまった場合、その配当金は相続財産として計上する必要があります。
本来は、亡くなった方が受け取るべきものなので、相続税の対象となります。
しかし、故人が保有していた上場株式の配当金がすべて相続財産に該当するわけではありません。相続財産に該当するかどうかは、以下3つの関係によって決まります。
- ①相続開始日
- ②配当基準日(配当の権利が確定する基準日)
- ③配当確定日(配当金が支払われる日)
どんな場合に相続財産にあたる?相続人の所得になることも?
ケース別に解説
ケース1:配当基準日後から配当確定日の間に亡くなった
②の配当の権利が確定した後、③の配当金が支払われる前に相続開始日(①)が来た場合は、故人が配当金を受け取る権利をもった状態で亡くなっているため、被相続人の相続財産に該当します。
→相続財産に該当します。
ケース2:亡くなった後(相続開始後)に配当基準日を迎えた
①の相続開始後に②の配当の権利確定日がくる場合、故人の権利ではなく相続人の所得となります。
このことから相続人の所得税の対象となり、相続財産には該当しません。
→相続財産には該当しません。相続人の所得税の対象となります。
ケース3:配当金が支払われた後に亡くなり、相続が開始した
③の配当金が支払われた後に、①の相続開始日が来ている場合は故人の所得として準確定申告の対象となります。
→被相続人の準確定申告の対象となります。
配当金を受け取れる場合は早めの手続きを!
配当金は比較的少額なことが多いため放置してしまうケースもありますが、長期間放置すると時効により請求権が消滅してしまいます。
民法では相続開始から10年で時効とされていますが、企業によっては3~5年と期限を定めている場合もあります。
被相続人が証券口座や信託口座を保有していた場合、上場株式の名義変更だけでなく、その配当金の相続手続きも忘れずに行いましょう。
おわりに
「私のケースでは配当金が相続財産にあたるでしょうか?」といったご相談も辻・本郷 相続センターでお受けしますので、お気軽にお問い合わせください。