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認定長期優良住宅等の取得時に選べる2つの特例、どちらがお得?

公開日:2022.04.08
その他
認定長期優良住宅等の取得時に選べる2つの特例の比較

マイホームを新築・購入する際には、迷われることが数多くあると思います。
物件選びはもちろんのこと、住宅ローンを利用すべきか、できるだけ現金購入すべきか、また、建築コストは増加するものの、さまざまな優遇が受けられる認定長期優良住宅等にすべきか……。

今回は、認定長期優良住宅等の取得時に適用できる「住宅ローン控除(正式名称:認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例)」と「特別控除(正式名称:認定住宅新築等特別税額控除)」を比較します。

新宿ミライナタワー事務所

令和4年度の住宅ローン控除改正について

令和4年度(2022年)税制改正により、住宅ローン控除について、年末のローン残高に対する控除率が1%から0.7%に引き下げられることとなりました。
くわしくは辻・本郷 税理士法人のコーポレートサイト内に掲載の記事『住宅ローン控除の2022年改正、得か損か?』をご参照ください。

改正以前には、住宅ローンの利用による支払利息額よりも、控除による所得税等減税額が大きいために、本来は住宅ローンのご利用が不要と思われる方も、利用する動機づけとなるようなケースがありました。
今回は、そのような逆ザヤ現象を是正するための改正がなされたといえるでしょう。

住宅ローンを利用しなくても適用できる特別控除とは

特別控除(正式名称:認定住宅新築等特別税額控除)とは、個人がマイホームとして認定長期優良住宅等の新築や購入をした場合に、その年分の所得税から認定住宅の面積に応じた以下の控除額を控除することができる制度で、住宅ローンを利用しない場合でも適用が可能です。
住宅ローンを利用する場合にも適用が可能ですが、住宅ローン控除と特別控除のいずれか一方を選択することになります。併用はできません。

控除額の計算式

特別控除の控除額の計算式は、以下のとおりです。

認定住宅の認定基準に適合するために必要となる「標準的なかかり増し費用」の額 × 10%

上記の計算式で用いる「標準的なかかり増し費用」は、以下の計算式によって求めます。控除額の上限額は650万円に設定されています。

45,300円 × 認定住宅の床面積(m2

なお、控除を受ける年の所得税から全額控除しきれなかった場合には、一定の要件を満たせば、翌年分の所得税からも控除が可能です。

最大控除額の比較

それでは、住宅ローン控除と特別控除はどちらがお得なのでしょうか。表で見比べてみましょう。

控除の種類所得税等の最大控除額
住宅ローン控除最大455万円
(年間控除額35万円 × 控除期間13年間)
特別控除最大65万円
(650万円 × 10%)

※住宅ローン控除については、2022年に新築等をし、以降13年間の年末ローン残高が5,000万円以上の場合を想定。
※特別控除については、認定住宅の面積が約143.5m2以上の場合(45,300円 × 143.5m2=約650万円)を想定。

最大控除額で比較をすると、住宅ローンを利用する場合は、住宅ローン控除を選択適用した方がお得ということになります。
ただし、現金購入と住宅ローン利用を比較検討する場合には、住宅ローン利用による全期間の支払利息額、繰上返済手数料その他のローン事務手数料、保証料、抵当権設定登記費用等の合計額を試算し、合計実質負担も考慮して検討することが必要です。
また、所得金額や物件の面積等、各特例の適用要件を満たしているか、制度の内容も十分に確認をしましょう。

所得税等から引ききれるかどうか確認しましょう

住宅購入

住宅ローン控除も特別控除も、所得税等の減税制度であり、支払った所得税等以上に戻ってくるわけではありません。

上記最大控除額は控除全期間において、控除される金額以上の所得税等を支払っている場合の試算であるため、所得税等から控除額を引ききれるのかどうかも踏まえて検討しましょう
なお、住宅ローン控除は所得税から引ききれなかった金額について住民税から一定額までは控除が可能ですが、特別控除は住民税からは控除できません

また、所得税等から引ききれない方について、ご夫婦ともに収入がある場合には、ご夫婦共有にすることも一つの方法です。

共有名義で新築等をした場合には、購入条件次第で控除額が増加する可能性もあります。

住宅ローンは団体信用生命保険で万が一の相続発生時にも安心

どちらの控除がお得かはケースバイケースであるため、シミュレーションが必要であることはお分かりいただけたと思います。
住宅ローン利用では、大きなメリットとして団体信用生命保険(略して団信)があげられます。
民間の住宅ローンでは団信への加入を義務付けられていることが一般的です。

住宅ローンの金利には団信の保険料が含まれているケースが多く、また、低い利率でがん特約等を付すことができる金融機関もあるようです。

住宅ローン契約者に保険金支払事由が生じた場合には、団信による保険金を、融資している金融機関が受け取り、その保険金で住宅ローンは全額返済されるため、債務者やその相続人等はその後の返済が不要、または軽減となる仕組みです。
世帯主に万が一のことがあった時の保障として、現金は手元に残しておき、安心のための住宅ローンを活用することも、一つの選択肢といえるでしょう。

買い替えの場合にはさらに比較検討が必要

住宅ローン控除適用の場合には、適用年前後の一定期間においてマイホーム売却時の3,000万円所得控除や軽減税率の特例、マイホームの買い替え特例等が併用できません。
また特別控除適用の場合にも、適用年前後の一定期間においてマイホーム売却時の3,000万円所得控除や軽減税率の特例が併用できません。

マイホーム購入時の確定申告の際には税理士に相談し、シミュレーションを行ったうえで、より有利な特例を選択しましょう。

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