土地の相続税評価額を算出する方法には「路線価方式」と「倍率方式」があります。
都市部などは路線価方式で評価することが多いのですが、地方の郡部地域や市街化調整区域(無秩序な市街化が進まないようにしている区域)では路線価が付されておらず、倍率方式で評価する場合があります。
今回は、倍率地域に所在する土地の評価方法について掘り下げてご紹介します。
倍率方式とは
倍率方式とは、路線価が付されていない地域の土地の評価方法です。
毎年国税庁が公表する路線価図において「倍率地域」と記載された場所、および路線価が存在しない地域に所在する土地について倍率方式で評価額を計算します。
倍率地域の土地の相続税評価額
倍率方式における土地の相続税評価額は、その土地の固定資産税評価額に地域、地目ごとに定められた倍率を乗じて算出します。
例えば、土地の現況が宅地であり、その固定資産税評価額が1,000万円、宅地の倍率が1.1の土地の相続税評価額は1,000万円 × 1.1で1,100万円となります。
なお、固定資産税評価額は、区市町村から毎年4~5月に1月1日時点の土地の所有者に送られてくる固定資産税課税明細書で確認することができ、倍率は、国税庁が毎年7月に公表する評価倍率表にその年度の倍率が記載されています。
宅地倍率1.1とは
上記の評価倍率表の宅地倍率は多くの場合1.1倍(場合によっては1.0~1.4倍)で定められています。
これは土地の時価(実勢価格(じっせいかかく))を10とすると相続税評価額は8、固定資産税評価額は7になるように各評価額の水準が設定されていることから、固定資産税評価額の7を1.1倍することで7.7(約8)の相続税評価額となるように定められているからといわれています。
倍率が定められていない雑種地の場合には
評価倍率表には、宅地の他にも田、畑、山林、原野(げんや)、牧場(ぼくじょう)、池沼(ちしょう)の地目区分ごとに倍率が定められていますが、地目区分が雑種地(ざっしゅち)の場合、倍率が定められていないため、固定資産税評価額 × 倍率により評価額を計算することができません。
ここでいう雑種地とは、田、畑、山林、原野など法務省令で特定された22種類の用途のいずれにも該当しない土地のことです。
具体的には、駐車場、資材置き場、空き地(未利用地)などがこれに当たります。
倍率地域に所在する雑種地の相続税評価額の評価方法は、その雑種地と状況が類似する付近の宅地1m²当たりの価額を基として、その土地と雑種地の位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額にその雑種地の地積(ちせき:土地の面積)を乗じて計算するという複雑な方法となっています。
まとめ
今回ご紹介したように、一般的には倍率地域に所在する土地の評価は固定資産税評価額に倍率を乗じることで簡単に計算することができます。
しかし、雑種地のように複雑な計算が必要で、注意すべきポイントがあるケースもございます。お困りの際には相続専門の税理士が在籍している、私たち辻・本郷 相続センターまでお気軽にお問い合わせください。