2024年最新版:源泉所得税の納付期限はいつまで?

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監修者 宇都宮健太

源泉所得税の納付期限や手続きについて詳しく知らない。期限を忘れてしまったらどうしよう。

このように、源泉所得税の納付期限について不安を感じている経理担当者も少なくないでしょう。

従業員に給与を支払っている法人では、毎月従業員に給与や報酬を支払う際に所得税を徴収し、税務署に納付する義務があります。これを源泉所得税と言います。

結論を最初に申し上げると、原則、源泉所得税は翌月の10日までに毎月、事業所(会社)が納付することになっています。

また、「納期の特例」があるため、一部の事業所では年2回の納付にすることができます。

源泉所得税の納付期限を守らないと、延滞税や加算税などのペナルティが発生する可能性があり、経理業務における負担が増してしまいます。

この記事では、源泉所得税の納付期限に関する基礎知識から、期限を過ぎてしまった場合の対応策まで、わかりやすく解説します。

1.源泉所得税の納付期限は原則として徴収した日の翌月10日まで

源泉所得税の納付期限は、通常、徴収した日の翌月10日までと定められています。

たとえば、給与を支払って源泉所得税を徴収した場合、その税額を翌月の10日までに税務署へ納める必要があります。もし10日が土日や祝日であれば、その翌営業日までが期限となります。

2.源泉所得税の納期の特例が適用される場合のみ期限を延長可能

2-1.源泉所得税は納期の特例により年2回の納付に変更可能

源泉所得税は、企業の規模や従業員数によっては「納期の特例」を申請することで、納付期限を延長し、毎月ではなく年2回の納付にすることが可能になります。

2-2.納期の特例の対象事業者

この特例は、従業員が常時10人未満の事業者が対象です。従業員が10人未満の会社や個人事業主は、「源泉徴収税の納期猶予の承認に関する申請書」を税務署に提出します。

認可を受けることで、源泉徴収した所得税を毎月ではなく、年2回に分けて納付することができるようになります。

2-3.納期の特例適用後の納付スケジュール

通常、申請した月の翌月に徴収する所得税から「納期の特例」が適用されます。

納期の特例を受けている場合、年2回の納付までの間(6ヶ月の間)に源泉所得税が発生しない場合でも、必ず年2回、納付額がなかった旨を記載した納付書面を提出する必要があります。

スケジュールは以下の通りです。

・1月から6月分の所得税→7月10日までに納付

・7月から12月分の所得税→翌年1月20日までに納付

2-4.納期の特例の対象となる源泉所得税

納期の特例が認められるのは、従業員の給与や退職金、専門職(弁護士、税理士、司法書士など)の報酬に対する源泉所得税のみと、制限があります。

これ以外の源泉所得税、たとえば株主優待や個人へのデザイン)料などは特例の対象外です。対象外の源泉所得税は、通常通り毎月納付しなければなりません。

納期の特例について、詳しくは下記のURLからご確認ください。

源泉所得税の納期の特例とは?

3.納付を忘れてしまったらどうなる?

源泉所得税の納付を忘れてしまった場合、遅延に応じたペナルティが課せられます。以下のペナルティについて理解しておきましょう。

3-1.納付額に応じた不納付加算税がかかる

源泉所得税の納付を怠った場合、まず不納付加算税が課されます。これは、納付額の10%(ただし、正当な理由がある場合などは軽減されるケースも)が加算されるペナルティです。

また、税務署から指摘や催促を受ける前に自主的に納付した場合などは加算税が5%に軽減される場合もあります。納付を忘れたことに気づいたら、できるだけ早く、自主的に納付しましょう。

3-2.納付を延滞した期間に応じた延滞税がかかる

源泉所得税の納付を怠ると、不納付加算税に加えて、納付が遅れた期間に応じた延滞税も発生します。延滞税は、納付すべき日から遅れた日数に応じて年利で計算されます。年利はその年の税率により異なり、長期間にわたって未納の状態が続くと延滞税が非常に大きな額になることもあるので注意が必要です。

3-3.やむを得ない理由の場合にはペナルティが免除される場合もある

天災や予期せぬトラブルなど、やむを得ない理由があった場合には、税務署に申し立てを行うことで、ペナルティが免除される場合もあります。もし納付が困難な事情がある場合には、早めに税務署に相談することをおすすめします。

4.源泉所得税納付を忘れないために事前にe-Taxで準備しておくことがおすすめ

源泉所得税の納付忘れを防ぐために、e-Taxを活用した事前準備が効果的です。特に、徴収高計算書のデータを作成し、期限前に送信しておくことで、納付手続きの煩雑さを軽減できます。

所得税徴収高計算書は、事業主(会社など)が従業員の給与から差し引いた源泉所得税を納付する際に必要な書類で、所得の種類によって9種類に分けられています。

さらに、同じ種類の所得に対しても、2章でお伝えした納期の特例の場合には別の徴収高計算書が必要と、準備に時間がかかりやすい仕様になっています。

もし同じ日に複数の徴収高計算書を提出しなければならない場合には特に、事前に準備をしておきたいですね。

e-Taxを使うと、納付書を郵送する手間も省け、納税状況の確認も簡単になります。事前準備をしっかり行うことで、納付忘れや遅延を防止し、ペナルティを避けることができます。

5.源泉所得税の納付期限にお悩みの方は辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスのご検討を

もし源泉所得税の納付期限や手続きに不安がある場合は、専門の税理士に相談することをおすすめします。辻・本郷 税理士法人では、源泉所得税に関する相談や申告手続きのサポートを行っており、顧問契約を結んでいただくことで、適切なアドバイスをご提供することが可能です。

事業者として、納付手続きの負担を減らし、ペナルティを回避するために、ぜひ専門家のサポートを受けてみてください。

6.まとめ

源泉所得税の納付期限は原則として徴収した翌月10日までです。ただし、要件を満たし、納期の特例が適用される場合は半年ごとに納付が可能となります。

納付を忘れると不納付加算税や延滞税が発生するリスクがあるため、事前にe-Taxを活用して準備しておくことをおすすめします。

納付手続きや期限に不安がある場合は、辻・本郷 税理士法人など、税務の専門家に相談し、適切なサポートを受けられるように行動してみてください。