亡くなられた方が会社員だった場合、会社から遺族の方へ弔慰金や死亡退職金が支給されることがあります。
これらのお金は遺族の生活を支える目的で支払われますが、税金の取り扱いはどうなるのか疑問に思う方もいらっしゃると思います。
今回はこれらのお金の税金の取り扱いについて、弔慰金を中心にご紹介いたします。
目次
弔慰金と死亡退職金
弔慰金は、亡くなった従業員や役員の遺族を慰める目的で支払われる金銭で、会社からの香典のようなものと考えて差し支えありません。
これに対して死亡退職金は、従業員や役員の会社への生前の功労・功績に対して会社から支給される金銭です。
上記のように、これら2つの金銭には支払理由に違いがあります。
この違いにより相続税については取り扱いが異なる税務上のルールが設けられています。
原則、弔慰金に相続税はかからない
原則として、弔慰金に相続税はかかりません。
一方の死亡退職金は、税金がかかる対象となります。
では、名目上すべて弔慰金として支給されたのであれば税金がかからないのかというと、答えは「NO」です。
実質的に退職金と考えられるのであれば、名目によらず、退職金として取り扱うことになります。
また、退職金に該当するかわからないものについては、さらに形式的に判断することになります。
業務上の死亡か、業務外かによって相続税の対象金額が変わる
形式上の基準は、業務上の死亡なのか、それ以外なのかによって税金がかからない部分が大きく変わります。
下記の表をご参照ください。
区分 | 税金がかからない弔慰金の金額 |
---|---|
業務上 | 死亡当時の普通給与の3年分 |
業務外 | 死亡当時の普通給与の半年分 |
この計算により超過した金額は、退職金として相続税の計算の対象となります。
計算例:Aさんの場合
会社員のAさんは、学生時代に発症した持病が悪化したため2022年3月に亡くなられました。
その翌月に会社から遺族へ弔慰金が支払われました。
(1)亡くなられたAさんの月給:50万円
(2)弔慰金として受け取った額:500万円
計算例の場合、税金がかからないのはいくらまで?
上の表から、業務外の原因で亡くなられた場合、死亡当時の普通給与の半年分については相続税の対象とならないので、
50万円 × 6ヶ月=300万円 までなら税金はかかりません。
今回の場合500万円の弔慰金を受け取っているので、300万円を差し引いた、残りの200万円が死亡退職金として課税対象になります。
弔慰金に相続税以外の税金はかかるのか?
では、弔慰金に相続税以外の税金はかかるのでしょうか。
所得税や贈与税を含め、他の税金はかかりません。したがって、確定申告は必要ありませんのでご安心ください。
ただし、死亡退職金に該当する場合は死亡後3年を超えて支給が確定したものについては所得税の対象となり、一時所得として所得税の確定申告が必要になるのでご注意ください。
この場合は所得税の申告を行うため、相続税の修正申告や期限後申告は必要ありません。
おわりに
会社員の遺族の方で、会社からお金が振り込まれ、相続税がかかるのか判断に迷われたときなどお困りの際には、辻????・本郷 相続センターまでお気軽にお問い合わせください。
弔慰金と相続税について解説した動画もございますので、ぜひあわせてご覧ください。