不動産仲介業に強い税理士5つの特徴とは?選定に役立つチェックリスト付き

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監修者 宇都宮健太

不動産仲介業では、アパート経営や不動産売却などの場面で、それぞれの多様な税目に対応しなければなりません。さらに、大きな金額の動きが多々あるため、不動産業の経営者の方の中には、自分一人では税務手続きや節税対策などを網羅しきれない、どうしたら良いのだろう、と不安になられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、不動産仲介業では、仲介業以外の業務をしている場合も多く、不動産のオーナーや顧客にアドバイスをする機会があったり、自身で不動産経営や賃貸管理を営んでいたりすることもあります。

そのため、不動産仲介業では、幅広く『不動産業全体に強い税理士』に依頼することで、経営が大きく安定し、節税効果も最大限に確保することができるようになります。

不動産業は、固定資産税や賃貸収入の処理、不動産購入時の登録免許税や不動産業取得税など、特有の税務処理が必要となります。そのため、日々の税務処理から最適な節税対策まで、業務に詳しい専門家のサポートが欠かせないのです。

この記事では、不動産仲介業を営む方々向けに、信頼できる税理士選びのポイントや顧問料の相場、実際に提供してもらえるサポート内容など、実務に即した情報をわかりやすく解説していきます。


1.不動産仲介業に強い税理士の5つの特徴

不動産仲介業を営む企業にとって、税務のプロである税理士は欠かせないパートナーです。不動産業特有の税務課題や節税スキームに詳しい税理士を選ぶことで、税務リスクを回避しつつ事業を効率的に進めることができます。

以下では、不動産仲介業、不動産業に強い税理士の特徴について詳しく解説します。

1-1.不動産税務への専門性の高さが顧問実績や実務経験から読み取れる

不動産業に特化した税理士を選ぶ際には、顧問実績や実務経験が重要な判断基準です。

なぜなら、不動産業界には特有の税務問題や複雑な取引が多くあります。これらに精通した税理士が、過去にどのような顧客とどのような業務を行ってきたのかを知ることで、依頼者はその税理士が自分のニーズに対応できるかを把握できるためです。

例えば、以下のチェックリストにある項目を確認することで、不動産税務に強い税理士であるかどうかを確認することができます。

チェックリスト

☑︎不動産オーナーや投資家を顧客に持つ割合が高いか
☑︎不動産関連の相談件数や申告件数が多いか
☑︎不動産税務に関する具体的な実務経験(例:土地評価、相続税対応)が豊富か
☑︎不動産税務に必要な法律や制度(例:    不動産取得税、固定資産税、譲渡所得税、登録免許税、相続税・贈与税、宅地建物取引業法、電子帳簿保存法)の知識が豊富か
☑︎節税対策や資産活用に関する具体的な提案が可能か
☑︎法人化サポートや経営コンサルティングなど、不動産関連事業の発展を支援できるか
☑︎仲介手数料や宅建業法に基づく報酬計算に精通しているか

・不動産オーナーや投資家を顧客に持つ割合が高いか

多くの不動産関連クライアントを抱える税理士は、業界特有の税務課題に精通していることが多いです。

・不動産関連の相談件数や申告件数が多いか

多数の相談実績がある税理士事務所は信頼性が高いといえます。

・不動産税務に関する具体的な実務経験が豊富か

土地評価や相続税対応などの専門的な業務経験を持つかどうかがポイントです。

・不動産税務に必要な法律や制度の知識が豊富か

不動産取得税、固定資産税、譲渡所得税、相続税・贈与税、宅地建物取引業法などに精通しているか確認してみましょう。

・節税対策や資産活用に関する具体的な提案が可能か

クライアントの事業発展を支えるため、具体的な節税プランや資産活用の提案力が求められます。

・法人化サポートや経営コンサルティングができるか

不動産関連事業の法人化や経営支援を行える税理士であれば、心強い存在となってくれます。

・仲介手数料や宅建業法に基づく報酬計算に精通しているか

宅建業法に準拠した計算処理ができる税理士は、不動産仲介業にとって大きな利点となります。

このように、不動産業に強い税理士を選ぶ際には、その顧問実績や実務経験をしっかりと確認することを推奨します。

1-2.対応してもらえる業務内容が具体的であると事前に伝わってくる

税理士の対応業務内容が明確だと、信頼性が高まり安心して依頼できます。

なぜなら、具体的な業務内容がホームページに記載されていたり、問い合わせに対して明確な返答があることで、税理士がどの範囲まで対応できるかが分かり、依頼者は自分のニーズに合ったサービスを受けられることが確認できるからです。

例えば、以下のチェックリストにあるような内容について、具体的に説明してもらえると、事前に、不動産業に強い税理士であることがわかります。

チェックリスト

☑︎不動産購入時の不動産取得税や登録免許税の計算・申告
☑︎印紙税の適切な処理
☑︎家賃収入や地代、更新料などの不動産所得計算と確定申告
☑︎固定資産税・都市計画税の適正評価と節税提案
☑︎賃貸経営における必要経費の適切な計上
☑︎不動産売却時の譲渡所得税の計算と申告
☑︎特定居住用財産の3000万円特別控除などの節税スキーム提案
☑︎相続不動産に関する評価額算出と相続税申告
☑︎生前贈与や遺産分割プランニング
☑︎キャッシュフロー計算や融資申請サポート

このように、自社に必要な業務内容について明確に答えてくれる税理士を選ぶことを推奨します。

1-3.不動産業界の法改正や最新の動向に詳しい

法改正や業界のトレンドに敏感である税理士は、長期的に頼れる存在です。

なぜなら、税制や法律は常に変化しており、最新の情報に基づいた対応が求められています。税理士がこれに敏感であることは、依頼者は常に最適なアドバイスを受けられ、トラブルを未然に防ぐことにつながるためです。

例えば、以下のチェックリストに従って確認することで、最新の動向に詳しい税理士を見つけることができるようになります。

チェックリスト

☑︎空き家特措法や不動産登記法など、最新の法改正に精通しているか
☑︎電子帳簿保存法やインボイス制度など、不動産取引に関連する税制改正に迅速に対応できるか
☑︎空き家問題や2025年問題など、不動産市場の課題やトレンドを理解しているか
☑︎電気自動車の新工場建設についてや、スマートホームといった新興分野への知見があるか

・最新の法改正に精通しているか

例えば2024年の相続不動産登記義務化について、対応経験があるかどうかなどを尋ねてみましょう。

・税制改正へ迅速に対応できるか

電子帳簿保存法やインボイス制度などへの対応力を確認してみましょう。

・不動産市場の課題やトレンドを理解しているか

空き家問題や2025年問題など、業界の将来的な動向も把握していることが重要です。

・新興分野への知見があるか

電気自動車の新工場建設に関する事柄や、スマートホームといった新しい分野にも対応できる柔軟性が求められます。

このように、法改正や業界のトレンドに敏感な税理士を選ぶことは、長期的な信頼関係を築くために重要です。

1-4.他士業や専門家とのネットワークがある

不動産税務における複雑な課題を解決するには、他士業との連携が不可欠です。

なぜなら、不動産税務は、税理士だけでなく、弁護士や司法書士、不動産業者など他の専門家との協力が必要な場合が多いためです。複雑な契約や相続問題、登記手続きなど、税理士単独では対応できないケースがあります。

例えば、以下のチェックリストの内容を確認することで、他士業とのつながりを確かめることができます。

チェックリスト

☑︎司法書士との登記の際の協力体制があるか
☑︎相続税評価や資産管理法人への物件売却時に不動産鑑定士と連携しているか
☑︎不動産トラブルで弁護士と協働した実績があるか
☑︎建築確認申請や事業用地の用途変更手続きで行政書士と連携しているか
☑︎境界確定測量や建物表題登記など、土地家屋調査士を活用した事例があるか
☑︎融資審査時に金融機関と連携し、試算表やキャッシュフロー計画を迅速に提供できるか

・司法書士との協力体制があるか

不動産登記や法人設立登記、相続登記などで連携可能な税理士がいると、登記作業もスムーズです。

・不動産鑑定士との連携実績があるか

相続税評価や資産管理法人への売却時にワンストップで対応できるかどうかは重要です。

・弁護士と協働した実績があるか

例えば、賃貸借契約の紛争や境界問題などでの実績を確認してみましょう。

・行政書士や土地家屋調査士との連携事例があるか

建築確認申請や境界確定測量などで協力できる体制があるかが重要です。

・金融機関と連携し、試算表やキャッシュフロー計画を迅速に提供できるか

融資審査の際などに、金融機関とつながりがある税理士や、金融機関で働いた経験者がいる税理士事務所に依頼してあれば、融資にも有利になるように取り計らってもらいやすいです。

このように、税理士が不動産税務に強いかどうかを確認するときには、他士業との連携を重視することも不可欠です。

1-5.不動産仲介業に特化した節税対策を実施する

不動産仲介業に強い税理士を選ぶ際、節税対策の提案力は、注目すべきポイントのひとつです。

なぜなら、節税対策をしっかり行うことで、税負担を軽減し、事業の利益を最大化できるためです。不動産関連の税務には多くの節税の方法があるため、専門的な提案力が求められます。

例えば、以下のチェックリストを活用して、提案できる節税対策を行ってくれる税理士かどうかを確認できます。

チェックリスト

☑︎建物や附属設備を細分化し、耐用年数を活用して早期償却を実現できるか
☑︎修繕費を必要経費として計上し、支出年度に全額経費化しているか
☑︎不動産取得税の特例適用による大幅な節税を行うか

・建物、附属設備、構築物を細分化し、それぞれの耐用年数を活用して早期償却を実現できるか

不動産に関する償却費用は、建物、附属設備、構築物ごとに異なる耐用年数が定められています。これを細分化し、それぞれの耐用年数を活用することで、より早期に償却を進めることが可能となり、税負担を早い段階で軽減できます。例えば、建物の耐用年数が長い場合でも、附属設備や構築物は短期間で償却できることがあるため、個別に分けて適切な償却方法を採用することが重要となります。

・修繕費を資本的支出ではなく必要経費として計上することで、支出年度に全額を経費化しているか

修繕費は、基本的に資本的支出として計上すると資産に加算され、長期間にわたって減価償却しなければなりません。しかし、修繕の内容が必要経費として計上できるものであれば、経費計上することで、その支出を支出年度に一括して経費として計上でき、当年度の税金を即座に軽減することができます。

・新築住宅や住宅用地における不動産取得税の特例適用で大幅な節税を行うか

新築住宅や住宅用地の取得に際しては、不動産取得税の特例が適用される場合があります。特例を適用することで、取得時の税負担を大幅に軽減でき、節税効果が期待できます。

このように、節税対策の提案力を持つ税理士を選ぶことは、不動産仲介業において非常に重要です。


2.不動産仲介業に強い税理士に依頼する費用の相場

税理士に依頼する際の費用は、業務内容によって異なります。

以下に、不動産業に強い税理士に依頼する際の費用相場をまとめます。

業務内容料金相場
顧問契約月額1〜5万円程度
記帳代行のみ月額1〜3万円程度
個人事業主の確定申告代行(単発依頼)5〜20万円程度
法人の決算申告代行(単発依頼)10〜30万円程度
相続税の申告代行(単発依頼)数十〜数百万円程度

2-1.顧問契約料は月額1〜5万円程度

顧問契約料は、税理士が日常的にサポートするための基本料金です。業務内容に応じて料金は異なりますが、一般的には月額1〜5万円程度が相場です。業務の内容や会社の規模によって変動します。

2-2.記帳代行単体では月額1〜3万円程度

記帳代行サービスは、毎月の取引内容を整理し、会計帳簿を作成する業務です。この費用は月額1〜3万円程度で、記帳代行のみを依頼する場合にかかります。取引量が多い場合、料金が増えることがあります。

2-3.確定申告代行単体では5〜20万円程度

確定申告の代行費用は、税理士が1年分の税務申告を行うための費用です。不動産所得や事業所得が含まれる場合、複雑さに応じて料金が変動します。一般的な相場は5〜20万円程度となっています。

2-4.決算申告代行単体では10〜30万円程度

決算申告は、決算時に税理士が行う法人の税務申告です。決算業務が複雑であればあるほど費用が高くなる傾向があります。料金相場は10〜30万円程度ですが、事業規模や業務内容によって異なります。

2-5.相続税の申告単体では数十〜数百万円程度

相続税の申告は、相続財産や相続人の状況によって非常に複雑になることがあります。そのため、相続税申告の費用は数十万から数百万円に達することがあります。相続財産の規模や評価方法によって、料金が大きく変動します。

2-6.その他の業務には別途費用が発生

資料作成や年末調整、給与計算など、追加で依頼する業務には別途料金がかかります。これらの業務の料金は依頼内容により異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

このように、税理士の費用は、業務の内容や規模、税理士の経験によって異なります。

決して簡単に出せる金額ではないため、複雑な税務問題に対応でき、不動産業に強みを持つ税理士を確実に選びましょう。長期的に見た経済的メリットにつながります。


3.不動産仲介業に強い税理士をお探しの方は辻・本郷 税理士法人の税務顧問サービスをご検討ください

辻・本郷 税理士法人には、不動産業界に精通した税理士が多数在籍し、幅広い業務をサポートしています。

不動産税務に関する豊富な知識と実績を活かし、専門性の高い問題に対しても最適なソリューションを提供します。税務顧問サービスの活用をご希望の方は、ぜひお問い合わせください。


4.まとめ

不動産仲介業における税務課題を解決するには、不動産税務に強みを持つ税理士の力が必要です。

業務内容や実績、法改正への対応力、他士業との連携体制など、記事中のチェックリストを活かして税理士を選び、最適なパートナーを見つけましょう。

貴社が不動産業に強い税理士のサポートを受け、安心して事業を展開していけることを願っています。