
印紙税の税務調査の知らせを受けると、何を調査されるのか、何が問題視されるのか、もしくは今までの経理業務に不備はないかなど不安と焦りを感じる方は多いのではないでしょうか?本記事では、税務調査の流れから実際に指摘されやすいポイント、過怠税についても分かりやすく解説していきます。調査の流れや事前にできる対策を知ることで、不安を安心に変えていきましょう。
目次 [(閉じる)]
1.印紙税の税務調査とは?
印紙税の税務調査は、契約書や領収書などの書類に適切に収入印紙が貼られ、印紙税が納付されているかを税務署がチェックする調査です。調査の対象期間は基本的に過去5年間とされています。
1-1.印紙税の納付をしているかチェックすること
印紙税の税務調査は、契約書や領収書などの書類に対し正しく収入印紙が貼られ、適切に印紙税の納付をしているかチェックすることを言います。契約書や領収書など、主にチェックされる書類には以下のようなものがあります。
・契約書類
・領収書、受取書(金額が5万円以上のもの)
・覚書、合意書(内容によっては課税対象となる場合があります)
・会計帳簿
これらはあくまで主に調べられる書類の例です。その他にも注文書、見積書、請書、借用証書、覚書、年初など必要に応じて関連資料も確認されるため、幅広く注意が必要です。
1-2.調査対象期間は過去5年間
印紙税の税務調査の対象期間は、過去5年間とされています。この期間内に作成された契約書や領収書が重点的に確認され、不備が見つかった場合は追徴課税が行われることがあります。
2.印紙税の税務調査は2種類
印紙税の税務調査には、大きく分けて「同時調査」と「単独調査」の2種類があります。それぞれの調査の特徴を理解しておくことで適切に対応することができます。
2-1.同時調査
同時調査とは、消費税や法人税などの他の税目と一緒に行われる調査です。この場合、税務調査官が契約書や領収書などを確認しながら、印紙税についても同時にチェックします。
2-2.単独調査
単独調査は、印紙税だけを重点的に調査するものです。適切な収入印紙が貼ってあるか、印紙をきちんと管理しているかなどを詳しく調べられます。
3.税務調査の流れ
印紙税の税務調査の流れは以下のようになります。通常の税務調査と流れは似ていますが、調査の範囲や重点が異なります。以下のようなステップになります。
1.日程調査の連絡がくる
2.必要書類の準備をする
3.調査官が書類の確認をする
4.調査官からの質問に答える
5.調査後不足分の指摘がある
6.調査結果の通知がある
7.納付漏れがあった場合は過怠税を納付する
3-1.日程調整の連絡がくる
税務署から事前の日程調整の連絡が入ります。都合のいい日を伝えましょう。この際に、調査の目的が「印紙税の確認」であることが明確に伝えられます。調査対象書類(契約書、領収書など)も伝えられることが多いです。
3-2.必要書類の準備をする
調査に必要となる書類を事前に準備します。これには領収書や契約書など、印紙を貼るべき書類が全て含まれます。また、関連する帳簿や経理データも必要になります。
3-3.調査官が書類の確認をする
調査当日になると、調査官が訪問し書類の確認が行われます。調査官は書類が課税対象かどうかや印紙の貼付状況、消印の有無などを確認します。調査は通常1~2日程度で終了します。
3-4.調査官からの質問に答える
調査中に不明点や疑問点があれば、調査官が質問をします。事業主や担当者がそれに回答します。調査官から質問されることは、例として以下のようなものがあります。なお、これ以外にも調査官から事業内容や取引状況に応じて別の質問や、更に細かい質問をされる可能性がありますので、柔軟に対応できるよう準備しておくことが重要です。
○契約書類について
「過去5年間に交わした契約書を全て見せてください」
契約書類は印紙税の対象となる文書かどうかを確認するために必要です。正確な印紙税の納付を確認するため、過去の契約書を一通り確認します。
○印紙の適用判断について
「この契約書に使用した印紙税額は適切なものですか?」
契約内容や金額に基づき、なぜその印紙を適用したのか理解できているかを確認します。
○印紙の購入と管理に関する質問
「印紙の購入記録や管理方法について教えてください」
不適切な管理があれば、印紙の不正使用などの税務上の問題となる可能性があるため、印紙の適切な管理や購入記録があるかどうかを確認します。
○申告漏れが過去にないか
「以前に印紙税を納付し忘れた契約はありますか?」
過去に納付漏れがあったかどうか確認し、同様の問題が繰り返されていないかをチェックします。
3-5.調査後不足分の指摘がある
調査終了後、印紙の貼り忘れなど問題が見つかった場合に調査官がその内容を説明します。その際に不足分の納付についての指示を受けます。
3-6.調査結果の通知が来る
調査終了後、税務署が調査報告書を作成し事業者に通知します。大きな問題がない場合は「調査終了」の連絡で完了します。重大な問題があった場合には、課税処分通知が発行されます。
なお、調査結果に納得できない場合は不服の申し立て手続きをすることができます。
3-7.納付漏れがあった場合は過怠税を納付する
税務調査の結果、納付漏れがあった場合は過怠税の納付を行います。詳しくは5-1をご覧ください。
4.実際に発生しやすいミス
印紙税の税務調査で実際に発生しやすいミスは以下のようになります。これらのミスは過怠税の支払いを求められる可能性があり、注意が必要です。
4-1.印紙を貼り忘れる
課税対象である契約書や領収書に印紙を貼り忘れるミスです。覚書や変更契約書も対象になる場合があるため注意が必要です。
4-2.印紙額が足りない
契約金額に応じた正しい印紙を貼らず、額が不足しているミスです。契約変更時の対応漏れなども原因となります。
4-3.印紙の消印を忘れる
印紙を貼ったのに、その後に消印をしないミスです。消印を忘れた場合、その印紙税の納付は認められません。
5.印紙税の納付漏れが発覚した場合のリスク
印紙税の納付漏れが発覚すると、大きなリスクが生まれます。その主なものとして、過怠税が課される財務的な負担と、信用損失につながるリスクが挙げられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
5-1.過怠税が課される
印紙税の納付漏れがあった場合、未納税額に対する過怠税が課されます。具体的には、未納付の印紙税の税額に、印紙税額を2倍した金額がプラスされて過怠税として課税されます。例えば、契約書に本来10万円分の印紙を貼るべきところを貼り忘れていた場合、未納分の10万円とその2倍の20万円、合計で30万円の過怠税を納付をする必要があります。
5-2.信用損失になる
税務調査で印紙税の納付漏れが発覚すると、取引先や金融機関からの信頼を損なう可能性があります。特に税務署からの指摘が公表されたり、取引先に知られるような状況になると、企業の信用に大きなダメージを与えます。例えば「この会社は税務管理がずさんだ」と取引を縮小する、あるいは新規契約を断られるといった事態になる可能性があります。また、金融機関からの融資審査にも影響することがあります。これらのリスクを回避するためにも、日ごろからの契約書類や領収書の確認を徹底し、印紙税の適切な納付をすることが大切です。
6.印紙税の税務調査で指摘を受けないための対策
印紙税の税務調査で指摘を受けないためには、適切な対策をすることが重要です。以下の三点を踏まえ、日ごろから税務調査に備えておきましょう。
6-1.貼り忘れをチェックする
契約書や領収書を作成・受領した際に、印紙の貼り忘れがないか必ず確認しましょう。特に高額な契約書や領収書は、チェックリストを活用し、複数人で確認する体制を整えることが効果的です。
6-2.貼り忘れは自己申告をする
もし貼り忘れが発覚した場合は、最寄りの税務署に自己申告をしましょう。自主申告した場合は過怠税の額が軽減される可能性があります。
6-3.電子契約書類にする
紙の契約書に比べ、電子契約書は印紙税の課税対象外となります。契約書類を電子化することで、印紙の貼り忘れを防ぎつつ、印紙税そのものの負担を減らすことができます。
7.印紙税の税務調査でお困りの際は辻・本郷 税理士法人のサポートをご利用ください
印紙税の税務調査でご不安な点や不明な点がある場合、ぜひ辻・本郷 税理士法人をご活用ください。豊富な経験と専門知識をもつプロフェッショナルが、初めての税務調査でご不安なことも、丁寧に、しっかりとサポートさせていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。
8.まとめ
印紙税の税務調査は、契約書や領収書に適切に印紙が貼られ、印紙税が納付されているかを確認するものです。もし、印紙の貼り忘れなどの問題が指摘されると過怠税などのリスクが生まれます。しかし書類作成時のチェックを徹底し、貼り忘れた場合は速やかに自己申告を行い、電子契約書への移行をするなどの対策をとることで、それらの問題のリスクを大幅に軽減することができます。この記事で読んだことを実践し、安心して印紙税の税務調査に挑みましょう。