配当還元価額の計算方法とは?手順を具体例を用いて徹底解説

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監修者 松浦真義

「配当還元価額の計算の仕方がイマイチわからない

「上場していない会社の株式の評価方法、計算方法が分からない」

「相続税の節税のため、配当還元価額を自分で計算してみたけど何故か数値が合わない

現在あなたはこのような問題に直面しているのではないでしょうか?

ズバリ、単刀直入に申し上げますと、正しい計算方法は以下の3ステップのみ」で完結します。

  • ステップ1:年間配当金の算出
  • ステップ2:1株当たりの資本金等の額 
  • ステップ3:配当還元価額の最終計算

こちらの3つの手順で計算することのみで誰でも簡単に計算することが出来ます。

しかしながら、正しい理解が無いまま計算し、間違った算出をしてしまうと相続税や贈与税を多く支払ってしまう恐れも存在します。

そこで今回は配当還元価額の計算方法を具体的な手順と解説、実例を挙げて解説しました。

お手元にあるような電卓でも計算できるようなシンプルな計算方法でまとめましたので是非取り入れてみてください。

1.配当還元価額の計算式

配当還元価額は、非上場株式の評価方法の一つで、過去2年間の配当金額を基に株価を算定する方法です。この方法は、特に少数株主が株式を相続や贈与する際に用いられます。

配当還元価額の計算方法は以下の計算式で求めることが出来ます。

具体的には以下の3つのステップを踏むことによってわかりやすく、簡単に配当還元価額を計算することが出来ます。

2.配当還元価額の計算手順はこの3ステップ

配当還元価額の計算は、以下の3ステップによって算出することが出来ます。

  • ステップ1:年間配当金の算出
  • ステップ2:1株当たりの資本金等の額(1)
  • ステップ3:配当還元価額の最終計算

2‐1.【ステップ1】 年間配当金の算出

年間配当金とは、会社が1年間に株主に支払う配当金の総額を発行済株式数で割ったものです。具体的には、以下のように計算されます。

つまり、過去2年間の「年間配当金額の平均値」を、②1株あたりの資本金を50円として算出した値(=「発行済株式数」)で割ることで、1株あたりの「年間配当金額」を求めることができます。

例えば、直前期末以前2年間の総配当金額が200万円で、直前期末の資本金額が1,000万円だった場合、

という計算方法により、1株あたりの年間配当金額は5となります。

注意点として、その年配当金額が2 50銭未満となる場合、又は無配の場合は2 50銭とします。

2‐2.【ステップ2】1株当たりの資本金等の額 

1株当たりの資本金等の額(1)とは、会社の資本金を発行済株式数で割ったものです。具体的には、以下のように計算されます。

注1:「資本金等の額」とは、法人税法上の概念で、法人が株主から拠出された金額や資本準備金などを含む金額のことです。具体的には、以下のような項目が含まれます。

  1. 資本金:法人の設立時や増資時に株主から出資された金額。
  2. 資本準備金:資本金に組み入れられなかった出資金の一部。
  3. その他の資本剰余金:株主からの出資以外の資本的な増加分。

例えば、直前期末の資本金額が1,000万円で、発行済株式数が10,000の場合、

この場合、1株当たりの資本金は1,000となります。

2‐3.【ステップ3】 配当還元価額の最終計算

最後に配当還元価額を計算します。

ステップ1とステップ2で得られた値を第1章で紹介した計算式に代入していきます。

以上の計算により、求めたい配当還元価額は1,000となります。

2‐4.配当還元価額の具体的な計算例

配当還元価額の計算例を3つご紹介します。直前期末の資本金の合計金額、発行済み株式数、直前期の配当金総額及び2年前の配当金総額という4つの前提条件をもとに計算方法を解説していますので是非ご参考ください。

〔例〕

条件

  • 直前期末の資本金額500万円
  • 発行済株式数10,000
  • 直前期の配当金総額300万円
  • 2年前の配当金総額200万円

計算手順

【ステップ1】1株当たりの年間配当金

年間配当金を求める上記の式に、条件の数値をそれぞれ代入して計算をします。

よって年間配当金は2.5円となります。 

【ステップ2】1株当たりの資本金等の額

  同様にして上の式に資本金と発行済み株式数を代入します。

よって1株当たりの資本金は500円となります。

【ステップ3】還元配当価額

上記の式にステップ1とステップ2で得られた値を代入して求めます。

(2.5÷10%)×(500÷50)=25×10=250円よって、求めたい配当還元価額は250円となります。

3.まとめ

以上、配当還元価額の計算方法の手順について解説してきました。

配当還元価額の計算を正しく行うためには、大きく3つのステップを正確に理解することが極めて重要です。

以下にそのポイントをもう一度まとめます。

配当還元価額の計算手順はこの「3ステップ」

・ステップ1:年間配当金の算出

・ステップ 2:1株当たりの資本金等の額

・ステップ3:配当還元価額の最終計算

配当還元価額の計算は、株式の評価においてとても役割を果たします。特に、相続や贈与の際には正確な評価が求められます。

本記事を参考にして、配当還元価額の計算方法を理解し、実務に役立てていただければ幸いです。

他の評価方法など、詳しい情報や具体的なアドバイスが必要な場合は、専門家に相談することをお勧めします。

正確なデータと専門知識を活用することで、より適切な評価が可能となります。